これは、投薬治療の末に、手術で甲状腺を全摘し完治に至った筆者が、2年間の闘病生活を振り返るドキュメンタリーです。
火照りの原因は「脱水」だった
救急車で大学病院に到着すると、まもなく主治医が出勤してくるので、少し待っていてくださいとのこと。言われたとおりベッドで横になりながら待っていると、慌てた様子で、すぐに主治医が駆けつけてくれました。
「大丈夫? 歩けないんだって? だるそうだね……。脱水を起こしているんだと思うから、急いで点滴します。すぐに、点滴用意して!!」
なんと、私の火照りや微熱の症状は、脱水状態だったようです。主治医は迅速に判断し、近くにいた看護師にテキパキと指示を出しています。
そして、点滴が始まって数分後……。スーッと火照りが引き始め、徐々に身体が楽になってきました。
「よかった……」と、素直に安堵する私。しかし、かなり脱水が進んでいるようなので、数時間点滴を続けると言われました。
「先生、私ちゃんと水を飲むようにしていたんですが。それでも、脱水になるんですか」
「なりますよ。水だけじゃダメなんですよね。しかも、バセドウがこれだけ暴れてますから、脱水が起きやすいんですよ……」と困惑した顔の先生。
前回の受診の際に、投薬量を増やしていたものの、血液検査をしてみたらさらに数値が悪化していたのです。
「これはもう、手術で甲状腺を取るしかないでしょう。薬がまったく効かないので、早いほうがいいですね」
もはや手術しか方法はない
本来、バセドウ病の手術で甲状腺を取る場合には、投薬によって数値を安定させてから手術に臨むのが一般的。その理由は、ショック状態を防ぐためだと聞いています。
しかし私は、すでに投薬でコントロールできない状態に陥ってしまったので、これ以上悪化する前に、早めに手術を決断しなくてはならない状況でした。
「わかりました。こんなにつらいので、私自身も手術をして治してしまいたいです……。よろしくお願いいたします」
以前、手術を勧められたときには体感として体調がよかったために断りましたが、今回は身体が悲鳴をあげていたために、その場で手術を決断しました。そして、素人の直感的にも、もはや手術しか方法はないのだろうなと感じていました。
「よかった。では、さっそく外科と相談して日程を調整しますね。
投薬では甲状腺がコントロールできていないので、ステロイドも使って、手術前までに少しでも数値が下がるようにやっていきましょう」
こうして、あれよあれよと手術が決まり、この日は点滴が終わってから帰宅。
手術日など決まり次第、今後の予定を決めていくとのことで、それまでは自宅にて「絶対安静」を言い渡されました。
家では、経口補水液を常に飲むよう指示を受け、身体の乾きが止まらずに、1日に500ミリリットル入りのペットボトルを8本飲んだ日もありました。それだけ、私の身体からは水分が抜けやすい状態になっていたようです。
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