結婚相手に経済力を求めて何が悪い?失敗と成功の境界線は…

内埜さくら 恋愛コラムニスト
更新日:2021-02-18 20:32
投稿日:2021-02-09 06:00
「何歳からでも夫婦になるのは遅くない」とお伝えする本連載。インタビュアー・内埜(うちの)さくらが、40歳以上で結婚した男女の事情を深堀りする「40代50代の大人婚」です。

結婚、離婚、再婚に関係する「唯一の条件」

case7-2.藤森小夜子さん(仮名/48歳)

 神奈川県の湘南地域であるショップを経営している藤森小夜子さん(仮名/48歳)は、30歳のときに元旦那様と結婚。10年後の40歳で離婚。43歳で再婚しました。興味深いのが「ただ1つの条件」。元旦那様との結婚と離婚、そして、現在の旦那様と再婚に至るきっかけにもなったそうです。気になるその条件とは。

男女で賃金&経済格差があるという現実

「経済力です。私が20代の頃は、自立して1人で食べていく女性はいましたが、まだ少数派だったかもしれません。しかも私の職業自体も、昔も今もこの仕事のみでは、余裕ある暮らしは難しいんです。ありがたいことに、私は生活できていますが。でも、イヤらしい考え方かもしれませんが初婚のときは、結婚によるランクアップを狙いました。配偶者の経済力によって、自動的にステータスがアップできる時代だったんです」

 筆者は小夜子さんの結婚に対する価値観を、「イヤらしい」とは否定できません。なぜなら厚生労働省が「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」の通称で「男女雇用機会均等法」を制定したのは、1985年。小夜子さんは10代前半の少女でしたが、独立前に就職した企業で男女間に賃金格差や男女により扱いが違っていた過去は、想像に難くないからです。

 厚生労働省発表の「賃金構造基本統計調査」によると、平成29年は、男性の所定内給与(所得税、社会保険料、組合費、購買代金等を差し引く以前の総額)が34万8400円。対して女性は26万3600円。その差は8万4800円となっていて、現在でも大差があります。

 たとえば小夜子さんが成人時の1992年は「男女雇用機会均等法」制定から7年後。現在でも男女には給与格差があるというのに、たった7年では改革の「か」の字にもたどり着いていなかったと思われます。

経済力のあった元夫となぜ離婚するハメに?

 筆者が10年以上前に、小夜子さんと同年代の独身女性に取材したときのこと。当時アラフォーだった彼女は言っていました。

「女性は簡単な仕事しか任せてもらえず、結婚したら寿退社をするのが暗黙の了解でした。女性社員は、男性社員の花嫁候補として入社するんです。職場や取引先が出会いの場ともいえましたし、実際、出会いには困らない時代でしたが、私のようにそこで出会えないと苦戦します。高年収の男性社員を飽きるほど間近で見てきているので、稼ぐ男性としか結婚は考えられないんです。今は最低でも、年収800万円以上の男性をターゲットに婚活中です」

 年収800万円と聞いて、筆者は「えーっ!? 独身男性はほぼいませんよ?」とのけぞりそうになりましたが、金銭の価値観は世代により異なります。小夜子さんや件の彼女の考え方は、時代によってつくり上げられた価値観といっていいのかもしれません。

 価値観はアップデートしていかなければいけないという説もありますが、小夜子さんは相手への希望を「経済力」の一点にしぼり、初婚に至りました。それでも離婚してしまった経緯を聞くとーー。

「元夫が事業に失敗したからです。元夫はアパレル企業に勤務していて、社内では“王”として君臨していたようで、高級車にも乗っていました。だから『結婚しても安泰した生活が送れるかな』と思ったのですが、経営の才能はまったくありませんでした。

 結婚と同時に独立して起業したのですが、経営状況は悪くなる一方で。『彼はいつか成功するだろう。だから今は私が頑張ろう』と、自分の預金通帳を渡し、生活費も出していたのですが、家計は常に火の車。

「金の切れ目は縁の切れ目」は真なり

 それでも彼は、生活のランクを落とせなかった。私服はコムデギャルソンや HERMESなど、ブランド品ばかり。食材の買い物は、成城石井や紀ノ国屋で求めたがる。バブル期に青春時代を謳歌して、『誰でも成功できる』という幻想に囚われてしまったのでしょうね。経済破綻する前に、私から離婚を切り出しました」

「金の切れ目は縁の切れ目」は真なりと筆者は考えています。

 小夜子さんは経済力を失った元旦那様をすぐ見捨てるのではなく、財産のほぼ全額を投じてから離婚を選択したのです。それ以上、支え続けていたら、ご家族を巻き込む“大事故”に発展していたかもしれません。

 とくに今のコロナ禍では、収入が減少する人は珍しくありません。収入に応じて生活レベルを変えられない人との結婚は、考え直したほうがいいという一例です。

内埜さくら
記事一覧
恋愛コラムニスト
これまでのインタビュー人数は3500人以上。無料の恋愛相談は年間200人以上の男女が利用、リピーターも多い(現在休止中。準備中のため近日中にブログにて開始を告知予定)。恋愛コメンテーターとして「ZIP!」(日本テレビ系)、「スッキリ」(同)、「バラいろダンディ」(MX-TV)、「5時に夢中!」(同)などのテレビやラジオ、雑誌に多数出演。

URL: https://ameblo.jp/sakura-ment

関連キーワード

ラブ 新着一覧


恋愛とキャリア、どっちも身の丈で両立させるにはどうする?
 仕事が大好きで、キャリアアップすることが何よりも楽しいと感じるバリキャリ女子。でも、恋愛面においては「どう仕事と両立し...
恋バナ調査隊 2023-10-23 06:00 ラブ
疲れたから寝るLINEを送ってきた彼と道ですれ違う?最悪な恋愛の思い出
 恋愛で得られるのは幸せだけではありませんよね。好きな人と付き合えたとしても、最悪な出来事に見舞われるケースもあるはずで...
恋バナ調査隊 2023-10-22 06:00 ラブ
整形美女との結婚話を破談にしたい37歳男、老いるほどいじるでしょ?
「冷酷と激情のあいだvol.165〜女性編〜」では、結婚の話が出ながらも、なかなか具体的な行動に進んでいかない恋人に悩む...
並木まき 2023-10-21 06:00 ラブ
美意識高い系40女、婚約者とのシラけた夜の生活に努力してるのになぜ?
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2023-10-21 06:00 ラブ
不倫沼に陥った女が失う「5つのモノ」友達 仕事 時間 自尊心そして…
 既婚者と不倫をすると、相手の家族を苦しめることになります。でもそれだけでなく、不倫をした当の本人たちが失ったものもたく...
恋バナ調査隊 2023-10-21 06:00 ラブ
遠野なぎこは食い逃げ被害2日後に新恋人…チャチャッと付き合う女って?
 女優の遠野なぎこ(43)が今月16日、自身のインスタグラムで《ルンッ♪が、ルンッ♪な事になりまして。 無事にアプリを退...
愚痴るの、待って!自分の恋愛相談を友達にしないほうが良い4つの理由
 好きな人とうまくいかないときや彼氏とケンカしたときは、つい友達に相談したくなりますよね。でも、相談することにはいくつか...
恋バナ調査隊 2023-10-20 06:00 ラブ
マッチングアプリの恋活要注意!「どこ住み?」は“ヤリモク男性”の手口
 コロナ禍以降、マッチングアプリで恋活や婚活をする女性が増加傾向にあります。真剣な出会いを求める男性ばかりならいいのです...
内藤みか 2023-10-19 06:00 ラブ
えっと、女の武器ってなんですか?さりげなくモテる人の4つのテクに学ぶ
 昔から女の武器を使ってモテる女子には、同性からも「ずるい」と批判の目が向けられてきました。でも、同性から好かれようとし...
恋バナ調査隊 2023-10-19 06:00 ラブ
マジ羨ましい…神のように優しい「神彼氏」の作り方とは?
 友達の彼氏がレストランで毎回ご飯を奢ってくれるって聞いて、「うちの彼、全然そんなことしないよな」と思った経験はありませ...
若林杏樹 2023-10-18 06:00 ラブ
付き合ってもソッコーで破局の謎…恋愛が短期間で終わるタイプの問題点
「好きな人と結ばれてもすぐに別れてしまう」。そんな悩みを抱えている女性もいるのではないでしょうか? 短命な恋愛ばかりだと...
恋バナ調査隊 2023-10-18 06:00 ラブ
貴女はどのディズニープリンセス気分?フェロモンジャッジ愛され香り術
 素敵な女性はいい香りがする――。  そう感じるのは、肌から放たれるフェロモンの効果。フェロモンが高まると色気だけ...
太田奈月 2023-10-17 06:00 ラブ
脳内で美化されてない? 元彼と復縁→後悔した女性とそのトラブル
 別れた彼に未練がある女性は復縁を望むでしょう。ただ、復縁しないほうが幸せになれるケースもあります。  元彼に復縁を迫...
恋バナ調査隊 2023-10-17 06:00 ラブ
夫の過去の嘘許せますか?交際人数盛り申告からマジで笑えない婚姻歴まで
 信用している夫に嘘をつかれるのは嫌ですよね。たとえ結婚前の過去の話だとしても、内容によっては不信感を持つでしょう。 ...
恋バナ調査隊 2023-10-16 06:00 ラブ
「体の相性?子作りには支障ない」結婚延期の不満を切り出せない42歳男
「冷酷と激情のあいだvol.164〜女性編〜」では、プロポーズをしてきた恋人のカズトさん(42歳・仮名)との体の相性が悪...
並木まき 2023-10-14 06:00 ラブ
気持ち良くも楽しくもない…体の相性が最悪で結婚に踏み切れない39歳女
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2023-10-14 06:00 ラブ