指定されたのは激安カラオケボックス
――わかります。気づいたら落ちているのが恋愛ですからね。
「ありがとうございます。で、実際会うことになったんですが、初デートで彼が指定してきた場所は、なんと、激安チェーン店のカラオケボックスだったんです」
――初デートがカラオケボックス?
「はい……びっくりしました。私が『食事に行かない?』と提案すると『ファンに見られるとマズいし、事務所に恋愛を禁じられているから』と、新宿にある大手カラオケ店を指定されたんです。私が渋々承諾すると、『入るときは別々でね。部屋番号を教えてくれたら、僕がそっちに行くから』と二部屋を取ることに。
しかも『フリードリンクだから、飲み物は自分で用意して』と、これまた寒気の出るLINEが届く始末でした」
――なんともお粗末な彼ですね。初対面ではいかがでしたか?
「かなり違和感を覚えつつも、『やっとOさんに会える』とドキドキしていました。
彼が私の個室に入ってきた瞬間は息を呑みましたよ。テレビで見るよりもずっとスリムで小顔で、すごくカッコよかったんです。今までのマイナス要素がゼロになるほどの『ザ・俳優』のオーラで輝いていました。
服装は細身のデニムにVネックのセーターとごくシンプルでしたが、神々しさは凄まじかったです」
歌うでもなくフードを頼む様子もなく…
――続けてください
「彼は『やっと会えたね』と、いきなりハグしてきたんです。うそ……と驚きましたが、気づくと私も彼の背中に手を回して、ギュッと抱きしめ返していたんです。
細身だけれど胸板が厚くて、筋肉もしっかりついているのが分かりました。少しだけワキガの匂いを感じましたが、さほど嫌じゃなかった。それくらいルックスの良さにヤラれちゃったんですね。
その後、ドリンクで乾杯。私はドリンクバーのウーロン茶ですが、彼はバッグから缶ビールを取り出し『空き缶は持って帰るから、店にはバレないよ』などと言って、お酒を呑んでいました。私は『初デートなのに、こんなセコイ部分を見せちゃっていいの?』と思いつつも、憧れの彼と二人きりでいることに、トキめきが増す一方です。
ドキドキして何を話したかも覚えていないくらい、舞い上がってしまいました。彼も缶ビールをあっという間に2本空けていましたね。酔いが回って来たようですが、彼はカラオケを歌うでもなく、フードを頼む様子ももない。
そのうち、私の横に移動してきて、いきなり腰に手を回し、私を抱きよせてきたんです。
続きは次回。
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