せめて俺が手向けたい…あるホームレスに捧げる友情の花束

斑目茂美 開運花師
更新日:2021-04-21 06:43
投稿日:2021-04-21 06:00

見えないものをカタチにかえて

 ホームレスのオッちゃんがお花を買いに来てくれてから間もなく、彼の様子を見に行くと、オッちゃんとAさんが暮らしていた橋の下は封鎖されておりました。果たしてオッちゃんと亡くなってしまったAさんと対面できたかどうか、今もわかりません。

 でもたとえ会えていなかったとしても、最期の瞬間まで一緒に過ごしたAさんのために、おそらく大切にとっておいたなけなしの千円札で花を手向けてあげようとしたオッちゃんの優しい気持ちはAさんにきっと届いているし、ワタクシたちお花屋さんにも届いていますよと、もしも再びご来店してくださったなら、教えて差し上げたい。

 そして、勇気を出してお花屋さんの敷居をまたいでくれて、ありがとうございます。と、お伝えしたいと思っているワタクシなのでございます。

花を贈ることができる幸せと、受け取ることができる幸せ

 世の中いろいろなお仕事があるとは思いますが、花屋ほど人の人生に長く寄り添うことを許されたお商売はないな、と、個人的には思っております。

 出産や入学、卒業、就職や結婚などのお祝いに、日々の生活の中での慰めや癒しに、そして、亡くなった時もその後も……必ずと言ってよいほど、人のライフステージの替わり目に一歩下がったところでその場に存在するのが、世にも不思議な「花」という生き物でございます。

 世界が一変して、およそ一年。

 このコロナ禍で、人が人らしく暮らしていくために、生活の中での「」の重要性があらためて見直されてまいりました。とくに今まで、花に興味など微塵もなかったであろう若い世代の女性や男性に花を買っていただくケースが、とても増えた印象がございます。

 自分のためにはもちろん、自分の大切な誰かを思って癒し励ますために、あるいは喜びのために、今まで越えられなかった花屋の高い敷居を、勇気を出してまたいでくださっているのでございます。

 大切な誰かのために買う花には、いつも贈り手の優しさが込められております。見えない人の気持ちや心を、美しい「花」というカタチに変えて……。

 贈ることができる幸せ、受け取ることができる幸せ。

 そういう人が自分にはいるのだ、と思うだけで、人はきっと心強く頑張れるのではなかろうか……と思うワタクシなのでございます。

 アナタの傍らで一輪の花が幸せを教えてくれますことを、遠いお空の向こうからお祈りしておりますよ~。

斑目茂美
記事一覧
開運花師
半導体エンジニアを経て花業界に転身。イベント・ホテルなどの装飾も手がける生花店を営む傍ら、コンテストで優勝・入賞を重ね、雑誌・新聞等に作品を発表する。神奈川各所にて花教室を開催。障害者支援も花で実践。悩ましくも素敵なお客様を「花」で幸せへと導く道先案内人。ブサかわ猫店長「さぶ」ともに奮闘中。Facebookやってます。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


私は佳代だよ、レイちゃんってかすりもしねえ! 関係が終わった決定打!!
 仲良しの女友達や意中の彼からのLINEでも、幻滅したり、縁を切りたいと思ったりすることはありますよね。  今回は...
40女スーパー銭湯でととのえず、ぴーちくぱーちくな先客にモヤった話
 スーパー銭湯が好きです。週末のランニングがてら、あちこちの施設に出向いております。広い湯船にざっばーん! からの~、サ...
まるで御神体のよう! 美しく雄々しい“たまたま”に幸せを祈ります…
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
どれくらい実践してますか? 家でできる環境にいいこと「7つの習慣」
 子供たちに限りある資源を残すためには、私たちの日々の努力が欠かせません。今回は、みんなが普段心がけている環境にいいこと...
胡蝶蘭はお祝い専用? 寺の住職から聞いた「お悔やみ花」としての需要
「つかぬことをお伺いしますが……」  猫店長「さぶ」率いる愛すべき我が花屋には、お客様から毎日のように“ちょっと困...
台無しなんですけど!家族旅行なのに「夫のイライラ言動」と4つの予防策
 世の女性の中には、せっかくの家族旅行中、「夫のイライラする言動」によって、楽しい雰囲気が台無しになってしまうケースも…...
“頑張り屋のメンヘラ”が「セルフラブ」という人生の処方箋を知りました
「セルフラブ」という考え方は、確実に私の人生に大きな影響を及ぼしています。  セルフラブについて学び始めた時「世界...
【にわか呑み鉄】電車とビール好きにたまらない「流鉄BEER電車」に参戦
 さる9月2日(土)、千葉県流山市で「電車好き」と「ビール好き」垂涎の1日限りのイベントが開催されました。  通常は入...
かつて入り浸った店も 横丁の思い出も時代と共に変わってゆく
 昼間の細い路地を軽装の観光客が闊歩する。  誰かにとってはノスタルジーでも、また違う誰かにとっては新鮮に映るんだ...
にゃんたま写真の成立には“たまたま”への愛のピントがマスト
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「才色兼備」は女性だけに使われる不適切表現?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
ずーっといい子ちゃんとか無理!「笑える悪口LINE」で上手に息抜きを
 友達や同僚から人の悪口を聞かされたらあまり良い気分にならないでしょう。でもそれがユニークな悪口だとしたら、思わずクスッ...
ほっこり読み切り漫画/第57回「隣りの芝生はオーノー」
【連載第57回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 生きものたち、...
これって良心ですか、マウントですか?「おまいう」説教LINE3選
 説教をされて、いい気分になる人はあまりいませんよね。でも、いつもどこか偉そうで、何かと説教をしてくる人はいるもの。 ...
相棒のぬいぐるみは無理! 大人になっても捨てられないもの6選と対処法
 物や情報に溢れた現代では、断捨離やミニマリストに憧れる人が多いですよね! でも、大人になってもどうしても捨てられないも...
40代で振り返ると納得!いろいろあった人生の転機、思い出してみない?
 人生の転機とは、その時には気がつかず、後になってから「転機だった」と気がつくもの。特に40代を過ぎると、人生の前半を振...