いざ、表彰式
「賞状をもらう時は、◯◯(新しい姓)◯◯くんって言われるからね、ちゃんと大きな声でお返事するんだよ」と、息子には事前に何度も伝えて、練習をして、いざ、表彰式。
舞台の壇上でかしこまった顔で、なんだか立派に見える息子。新しい姓で呼ばれて、「はい!」と答え、左手、右手で受け取り、お辞儀、おしまい。
お友達から「名前が違うよ!」なんて言われないか、園長先生がうっかり間違えないか、息子が壇上で戸惑うんじゃないか、なんていろいろ心配していたものの、なんのトラブルもなく、あっけなく終わりました。
ほっとしたのと同時に、ようやくじーんとしました。「これからずっと、ママとお揃いの名前だよ」という気持ちで。
息子のお友達はどう思っていたのか
実は、同じクラスのママ友たちには「離婚して姓が変わったので、もしも子供たちがそのことについて聞いてきたらフォローをお願いします」と伝えていました。
ママ友たちは私のことを思ってか、子供たちがどう感じていたのか、教えてくれました。
・ある女の子のママ:「『◯◯くんの新しい名前がかっこいいから、私もその名前にしたい!』って言ってました。結婚するんじゃないんだからねぇ……(笑)」
・ある双子の男の子たちのママ:「え! もう変わってるんですか? 子供たちからなんにも聞いてません!(笑)」
・ある男の子のママ:「すんなりフルネームで、新しい名前を呼んでましたよ」
幼稚園の先生たちは正しかったですね。周りの子供たちは、なんにも気にしていませんでした。そして、息子も、成り行きにまかせて柔軟に対応していたようです。
名前という“記号”なんて、子供にとってどうでも良いのかもしれません。セミやカブトムシの脱皮には興味を持っても、お友達の名前が脱皮することにはまったく興味がないのかもしれません。特に、男の子は。
大人になった私たちには、きっとわからないことですね。
それからというもの
おっちょこちょいで抜けている私。それからというもの、息子の名前の“付け替え忘れ”が、徐々に発覚していきました。
息子は「ママー!水筒の裏の名前、◯◯(前の姓)だったんだけど! ちゃんと直してよ!」なんて、報告をしてくれるようになりました。
その場に居合わせた大人たちはいちいち気まずい雰囲気になるものの、息子や周りの子供たちにとってはなんでもない様子。
息子はこの先、婿養子にでもならない限り、名前が変わることはないでしょう。ちなみに、新しい名前で息子の姓名判断をしてみましたが、運勢は上々(笑)!
これにて、私と息子の名前問題は解決しました。めでたしめでたし。ですかね!
(文;孔井嘉乃/作詞作曲家 イラスト:こばやしまー/漫画家)
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