テレ朝木曜ドラマ枠は連続でジャニーズ主演
「ドクターX~外科医・大門未知子~」など数々の人気作を生み出してきたテレビ朝日の木曜ドラマが2クール連続で苦戦している。それも、今年1月期は嵐の松本潤(38)を、4月期からは天下の木村拓哉(49)を主演に据え、豪華キャストで盤石の体制をとったにもかかわらず、だ。
松本が主演を務めた「となりのチカラ」は、人間愛にあふれながらも、何をしても中途半端な主人公・中越チカラが、同じマンションの住人の悩みを解決していく社会派ホームコメディだった。初回と第2話までは話題性もあり世帯視聴率10%超えを記録したが、以降は一桁が続き、全話平均視聴率は9%台に留まった。
もちろん、視聴率の低迷は松本だけのせいではない。家庭内暴力、ヤングケアラー、外国人就労といった難題を、おせっかいなチカラがありえないくらい首を突っ込んで、なぜか分からないけど次々と解決できてしまう雑な展開で、脚本も大いにその原因になっただろう。
「王子様顔」すぎて似合わなった
ただ、“冴えない夫であり2児の父”という役どころが、どうしても「王子様顔」すぎる松本には似合わなかった。問題はビジュアルだけでなく、間の悪いことにドラマ放送を前にした先の年末年始、トーク番組で松本は「独身貴族・嵐の松本潤」をこれでもかと披露してしまっていた。結婚は現状ないと言い切りつつ、主演映画の公開など仕事はいたって順調で充実しているようだった。
過半数が既婚者となった嵐の中で、バランサーとして、あえて独身であることを強調したのかもしれないが、ともかく、私生活をオープンにしたその姿が焼き付いたままドラマが始まってしまったため、“妻に罵られ、子供に馬鹿にされるなさけないチカラ”が全く馴染まず、“カッコいい松潤”からの脱却とはならなかった。
今月14日からは、同じ放送枠で木村主演の「未来への10カウント」がスタートした。かつてアマチュアボクサーとして輝かしい成功を収めながら、度重なる不運に見舞われ生きる希望を失った主人公・桐沢祥吾が、廃部寸前の母校のボクシング部のコーチを引き受け、熱い気持ちを取り戻す姿を描くスポ根ものだ。
「カッコいいキムタク」“孤独なボクサー”役でもチラつくファミリーの顔
放送前に多くの視聴者が予想した通り、最初は哀愁漂っていたキムタクが、なんだかんだ拳ひとつで次々と相手を打ち負かし、“カッコいいキムタク”になっていった。初回平均世帯視聴率は11.8%、第2話が10.5%(いずれもビデオリサーチ調べ、関東地区)で、キムタクドラマとしては低調なスタートであり、全話平均一桁となった「となりのチカラ」の初回及び第2話とトントンだった。
こちらもその数字すべてが木村だけのせいではない。“王道スポ根”といえば聞こえはいいが、どこかで見たような、既視感満載のありきたりなストーリー展開で、むしろキムタクドラマでなければ途中離脱した、という視聴者も多かったのではないか。
ただ、主人公・桐沢に感情移入できないのは、やはり木村も私生活をオープンにしすぎているからではないだろうか。桐沢は妻を亡くしており、久しぶりに再会した恩師に「家族はいません、独り者です」「(結婚は)1度…しましたけど」と悲愴感ありげに話すシーンがあった。だが、どうしても浮かんでしまう。とっても仲良しの、妻と、2人の娘が、私生活を滲ませるSNSの投稿を頻回にあげていることが。
ドラマ終了後に「happy birthday!」
またこのドラマ初回放送日がちょうど妻の誕生日で、放送終了後には、木村が自身のSNSで「happy birthday!」とお祝いのメッセージを公開したため、ファンが余韻に浸ることが出来ず「興醒めした」なんてことも報じられていた。役者が私生活をオープンにしてはいけないわけではないが、松本にしろ木村にしろ、タイミングが少し悪かったかもしれない。
「未来への10カウント」自体は、タイトル通りのサクセスストーリーが予想されるため、陰鬱な展開がひたすら続いた「となりのチカラ」よりは継続視聴しやすいだろう。
一方で、私生活のおかげで役に説得力を持たせることに成功しているのが二宮和也(38)だ。主演を務める日曜劇場「マイファミリー」(TBS系)は今月10日に放送された初回が平均世帯視聴率12.6%、第2話も12.8%と微増し好調を維持している。また数字以上に、二宮と妻役の多部未華子(33)の演技が凄い、と話題になっている。
二宮&多部コンビの圧倒的演技力
同作は、オンラインゲーム会社社長である主人公・鳴沢温人と妻・未知留が、小学生の娘を誘拐され、身代金5億円を要求されるところから始まる。直面する数々の試練によって、家族の絆が試されていくノンストップファミリーエンターテインメントだ。
二宮は嵐で最初に既婚者となり、昨年3月には第一子が誕生している。現役の国民的アイドルグループの一員だっただけに、祝福の声ばかりではなかったが、ついにその私生活が仕事に活かされる時が来たといえるだろう。
ただ、二宮も多部も既婚で子供もいるが、容姿はどちらも若々しく、あまり父親、母親というイメージはなかった。そのため、最初は娘を誘拐された両親という設定に違和感を覚える視聴者も多かった。だが、物語が進むにつれ風向きが変わる。
娘を救いたい一心で犯人からの無謀な要求に必死に喰らいついていき、目を赤くし声を震わせ娘への想いを語る温人と未知留。2人は仮面夫婦であったが、娘を救うという共通の目的のためにそのことを忘れ、気が付いたら互いの手を握りしめていた。
「アイドルの枠を超えている」
ネット上では、この絶妙に微妙な夫婦の距離感は、2人の演技力があってこそ醸し出せるものだと多くの視聴者が胸を打たれている。また「二宮の演技はアイドルの枠を超えている」といった声もあがっている。
ドラマの好調はスピード感があり先が読めないストーリーに支えられているのは間違いないが、夫であり父となった二宮の突き抜けた演技力も絶対に無くてはならないものだろう。
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