卒コン全21曲中8曲が欅坂46時代の楽曲
話を冒頭のコンサートに戻し、セットリストに目を向けると、2日間ともに「Overture」(序曲)含め全21曲中、8曲が欅坂46時代の楽曲となった(2日目の渡邉所属ユニット「青空とMARRY」メドレー全4曲も1曲にカウント)。
これまで、卒業するメンバーの所属ユニット曲や日向坂46(旧けやき坂46)との合同曲といったごく一部の例外を除き、20年のラストライブ以降、欅坂46の楽曲を封印してきた櫻坂46。
だが、2つのグループで確かな存在感を示してきた渡邉の「卒業コンサート」らしく、彼女の意見を反映させたセットリストでは、欅坂46の人気シングル曲やライブ定番曲が約1年7か月ぶりに解禁された。
櫻坂46のグループカラーは何にも染まっていない“白”
櫻坂46として始動するにあたり、欅坂46楽曲を封印することには賛否あったが、結果として、これまでのライブで櫻坂46オリジナル楽曲だけで勝負してきたからこそ、「櫻坂46らしさ」が育まれたように思う。
それは楽曲によって可愛くもなり、カッコ良くもなり、妖艶にもなれる、いい意味で何でもあり、ということだ。櫻坂46のグループカラーは、「何にも染まっていない“白”」で、逆に言えば何色にも染まることができる。
そうした「櫻坂46らしさ」を確立した今だからこそ、欅坂46の楽曲を織り交ぜても、飲み込まれず両立できていた。
再認識させた欅坂46の楽曲のパワー
櫻坂46楽曲に挟まれ、サプライズで次々と欅坂46楽曲が披露されると、メンバーも観客もこの時を待っていたような高揚感に包まれていた。
21人だった1期生がこのコンサートでは9人になっていたが、欅坂46の楽曲が持つパワーは凄まじく、色鮮やかに蘇り、決して封印したまま忘れられていいものではないことを再確認させられた。
それでも櫻坂46パートになると、メンバーみな櫻坂46の顔つきになる。2つのグループを自在に行き来し、櫻坂46が欅坂46と地続きであると訴えているようでもあった。
クールと言われた渡邉が、「卒業コンサート」ではおおいに泣き笑い、菅井友香(26)に大外刈りを仕掛けるなどおふざけで笑わせ、しんみりさせすぎない配慮もあったように思う。
「ここまで残ってくれてありがとう」
そんな彼女にファンの大半が伝えたいことは「ここまで残ってくれてありがとう」ではないだろうか。
約7年間グループを支え続けた偉大なる功労者は、欅坂46の楽曲という宝物をあるべき場所に戻し、純白のドレスを身に纏い、聖母のような笑顔でステージを後にした。
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