“アホ”だけど愛すべき兄
まだ携帯電話が世間一般に普及していない頃のお話しでございます。本コラムにも何度が登場しておりますが、ワタクシには若干一名の愛する愚兄がおります。
この愚兄、仮に「まーちゃん」と呼んでおりますが、まーちゃんには当時、我々家族にはナイショの趣味がございました。それは魅惑のフィリピンパブ通い。女性の免疫の無い男子校出身のまーちゃんにはどうやらパラダイスだったようで、お友達に連れて行っていただいていたようでございます。
そんなある日、家族の皆が寝静まった真夜中に一本の電話が……。
親戚の誰かが死んだか!? と父が飛び起きて受話器を取ると、「モシモシ」と聞きおぼえの無い女性の声。
「アノ……マーチャン、イマスカ?」
我が愚兄まーちゃんは、フィリピンパブのお姉様にお願いされるがまま正直に電話番号を教えたようでして、お仕事が終わった彼女が電話をかけてきた模様でございました。
それから我が家は大騒ぎになり、どんなに叩き起こしても一旦寝たら起きない愚兄を尻目に、両親揃って仏壇の前に座ってチンチン鐘を鳴らして朝まで拝む……という平成に入って間もない夜、笑える事件が起こりました。
「兄よ、密会の約束は誰かにバレたら密会では無いのだよ」
令和になっても未だ未婚、愚兄まーちゃんの事件を思い出すたびに頭によぎるお花がございます。その花とは一体……。
これから旬を迎えます「花言葉はしのび逢い グラジオラス」の解説でございます。
グラジオラスって何ですか?
「小さな剣」という意味を持つグラジオラスは、葉の形が剣に似ていることから、古代ローマの剣「グラディウス」から名付けられたといわれております。剣のような形の葉とカラフルな花色が特徴的で、赤や白、黄色、ピンク、オレンジ、または複色などのバリエーションがあり、花の大きさもさまざま。花言葉もカラー別に存在し、昔からの人気の高さが伺えます。
例えば、ラテン語の「剣」を語源としているこの花。これから戦地に向かう兵士たちが勇気づけられたという場面が多々あったようで、兵士たちを鼓舞することからちなんだ花言葉は「勝利」。
また、古代ヨーロッパでは恋人同士が人目を忍んで会う時に、グラジオラスの花は使者の役割を果たしておりました。花籠に入れたり花束にしたりして、その本数で密会時間を相手に知らせていたという歴史もございます。「密会」や「用心」という花言葉は、この逸話が由来でございますな。
球根植物なので育てやすい
夏の切花商材としてお花屋さんの店頭にも並び始めたグラジオラス。球根植物なので一般的にご家庭でも育てやすいお花であります。
秋植えと春植えの品種がありますが、一般的に出回っている品種は春植え球根で、夏のお庭に咲いているイメージがございますな。グラジオラスを育てていらっしゃる方のお庭やプランターを見かけると、どちらさまも「相当好きな方なんだろうなぁ」と思わず感じ入るほど、色とりどりのグラジオラスが咲いております。
でもって、グラジオラスを育ててみたいと思っているアナタ。球根植物なので、難しいことはあまりございませんよ。
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