真夜中に突然の大量出血で119番、緊急搬送され人生初のERへ

コクリコ 編集者
更新日:2019-09-12 17:59
投稿日:2019-05-21 06:00

大量出血の原因は…

 とうとう119番に電話しました。

 救急車の中では隊員の方に子宮がんと告知されたばかりであることを話し、かかりつけ病院の名を告げました。何度かけても電話はつながりません。かかりつけ病院は救急の受け入れをしていないからです。

 救急隊員さんが婦人科のある都立病院に連絡を取り、そこに搬送されました。救急隊員さんが脈拍を測ってくれたり、毛布をかけてくれたり、目を見て話してくれたり。それだけで涙が出ます。ひとりじゃない。

 ERに到着後、当直の医師が診察してくれました。下着を脱いで診察台に上がるまでにも血が滴ります。狼狽する私に医師はこう言いました。

「ああ、これは傷が開いたんですね」と。

 なんと4日前に受けた組織生検・コルポスコピーの傷が開いていたのです。コルポスコピー後に出血する人は10人に1人ほどいて、かつ、がんに罹患していると出血しやすくなるのだそう。初耳です! かかりつけの病院ではなにも聞かされていません。

「これはがんがどうこなった出血ではないですよ。でも、今ここでできる処置はガーゼを詰めて止血することと、止血剤を出すことだけ。こんな状況で受け入れてもらえない救急がない病院にかかっているのは……あまりいいとは言えないかな」

 その病院では治療は不可能とのことで、「予約なんかしなくても診療開始と同時にタクシーで乗り付けるべきだ」とすぐにかかりつけ病院に行くよう言われました。

「こちらの病院でお世話になることはできませんか?」と聞くと、「ごめんなさい。ここでは子宮体がんは診られるけど、子宮頸がんは診られないの」と断られました。

「子宮頸がん」と「子宮体がん」の違い

 ここで「子宮頸がん」「子宮体がん」の違いについて、後日私が執刀医に聞いた話と自身が入院していたがん専門病院で調べた内容を合わせてご説明します。

 子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスによる感染が引き金となるケースがほとんど。これは主に性交渉によって感染し、性交渉経験者の女性の約8割はこのウイルスに感染するそうです。ただし、その多くは自己の免疫システムによってがん細胞になる前に排除されてしまうのですが、0.15%ほどの人の体内でがん化してしまうのだとか。子宮頸がんの発症は若年化も進んでおり20代後半~40代前半までの罹患者が多いと言われています。

 一方、子宮体がんは女性ホルモン(卵胞ホルモン/エストロゲン)と密接に関わりがあり、ホルモン値が高い人にリスクがあるとされていて、発症は40代後半からが多いと言われています。このウイルス由来の子宮頸がんとホルモン由来の子宮体がんで治療法が変わるからなのか、救急で運ばれた病院では診ていただけなかったのです。

 会計を終え、タクシーを待っている間、看護師さんがそばに寄り添ってくれていました。

「ひとり暮らしなの? ひとりで救急車を呼んで来たの? 私はあなたがすごく心配。信頼できるお友達は近くにいない? 怖いわよね、不安よね」

 優しい。

 優しいけどつらい。

 これまでこらえてきたけれど、人に言われて改めて私はひとりなんだと感じました。堰を切ったように涙があふれます。

 そして、同時にかかりつけ病院への不信感がつのってきたのです。

 次回に続きます。

コクリコ
記事一覧
編集者
実用書の編集者(社畜)。アラフォー未婚のがんサバイバー2年生(進級しました!)。2018年、子宮頸がんにて広汎子宮全摘出術を受ける。現在ホルモン補充療法をしながら経過観察中。SNSをパトロールするのが趣味。“Twitter探偵”とも呼ばれる。でも幸せになりたい。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


ご飯をありがとにゃ! お母さんが大好きな“たまたま”君たち
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
荒れる2024年幕開け 花屋が祈りを込めた「復興と希望」の花束
 2024年が明けました。今年は元旦から思いもよらないことが起こって、まさに辰年。大きな変化の年が始まったようでございま...
暇すぎ死にそう…大きな声じゃ言えないけど仕事中にばれない暇つぶし5選
 同じ仕事でも、忙しいと時間は早く過ぎ、暇すぎると永遠に時計が止まったように見えるもの…。とはいえ、仕事の拘束時間なので...
2024年こそシンデレラボディ!フェロモンジャッジで分かるケア&香り術
 素敵な女性はいい香りがする――。  そう感じるのは、肌から放たれるフェロモンの効果。フェロモンが高まると色気だけ...
動物は「あったかい場所」を見つける才能があるみたい
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
私「復縁希望?」女友達「あと2年で吹っ切る」失恋かまってちゃんLINE
 失恋をして心が傷つくと、少しでも誰かに気持ちを聞いてもらいたくなるもの。  でも、あまりにしつこかったり、常識が...
キャンプより安近短なべランピング!楽しむコツ&それでも失敗したエピ
 空前のキャンプブームが到来していますが、やはりイチからキャンプギアを集めてテントを張って…となると、ハードルが高いと感...
見上げた青空が眼に染みて…1日に1回くらいは空を眺めてみる
 青空が眼に染みると思ったら、しばらく空を見上げていなかった自分に気が付いた。  うつむいて歩くのがクセになってい...
「俺のソーセージも試食して」じゃねえ! 40女の成人の日の思い出
 1月8日は成人の日。晴れ着やスーツに身を包んだ新成人たちの姿は、眩しいものです。  成年年齢が18歳に引き下げられま...
これって誘拐ですよね!? 遊んでいたら詰められた恐ろしいご近所トラブル
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
神秘的! 宝石のようなオッドアイの純白“たまたま”に幸福祈願
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「緑の黒髪」があるなら、白髪の“褒め言葉”は?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
日本の美徳すごい!便器に汚物箱…海外で体験した考えられないトイレ事情
 日々の生活に絶対に欠かせないもの、「トイレ」。1日に何度も顔をあわせる存在ですが、実は国によってトイレの形状や使用方法...
2024-02-26 19:03 ライフスタイル
まるで宝探し!話題の木更津コンセプトストアでほっこりした男女の会話
 昨年6月、三井アウトレットパーク木更津(千葉)の隣にオープンした「木更津コンセプトストア」。サステナブルな社会を目指し...
「量と質」どちらを優先するか迷ったら経験値を振り返ろう
 大人になると「量より質」を意識する機会が増えますよね。私の場合、食事に関してはまさにそうなってきた気がします。  そ...
湧き水が心にも沁みてくる 福井県爪割の滝
 北陸地方に甚大な被害をもたらした能登半島地震。  被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。  つらいこ...