【2022年アツかった記事】「モダンラブ・東京」2話がレス世代にぶっ刺さり…男と女のセックス観の違い、向き合い方を考える

ミクニシオリ フリーライター
更新日:2023-01-02 06:00
投稿日:2023-01-02 06:00
(2022年11月に公開したものを一部変更し、再掲した記事となります)

  ※  ※  ※

エピソード2のテーマは「セックスレスによる夫婦のすれ違い」

(C)コクハク
(C)コクハク

(編注:記事内にはドラマに関する多少のネタバレを含みます)

 Amazonのプライム会員向け動画配信サービス「Prime Video」にて配信されている、Amazon Originalドラマ『モダンラブ・東京~さまざまな愛の形~』の第2話が「女性の共感を呼ぶ」と話題になっている。

 原作エピソードがニューヨーク・タイムズ紙に寄稿された実話エッセイなのも話題だが、エピソード2(第2話)のテーマは「セックスレスによる夫婦のすれ違い」だ。

 セックスレス大国とも呼ばれる日本。しかし日本と比べるとかなり性生活の満足度が高いというアメリカでも、夫婦間のセックスとなると問題を抱える夫婦もいる。ある意味万国共通である、生涯を遂げるパートナーとのセックスレス問題について、物語の主人公は“ある正解”を見つけていく。

「パートナーとだけ、セックスがうまくいかない」課題

 榮倉奈々が演じる主人公・佐藤加奈は、柄本佑演じるフリーライターの圭介とは離婚したばかりだ。しかし、物語は加奈が圭介ではない男性とベッドインしている状況から始まる。

 加奈はなぜか、マッチングアプリで既婚男性を狙って出会い、男性たちに「奥さんとはセックスしているんですか?」「なぜ不倫なんてするんですか?」と問いかけていく。

 男性たちの反応は似通っていて、皆呆れ顔から入る。そんな男性に対して加奈は「不倫を否定しているわけじゃない。でも、まず話し合うべきでしょ?」と諭す。

 男性の家庭事情はさまざまだが、強い反発を向ける男性もいる。「子どものできない夫婦のセックスがどんなものか、あなたに想像がつくのか?」「ローンの返済についての会話があった後に、そんなことする気分になると思う?」など。

 女性側が思う以上に、セックスに関する会話を「避けたい」と感じる男性は多いのかもしれない。

 加奈と不倫している以上、性欲がないわけではない男性たち。でも、外の女性には反応しても、生活をともにするパートナーに対してはうまく反応しない……夫婦に起こるセックスレスとして、よくある状態のように思う。

なぜ男性はパートナーと話し合わず不倫するのか

素敵な役者さんたちですよね(C)日刊ゲンダイ
素敵な役者さんたちですよね (C)日刊ゲンダイ

 加奈自身、セックスにおけるすれ違いが理由で、圭介との離婚を経験している。しかし、加奈は不倫男性たちと会いながらも、元夫である圭介とも会い続けている。

 不倫男性たちも、いろいろと言い訳はしながらも、セックスレス状態にあってもパートナーと離婚する、という話をする人はいない。

 セックスに問題があっても、嫌いなわけじゃない。離れたいわけでもない。そんなグレーな心境が、加奈にも不倫男性たちにもあるのだ。

 だから、男性は不倫や浮気をする。劇中で加奈は「浮気は男の本能ともいえる」と話すが、女性と比べると男性の方が、不特定多数の異性と身体の関係を持つことにハードルが低いと感じる読者が多いのではないだろうか。

 とはいえ、加奈自身も不特定多数の男性と不倫するわけで、明確に男女で分かれる、とも限らないのだが。

男性もパートナーを傷つけたいわけではない

 話を戻すが、つまりはパートナーとのセックスがうまくいかないなら、外で関係を持てばいいと考える男性は少なからずいるのだ。そして、加奈はその事実に憤慨しているようにも見える。

 だってそうでなければ、わざわざ既婚男性を狙って不倫をして「奥さんとレスのことを話し合うべきだ」なんて啓蒙活動はしないはずだから。

 加奈自身、なぜ男性が「パートナーと話し合いをせずに不倫するのか」の答えを知りたがっているようにも見える。

 男性たちの回答に触れ、だんだん加奈も自分なりの答えを見つけていく。男性の中には「話し合いをしてみて、ちゃんとセックスしようということになっても、余計相手を傷つけるような事が起きてしまった」と話す人もいた。

 男性も、パートナーを傷つけたいわけではないのだ。セックスレスというセンシティブなテーマに対して、向き合って傷つけるくらいなら、見ないふりをしたいと思う人もいる。

ミクニシオリ
記事一覧
フリーライター
フリーランスの取材ライター・コラムニスト。ファッション誌や週刊誌、WEBSITEメディアなどで幅広く活動。女性向けのインタビュー取材や、等身大なコラム執筆を積極的に行う。いくつになってもキュンとしたい、恋愛ドラマと恋バナ大好き人間。
XInstagram

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


キンプリ永瀬廉の歩き方や態度に《何様?》…「東京タワー」インスタにファン“ダメ出し”で荒れ模様
「King & Prince」の永瀬廉(25)主演の連ドラ「東京タワー」(テレビ朝日系=土曜夜11時)が4月20日よりス...
2024-04-17 17:03 エンタメ
愛子さま日赤入社早々のモーレツ…残業報道は否定も公務と両立“休みなし”を心配する声
「とても楽しみました」  14日午前、皇居・東御苑の楽部庁舎で雅楽の演奏を鑑賞された、天皇皇后両陛下の長女、愛子さま。...
2024-04-17 17:03 エンタメ
森香澄は“嫌われる女”を演じてる説 「女子アナ」抹消計画を進行中!?
 元・テレビ東京の「女子アナ」で、昨年3月に退社してフリーに転身後、バラエティ番組を中心に引っ張りだことなっている森香澄...
堺屋大地 2024-04-17 06:00 エンタメ
朝ドラ史上初の快挙!ヒロインの月のもの(生理)事情が描かれた
 生徒数が減り、存続の危機に陥る明律大学女子部。宣伝のため2年生の寅子(伊藤沙莉)たちは先輩の久保田(小林涼子)・中山(...
桧山珠美 2024-04-15 15:48 エンタメ
平野、神宮寺、岸のNumber_i返り咲きの春! 欲いえばもっともっと…
 さくら満開の春、Number_iがテレビに帰ってきました平野紫耀(27)、神宮寺勇太(26)、岸優太(28)、お久しぶ...
「ニャニャニャニャニャ」寅子の必殺技!いずれ強い虎になる“伏線”か?
 判決の日。寅子(伊藤沙莉)たちの予想は外れ、妻が着物を取り戻すことが認められる。大喜びする女子部の面々だったが、よね(...
桧山珠美 2024-04-12 18:20 エンタメ
不祥事芸人・フジモンの賛否両論の復帰劇!実は吉本への貢献度が抜群?
 昨年10月に当て逃げ事故を起こして活動自粛していたフジモンことFUJIWARA・藤本敏史が、3月23日放送の『さんまの...
堺屋大地 2024-04-12 06:00 エンタメ
寅子「あきらめたらそこで終わり」はもしや…名作漫画のイズムにニヤリ
 傍聴した裁判について尋ねた寅子(伊藤沙莉)に対し、穂高(小林薫)は皆で議論してみるよう促す。  暴力を振るう夫か...
桧山珠美 2024-04-11 15:25 エンタメ
トラコ入学、伊藤沙莉は表情筋を自由に操る女優…男装の山田よねにも注目
 昭和7年。晴れて「明律大学女子部法科」に入学した寅子(伊藤沙莉)のクラスには女子の憧れの的の華族令嬢・桜川涼子(桜井ユ...
桧山珠美 2024-04-08 18:38 エンタメ
“お騒がせ”青井実アナが心機一転、なにわ男子の道枝駿佑と似てるって⁉
 世の中の人がNHKに持つイメージといいますと、「真面目」「お堅い」「地味」といったところでしょうか。  そんな中...
逃げ恥の百合ちゃん役が“頭のいい女は頭の悪いふりをするしかない”発言
 穂高(小林薫)に出くわしたことで女子部への出願が母・はる(石田ゆり子)にばれてしまった寅子(伊藤沙莉)。  娘に...
桧山珠美 2024-04-05 15:30 エンタメ
「虎に翼」語りは尾野真千子 NHKアナと俳優のナレーションの違いは?
 寅子(伊藤沙莉)がお見合いに苦戦する中、親友の花江(森田望智)は寅子の兄・直道(上川周作)との結婚準備を順調に進めてい...
桧山珠美 2024-04-05 15:14 エンタメ
「虎に翼」シン・朝ドラの予感!わずか1話、たった15分で心つかんだ描写
 昭和6年・東京。女学校に通う猪爪寅子(伊藤沙莉)は父・直言(岡部たかし)、母・はる(石田ゆり子)から次々とお見合いを勧...
桧山珠美 2024-04-01 22:28 エンタメ
僥倖!世界に挑む赤西仁ほど「サムライマック」のCM向きな俳優はいない
 マクドナルドのCMにイケメンあり!  そんな声をちらほら耳にするようになりました。たとえば4月2日から全国放送さ...
平野らTOBEがドーム公演大成功の一方、暗雲立ち込める旧ジャニの逆転は
 3月14日から17日にかけて、滝沢秀明氏創設のTOBE所属アーティストによる東京ドーム公演「to HEROes ~TO...
こじらぶ 2024-03-30 06:00 エンタメ
ブギウギ最終回、水を差すようでスンマセン! 残念すぎる4つの演出と描写
 スズ子(趣里)のさよならコンサートが始まる。客席には懐かしい多くの面々がかけつけている。茨田りつ子(菊地凛子)、愛子(...
桧山珠美 2024-03-30 11:41 エンタメ