ほうれい線、首のシワ…年齢が出るパーツを改善する方法は?

吉武光太郎 形成・美容外科医
更新日:2019-05-26 06:00
投稿日:2019-05-26 06:00
 プチ整形、アンチエイジング……気になるけど、敷居が高くてよくわからない、そんな悩みを抱えている方も多いのでは?コクハク編集部が皆さんに代わり、“こたろ先生”こと笹塚駅前こたろクリニック院長で形成・美容外科医の吉武光太郎先生に「知りたい!」をお聞きます。今回は、シワを伸ばしたり取る際の施術や料金について。

シワの施術にはさまざまな種類

Q1. 顔のシワを取りたい!どんな施術があるの?

 できてしまったシワを伸ばしたり取る施術は、主にボトックス注射、ヒアルロン酸注射、スレッドリフト、手術になります。

 シワの程度と場所にもよりますが、例えば浅い眉間のシワや額のシワはボトックスをすることで、シワを寄らなくさせ徐々に浅くなります。

 また額に関してはヒアルロン酸を注入することで額を丸くし、シワを消すこともできます。目元の小じわに関してはボトックス注射で、またコラーゲン注射で浅くすることが可能です。さらに目元用のスレッドリフトを使用することで可能です。

 ほうれい線はヒアルロン酸注射でボリュームを入れて浅くしたり、スレッドリフトをしてたるみを引き上げることで解決します。

 ご高齢になってできたたるみによるシワは、手術をして解決するのが一番効果あります。

パーツ別シワ取り方法とその費用は

Q2. おでこ・眉間・目尻のシワ、ほうれい線…それぞれの金額と方法は?

 まず、おでこのシワです。おでこのシワは主にボトックス注射でシワを取ります。9000円〜40000円です。金額の差は場所代や大量仕入れによる企業努力などで生まれますが、薄い濃度で使用して格安にしていることもあります。

 額のシワはヒアルロン酸注射で薄くすることもできます。この場合、投与する本数が多くなります。おでこのシワを取りつつ丸みを出す程度にヒアルロン酸を注入する場合は、3本程度必要になります。ヒアルロン酸1本の値段は3〜10万円です。安いものは、企業努力で安くなっている以外に日本未承認の製剤であったり理由があります。

 眉間のシワも同様に目尻のシワもボトックス注射でシワを取ります。9000円〜40000円です。ほうれい線はヒアルロン酸やスレッドリフトで改善させます。

 直接ほうれい線へヒアルロン酸を注入するとほうれい線が埋まって浅くなりますが、その分リスクもあります。あまり説明されないのですが、動脈塞栓や鬱血を起こす可能性があります。

 動脈塞栓は動脈の中にヒアルロン酸が入ってしまい動脈の血流を塞いでしまうことを言います。そうすると、失明したり鼻が壊死したりしてしまいます。

 なので現在はフィラーリフトという打ち方で、ほうれい線に直接投与するのではなく、ほうれい線が深くなった原因の場所にヒアルロン酸を投与してほうれい線を浅くする方法があります。

 フィラーリフトをしてもまだほうれい線が気になる場合は、直接ほうれい線にヒアルロン酸を入れることになります。ヒアルロン酸は1〜2本使用する事が多いです。

 スレッドリフトによりほうれい線を浅くする方法もあます。糸を皮膚の下に埋め込んで引き上げることでほうれい線が浅くなります。入れる場所は耳のまでであったり、こめかみであったりします。

 値段は投与する糸の本数にもよりますが、合計6本で20万〜30万円といったところです。本数を増やせばその分引き上げる力が高まります。スレッドリフトの良いところは、たるみの予防にもなることです。糸を入れている方、入れていない方だと、5年後の老け方が変わってきます。

首のシワを軽減&予防したい!

Q3. 首のシワを取る方法、できないようにする防御策は?

 首のシワはスレッドリフトで浅くすることができますが、それができる施設は限られています。価格は20万円前後といったところです。

 首の小ジワに関してはマッサージピールまたはコラーゲンピールと言われるピーリングを繰り返すと目立たなくなっていきます。最短で1週間に1回を6回程度繰り返します。1回の料金は14000〜20000円となっています。

 シワができないようにする防御策は、日焼けしないことにつきます。

 紫外線の中のUVA波が光老化に関わっていてシワとたるみの原因になります。PA++++の日焼け止めクリームを使って日中に塗り直すようにしましょう。

ボトックスとヒアルロン酸の違い

Q4. ボトックスとヒアルロン酸はどう違うの?

 ボトックスやヒアルロン酸の種類はたくさんあります。

・ボトックスについて

 アラガン社から出ている眉間と目尻の表情ジワに対して承認が通っているボトックスビスタですが、承認薬なので薬自体が高いです。それは承認を受けるために膨大な費用がかかっていることも一因です。

 また、承認を受けている部位に投与して何か問題が起きた場合、国の救済処置の対象となり得ますし、製造から納品まで厳格な管理がされているので、そういった意味でも価格が高くなっています。

 ほかは韓国製のボトックスやドイツの製剤があります。韓国製だから極端に「純度が低い」、極端に「不純物が多い」ということはありません。

 韓国の厚労省のようなところに認可を受けている薬もありますし、アルブミンという血液製剤を使用していないイノトックスというボトックス製剤があります。韓国製やドイツ製は日本の厚労省に承認を受けていないので日本で投与した場合、有害事象が起きて保証されませんが、その分、製剤の価格は安いので、患者様に安く提供されることがあります。

 同じ濃度で同じ投与量を注射した場合、金額によって効果や持続時間は変わらないですが、濃度や量によって効果の大きさや持続時間が変わってきます。また短期間にボトックス注射を繰り返したり、今までに使用した累積量が限度を超えると効きにくくなるということがあります。

 ボトックスの価格ですが、投与する量や単位数によって同じ薬でも価格が変わってきます。承認薬で額や眉間や目尻といった小範囲の小単位数で済む部位は2〜4万円ほど、未承認だと1〜2万円ほどになります。

 エラやわき、肩こりや足首やせなどのそれなりに薬の量をたくさん使用する部位は値段もその分増えてきます。

・ヒアルロン酸について

 これもボトックスと同じようなことが言えます。

 一般的に厚労省の承認薬は高いけれども保証や安全性が高いです。未承認の製剤は安くなっています。ボトックスと違っているのは、硬さや質感が薬によって違うので、使用している医師の感覚の好みや、目指す患者様の仕上がりの質感によって薬を選ぶことになります。硬いものほど持続期間は長く、軟らかいものほど吸収されるのが早く持続期間が短いです。

 硬いヒアルロン酸は、目元には注入する事ができませんが、あごや鼻根部に注入して形作るのに向いています。またフィラーリフトといって、たるみの原因になっている部位に注入する事で引き上げることができるのですが、そのフィラーリフトに向いています。

 軟らかいヒアルロン酸は、シワ自体に直接浅く入れてシワを埋めるのに適しています。涙袋を作る場合は、軟らかいものを注入します。

 ヒアルロン酸の価格ですが、承認薬は6〜10万円が相場です。未承認の韓国製のものは3〜6万円が相場になっています。硬いものであれば2年もつ製剤もあるので、月額換算にすると高い化粧品を買うより安く効果を得られます。

人によって顔が突っ張って見えるのはなぜ?

Q5. シワを取った結果、笑顔が不自然に見える人も。注意点は?

 シワ取りをして顔が突っ張ったり、笑顔でも笑っていないように見えるのは、ヒアルロン酸を入れすぎていたり、ボトックスが効かせてはいけない部位にまで効いてしまっていることが原因かと思われます。

 ヒアルロン酸を入れると時間をかけて徐々に吸収されていきます。患者様の中には、時間の経過とともに、減ったボリュームよりも多くの量を注入してほしいと思うようになるようです。

 ボトックスも然り。薬の効果が少しでも切れてくると、完全に効果が切れる前に追加でボトックスを注射したくなってきます。

 そうすると、入れすぎによる肌のつっぱりや、笑顔の違和感につながっていきます。もともとの顔を写真に撮っておいて、そこからどう変わったのかを見比べることが大切となります。

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吉武光太郎
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形成・美容外科医
埼玉医科大学を卒業後、大学病院の形成外科美容外科に入局し、シミ外来を担当。出向先の病院で眼瞼下垂の手術を中心に治療した。東京の美容外科で院長に就任し、シミ、シワ、たるみ、二重まぶた治療といった美容医療を提供。笹塚駅前こたろクリニックを開院した。

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