ピアノが弾ける子どもにしたいなら?知っておきたい親の心得

孔井嘉乃 作詞作曲家・ライター
更新日:2019-06-30 06:00
投稿日:2019-06-30 06:00
 子どもの習い事というと「ピアノ」というイメージがありませんか? 今も昔も、子どもにピアノを習わせたいと思う親は後を絶ちません。でも、習わせるからにはぜひ知っておいてほしい「ピアノ」との向き合い方を、ピアノ歴30年以上の私がご提案します!

子どもにピアノを習わせる時の親の心得

 人気の習い事ランキングの上位に必ず入っている「ピアノ」。みんなやっているからと安易に始めさせる前に、まずは知っておくべき親の心得を紹介していきます。

将来「音楽家になる」と言ったらどうするかを考える

 究極ですが、あなたは子どもが将来バンドマンや作曲家などの音楽家になりたいと言ったら、背中を押してあげられますか?

 私は3歳からピアノを始めましたが、「受験をやめて音楽家になる」と公言した時、両親から「なぜ、大学に行かずに不安定な道を選ぶのか?」と、反対されました。

 勉強面にも目をかけてくれていたので分からないでもないですが、でも、「じゃあ、なぜ音楽に触れさせたの?」と、思ってしまったものです。結局、押し切った形で今があるのですが。

 子どもが趣味の一環として「たしなむ程度」に弾いてくれれば良い、そう考える方も多いと思いますが、好きになったらとことん追求したい、やめられない、それがピアノだし、音楽だと思います。後になって「音楽なんて……」と言わない覚悟を、まずは持ちましょう。

親の希望や願望を押し付けてはいけない

「クラス合唱でピアノの伴奏者になって欲しい」「自分がやめて後悔したから、上手に弾けるようになって欲しい」と、あるママが言っていました。

 このように、自分の希望や願望で子どもにピアノをさせたいと思う親は意外といます。でも、そんな親に限って「なぜちゃんと弾けないの?」と、子どもを叱ってしまうケースが非常に多い。

 でも、この行為こそが、子どもをピアノ嫌いにさせる大きな原因になります。音楽には終わりがないし、正解もありません。「ちゃんと弾ける」なんてことは、一生ないのですから。理想を叶えたければ、自分が今、始めてみても良いのでは? そう思うのです。

ピアノを習うことで得られるメリット

 もちろん、ピアノを習うことで得られるメリットはたくさんあります。

脳の発達

 脳科学の視点から見ると、ピアノのように右手と左手を同時に動かして奏でることは、右脳と左脳の両方を活性化させることに繋がるのだそう。

 また、HQと呼ばれる協調性や思いやりなど、人間にとって大切な知能、表現力、持続力、集中力、暗記力が向上するという説もあります。

音楽と仲良くなれる

 ピアノを習うと、クラシックをはじめ、さまざまな音楽に触れることができます。その音の記憶は体に刻み込まれ、音楽とともに生きる、仲良くなることができるのもピアノを習うメリットでしょう。

 また、気分が落ち込んだ時、嬉しい時にピアノに触れることが表現方法の1つになったり、息抜きや気分転換になったりするのも魅力ですね。

ピアノを習わせるなら?子どもとの向き合い方

 そんな私は、なんだかんだでピアノと早30年以上の付き合いです。大人になった今だからこそ分かる、習い事としての「ピアノ」との向き合い方をお伝えしたいと思います。

指が動くようになるまでは一緒にピアノと向き合う

 子どもの指は大人と違って器用に動きません。頭で奏でたい音があっても、それを具現化することができずに悶々とするのです。

 その度に癇癪を起こしたり、練習を嫌がるかもしれません。でも、それでも、思うように指が動くようになるまでは、親が一緒にピアノと向き合ってあげるのが良いと思います。

 指導ではなく、ただ演奏を聴いて褒めてあげる。誰かが聴いてくれること、それが長年続けていける理由になると思います。

やめることをもったいないと思わない

 嫌がる子どもをなだめたり怒ったりしながら、お稽古ごとに連れて行く親をよく見ます。始めてすぐならまだしも、何年も続けている場合には「頑張ってきたのにもったいない!」という気持ちが湧いてしまうせいもあるでしょう。

 でも、子どもにだって嫌がる何らかの理由があります。なぜ嫌なのかを聞き、納得できるものであれば、もったいないと思わずに意思を尊重してあげると良いと思います。

 幼稚園でも学校でも音楽に触れる機会はあります。ピアニカや縦笛で、音楽の楽しさを知るかもしれません。1度やめたとしても、本当に好きならおのずと始めますから。

音楽家にさせたいなら、レアな楽器に転向もアリ

 ピアノやギターなど、和音を鳴らす「コード楽器」を弾く人口率はかなり高いです。つまりそれだけ、「プロ」として成功するのは狭き門だということ。

 もしも、音楽家にさせたいという強い希望があるのであれば、ピアノで基礎を学んだ後に人口率が低いレアな楽器に転向させるのもアリだと思います。例えば、サックスなどの管楽器、ドラム、パーカッションなど、音が大きく、揃えなければできない系の楽器は、レアだからこそ音楽シーンでも重宝してもらえることが多々あります。

 ただし、バイオリンだけは幼少期から始めないとなかなか習得しにくい楽器です。だからこそ超レア!なのですが。そこだけはご注意を。

「ピアノが好き!」を後押しするのが1番良い形

 30年以上続けてきて1つだけ言えるのは、ピアノは学んだ年数ではないということ。プロの鍵盤弾きの中には、大学時代からピアノを始めたという人も多くいます。こういった「本当のピアノ好き」の情熱や心意気には勝てないなぁと、よく思います。「好きこそ物の上手なれ」、これは本当。

 ピアノが弾ける子どもにしたいなら、練習を促すのではなく始めるきっかけだけを与えて、よく聴いて褒めること。「ピアノが弾ける子ども」ではなく、「ピアノが好きな子ども」にする。これが1番良い形だと思います。

 もしも今、「子どもにピアノを習わせたい」と思っているのであれば、ぜひ、参考にしてみてくださいね。

孔井嘉乃
記事一覧
作詞作曲家・ライター
3歳からピアノを始め、現在は作詞作曲家&シンガーソングライターとして活動中。2014年からウェブライターとしての活動を開始。得意ジャンルは美容、恋愛、ライフスタイル。コスメコンシェルジュ、日本化粧品検定1級、ベビーマッサージ資格、乳児心理+児童心理資格取得。
2016年、ママユニット「mamakanon」を結成。活動5年目にして、YouTube再生回数1,200万回達成。2020年、フレンチシンガーバイオリニストソングライターとのDuo「ellipsis」を結成。両者の絶対音感を活かしてカバー演奏などを行う。
1児のママ。特技は早起き。ウィスキーが好き。

◇孔井嘉乃公式サイトmamakanon公式 YouTubeチャンネルellipsis公式 YouTubeチャンネル

ライフスタイル 新着一覧


親の介護、孤独死のニュースで実感…私が40代で「終活」を始めたリアルなきっかけ
「終活」というキーワードを聞いて、何歳から始めるものだと思いますか? 実は近年、特に健康に問題がなかったり、若年層であっ...
【動物&飼い主ほっこり漫画】第104回「夢でもいいからアエルトイイナ」
【連載第104回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽの...
【漢字探し】「梛(ナギ)」の中に隠れた一文字は?(難易度★★★☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
誕生日にめちゃ嬉しい♡ 斬新な“たんおめLINE”3選。「宝探し開始!」お茶目な姉の仕込みにキュン
 大切な親友や気になっている人など、あなたにとって特別な相手へ“誕生日おめでとう=たんおめLINE”を送るときは一工夫す...
スマホ社会にゾゾッ…。65歳童貞、アナログ人間に世間は厳しい? 僕が“鉛筆”にこだわる壮大な理由
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(65)。多忙な現役時代を経て、56歳...
「息子の結婚相手はこんな人がいい!」8人の姑が“理想の嫁像”とリアルな本音をガチ告白
「息子の結婚相手はこんな人がいい」という理想の女性像を、姑の立場になる方たちに語ってもらいました。結婚を決めるのは本人た...
義母vs実母の“初孫”バトル勃発! マウント合戦に巻き込まれた新妻の叫び「私たちは代理戦争の駒じゃない」
 幸せなはずの新婚生活に影を落とす、姑との問題。令和の時代でも根強く残る嫁姑トラブルに直面したケースをご紹介します。
おやつにワクワク♡ 猫の尻尾がピン♪ “にゃんたま”の勝利ポーズが尊すぎる
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
子どもを思うほど胸が痛い…ひとり親家庭が抱える“見えない苦労”。差別や偏見とどう向き合う?
 2024年に離婚した夫婦の数はなんと18万組にのぼるのだそう。なかには「ひとり親家庭」となる人もいるでしょう。子どもと...
コンクリ貫通の生命力!「タカラジェンヌ」が由来の高貴なお花、寒さに弱いはずが“3度の冬”を越えたわけ
 今年の夏も暑かった!、我がお花屋の店先では、暑さにめっぽう強い見上げるほど大きく育った「南国生まれの貴婦人」が見ごろを...
効いてくれよ、スタバ1杯分! 更年期女がすがる心のお守り。すべてはプラシーボ効果と気づいても
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
この夏もやらかした! 女たちの“反省エピ”7選。「自分史上最も夏を無駄にした」「大出費でクレカを直視できない」
 毎年のことながら、終わってから「もっとこうしておけば…」と思うのが夏休み。今年も例に漏れず、反省を抱えたまま日常に戻っ...
「逃げたら干されるぞ」若手芸人が踏み込んだ“後戻りできない”選択。大金と引き換えに失ったキャリア
 世間を揺るがす芸能界のさまざまな噂。ニュースとして報じられ、真実が明らかになることも増えました。  現在は清浄化...
「我が子を可愛いと思えない」産後に心が壊れかけた経験談。私は母親失格だ…なんて思わないで
 出産してから「なんだか最近自分が自分じゃないみたい」などと異変を感じている人は、先輩方の声を参考にしてみるとよいかもし...
義母「うちの子そっくり」にザラつく…。“孫フィーバー”の裏、無視され続けた嫁の叫び。私は透明人間じゃない!
 私の友人サエ(32歳・銀行員)が第一子を出産したのは昨年の冬。待望の赤ちゃんが誕生し、夫婦で新しい生活を始めた矢先、彼...
芸術の秋!美少年“にゃんたま”の曲線美と薔薇にうっとり♡ まるで絵画みたいじゃない?
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...