かえしで漬けたパンチ力
その名もズバリ「そば屋のお新香(しんこ)」です。今回も「そば屋」とうたうからには使うのはもちろん……。
「そう、『かえし醤油』です。野菜を一口大に切ったら、かえしに漬けて1日置くだけ。今回はキュウリ、大根、カブ、ミョウガ、ナス、ニンジンを使いました。野菜は生で食べられるものなら、何でもいけます。長芋なんかもいいですね」
塩もみなどの手間は一切必要ありません。松本さんが言うように、野菜を切ったら、漬けるだけ。ジップロックなどの密閉袋がオススメです。洗い物が減るし、出来上がったお新香をつまんだあとのオマケにも都合がいいのです。
「そうですね。野菜を取り出したら、残った汁を万能調味料として使えますので。かえし醤油に野菜から染み出した水分がうま味になる。例えば、野菜炒めを作る際、醤油代わりにこの漬け汁を使ってみてください。一味違った炒め物ができます」
気を付けたいのは漬け込む時間だけ。松本さんは「丸1日までにしてください。それ以上だと塩味が強くなりすぎます」と言うが、塩分が気になる人はもう少し浅く漬けてもいいかも。
ほんのり色づいたお新香は、ぬか漬けとも浅漬けとも違う、パンチの効いた酒のアテになります。
【材料】
・野菜(生で食べられるものなら何でもOK)
・かえし醤油 適量
※かえし醤油の作り方
・醤油 500㏄
・みりん 100㏄
・砂糖 150グラム
鍋にみりんを入れて強火で沸騰させ、アルコール分を飛ばす。弱火にして砂糖を入れ、よく溶かしたら醤油を加えて1日寝かす。
【レシピ】
1. 野菜を写真のような一口大に切る。
2. 切った野菜をかえし醤油に漬け、冷蔵庫で1日置いたら完成。
本日のダンツマ達人…松本憲明さん
▽まつもと・のりあき
築地生まれ築地育ち。大手レコード会社に所属した過去を持つ、ロックバンドの元ドラマー。メジャーデビューを約束されながら、そば職人に転身。初代であり父でもある故・好生さんの下で修業を始め、現在は母の照代さん、兄の聰一郎さんと店を切り盛りする。
▼そば処 築地長生庵
築地場外市場の行列の絶えない人気そば店。初代が考案した店の看板メニューである「冷やし鴨南蛮」をはじめとするそばはもちろん、新鮮な素材と工夫を凝らしたツマミも豊富でファン多数。「ここの魚、特にマグロは銀座の高級寿司屋にも負けねえよ」とは常連の市場関係者である。
中央区築地4―14―1 モンテベルデ築地101
℡03・3541・8308
(日刊ゲンダイ2018年7月25日付記事を再編集)
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