夢みたいな新婚生活に落ちた黒い影…志穂さんのケース#1

神田つばき 女と性 専門ライター
更新日:2020-01-11 07:03
投稿日:2019-06-26 06:00
「あれって結婚だったのかなと、今でもよくわかりません。ただ、当時の日常を思い出すとムカムカして、吐いてしまうこともあるんです……」
 同業のフリーライター・志穂さん(30代・仮名)から、「モラハラ男、読んでいます」と連絡があり二人で飲みに行くことに。志穂さんに離婚歴があることは知っていましたが、このとき初めて彼女の結婚時代の話を聞いたのです。

息子以上に嫁が可愛いと言う姑のバックアップでスピード婚

郊外の1Rから高級住宅街の3DKへ

 地方出身の志穂さん(当時30歳)は、奨学金を返済しながら政治経済のライターとして活躍していました。ビジネス誌の経営者インタビューに行った志穂さんは、取材相手の勇太さん(当時33歳・仮名)と意気投合し食事に誘われました。

 わずか3ヶ月で二人は婚約し、半年後に挙式。そんなに早く結婚の話が進んだのは、勇太さんの母親が志穂さんを気に入ったからでした。

「都心まで1時間以上もかかるワンルームに住んでいるなんて、志穂さんがかわいそう。早く結婚して二人で住みなさい」

 お義母さんの後押しで、婚約と同時に、世田谷の実家近くの3DKマンションに住むことになったのです。

実の親以上に親身に助けてくれる義母

「お袋は息子じゃなくて、女の子がほしかったんだよな」

「そうよ、男の子には興味ないの。志穂さん、うちはマザコンじゃないから安心してね。娘ができて嬉しくてしかたないわ」

 その言葉どおり、勇太さんの母親は志穂さんを可愛がり、自分の服や化粧品を買うときは必ず志穂さんのものも買ってくれるほど、実の母娘のようでした。

 志穂さんの実家は山陰地方で、両親にはなかなか会えません。

「家事から親戚づきあいまで、何もかも世田谷のお義母さんに教えてもらい、歌舞伎やホテルランチにも連れて行ってもらいました」

 異変が起きたのは結婚式から半年後、志穂さんが最初の里帰りから戻ったときのことでした。

淋しさに耐えてきた姑と夫の間に入って

 実家へのお土産まで持たされての里帰りだったのに、婚家で待っていたのは不機嫌そうなお義母さんの視線でした。

「なんだか、いやねえ。お茶の入れ方や言葉使いまで実家風になっちゃって。あなたの家はここなのよ?」

 お義母さんが何に対して怒っているのかわからず、困った志穂さんは彼に理由を聞きました。

「淋しかっただけじゃない?里帰りはほどほどで切り上げてくれよな。志穂がいないと俺に干渉してきてイヤなんだよ」

 勇太さんのお義父さんは若いころから海外赴任が多く、お義母さんはいつも淋しい思いを強いられていました。愛する夫とお義母さんの関係が楽になるのなら、と志穂さんはますますお義母さんと親しくするように心がけたのです。

神田つばき
記事一覧
女と性 専門ライター
離婚と子宮ガンをきっかけに“目がさめて”女性に生まれたことの愉しみを取り戻すべく、緊縛写真のモデルとライターに。私小説「ゲスママ」、イベント「東京女子エロ画祭」「親であること、毒になること」などを企画。最近は女犯罪者や緊縛表現者に関するZINEの制作・販売を開始。Xnoteblog

関連キーワード

ラブ 新着一覧


「物価高でねぇ~」じゃない! バブル時代が抜けない49歳男の浪費癖。アルバイト生活が目の前に…
「冷酷と激情のあいだvol.244〜女性編〜」では、事業が下降の一途でも浪費を続ける夫・ヨシツグさん(仮名)に強い不満を...
並木まき 2025-05-03 06:00 ラブ
夫が「パパ活」してるかも…赤字でも生活水準を下げられない44歳妻の苦悩。高級車やゴルフ三昧にウンザリ
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2025-05-03 06:00 ラブ
「バレたら、一生終わり」義弟との情熱的な密会。介護で疲弊する中、身も心も慰められて… #2
 直美さん(45歳主婦/子供ナシ)は、水商売から保険会社を経て、34歳のときに資産家の勝久さん(55歳)と結婚。しかし、...
蒼井凜花 2025-05-02 06:00 ラブ
これぞ「ぽっちゃり」街コン! 黒沢かずこ似の30女が参戦したら、鬼のように楽しかった話。色気より食い気よね
 はじめまして、世田谷乃たらこと申します。30歳でフリーランス(とは名ばかりのフリーター寄り)ですが、この度婚活を始める...
わかってるのに…なぜ“都合のいい関係”を続けるの? 女たちの切ない言い分
「曖昧な関係を終わりにしたい」と思いながらも、なかなか別れられずにいるそこのあなた。その背景には、満たされていない思いや...
恋バナ調査隊 2025-05-02 08:35 ラブ
上京して人生変えたい…アラサーが陥る「勘違い」と「モテるため」のファイナルアンサー
 人生をやり直すために東京に行く! という人が時々います。中にはノープランで上京するケースもあります。  アラサー...
内藤みか 2025-05-01 06:00 ラブ
大人の男が悩殺された6つのセリフ。「私がいるじゃん!」「やだ♡」は疲れた社会人に刺さるのよ…
 いったい男性はどんなセリフにキュンとしたりメロメロになったりするのでしょうか?今回は、大人の男性が悩殺されるセリフを中...
恋バナ調査隊 2025-04-29 07:22 ラブ
それ、デートDVを受けてない? 束縛や避妊なし…日常に潜む8つのパターン
 交際相手から受ける暴力のことをデートDVといいますが、その暴力の中には精神的な暴力や性的な暴力なども含まれます。しかし...
恋バナ調査隊 2025-04-28 06:00 ラブ
地雷踏んだ? 気になる彼とのLINEが途切れてぴえん。嫉妬させるはずが大失敗!
 気になる男性とのLINEが急に途切れた! 脈なしだから? それとも送った内容に問題があった? 3つの例とともにその理由...
恋バナ調査隊 2025-04-27 06:00 ラブ
ノリ悪すぎてつまらん! 夫婦間の「関西人vs 東京人」バトル。妻が夫に感じる“地域差”あるある
 出身地域によって、常識や価値観が違うのは当然です。当たり前だと思っていたことが通じないと、イライラが溜まりますよね。夫...
恋バナ調査隊 2025-04-26 06:00 ラブ
「甘い言葉はバカバカしい」行為嫌いな46歳夫、妻に“演技で”求めた時に気付いたこと
「冷酷と激情のあいだvol.243〜女性編〜」では、夫婦間のレス解消への努力を始めた早織さん(仮名)の迷いをお届けしまし...
並木まき 2025-04-26 06:00 ラブ
45歳女が“夜の営み”作戦に悔やむワケ。友達夫婦の話に刺激されて…
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2025-04-26 06:00 ラブ
金目当てと罵られ…水商売あがりの女が“禁断不倫”に走るとき「義弟がたまらなく愛しくて」#1
 あまたある不倫でも「身内の婚外恋愛」は珍しくないのかもしれない。  今回取材に応じてくれたのは直美さん(45歳主...
蒼井凜花 2025-04-25 06:00 ラブ
つらすぎる!「40代の大恋愛」が終わっちゃった…別れた後の“ズタボロ”はどう癒せばいい?
 40代で失恋するのは、心身ともにとてもつらいものですよね…。今回は40代の失恋にありがちな別れの理由や、立ち直り方をご...
恋バナ調査隊 2025-04-25 06:00 ラブ
えっ、そんなことで? 勝手な男が語る「飽きる女」の特徴。尽くすのは勘弁…とか何様だよ
「付き合ってもすぐフラれる」「好きな人といい感じになっても連絡が途絶える」と、恋愛が長続きしないことに悩む女性は男性にす...
恋バナ調査隊 2025-04-25 06:00 ラブ
20代イケメン先生めぐりママたちが壮絶バトル…いまやPTAの係決めは新学期の風物詩に
 新入学や新学年の季節。子どもたちも新しい環境で張り詰めている時期ですが、そのウラで保護者のPTA役員決めの熾烈な争いも...
内藤みか 2025-04-24 06:00 ラブ