月経ディスクにベットする女の覚悟「ストレスを減らす手伝いがしたい」

コクハク編集部
更新日:2023-09-17 12:26
投稿日:2023-09-17 06:00

タンポンやナプキンより大容量で「最大12時間」着用可能

 海外製の月経ディスクはサイズが大きく、日本人が使うと合わないものもある。産婦人科医へのヒアリングも行い、試行錯誤を繰り返します。

 そして、2023年2月、メード・イン・ジャパンとしては初となる使い捨て可能な月経ディスク「MOLARA(モララ)」の発売にこぎつけます。

「“最大の売り”は交換頻度です。一般的に推奨されているナプキンの交換頻度は3時間ごと。タンポンは8時間ごとの交換で、しかも連続使用が禁止されています。『MOLARA』の容量は59ml。タンポン(5ml~9ml)や月経カップ(15ml~50ml)より大容量なので、1個で最大12時間の着用が可能です」

品質は譲れない

「MOLARA」の価格は9個入りで税込み6435円。1個あたり715円と決して安くはなく、いくら交換する回数が少なくて済むとはいえ、“日常使い”へのハードルは高いといえます。記者も使ってみましたが、装着には慣れも必要で、一度目は経血が少し漏れてしまいました。

「品質は絶対に担保したかったので、現状ではそのぶんが価格に反映されています。また子宮が後傾気味の方は着用が難しい側面もあります。そんなデメリットなどもきちんと説明し、理解していただいた上で使っていただけるよう、今以上に発信していきたいと思っています」

生理用品の選択肢のひとつに

 従業員は社長の向井さんただひとり。当面の目標販売数は月間500個で、現在は赤字ですが、注文がゼロの日がないのが救いであり、大きな励みになっているとニッコリ。

「生理用品といえばナプキンが一般的ですが、昔の人は布を使っていました。月経ディスクはナプキンの次を担うグッズになり得ます。そういう歴史も知ったうえで、自分に合う生理用品を選択して欲しいんです。『MOLARA』は常時使っていただかなくていいんです。彼氏の家でお泊まりする時とか旅行の時とか、困った時のストレスを減らす手伝いができたらと思っています。選択肢のひとつとして、頭の片隅に入れておいてもらえたらそれでいい。まずはそこからです」

 一般医療機器という特殊な製品のため、安定した生産ラインの確保も課題だといいます。

「生理用品についての知識を普及させたい」

 もっとも目標は「MOLARA」をたくさん売ることだけではないそうで……。

「生理用品についての知識を普及させたい。たとえば、小中学生に子宮の模型を持って説明しに行きたいんです。子宮って教科書でしか見たことがなく、形状ひとつとってもよくわからなくないと思うんです。

 それに家庭内で男の子に、女性の体の仕組みや生理について話をするのは、気まずかったりして躊躇する場合もありますよね。その役目を私が担えたら嬉しいなって」

 子宮の模型を抱えながらケタケタと笑う姿には、「生理用品の伝道師」なる肩書きが付く日もそう遠くはないと思わせる説得力とパワーを感じさせられます。

 大家族の主夫になるのが夢だと話すご主人と子供たち、そして「MOLARA」を製造するパートナー企業の協力を得ながら、アツい女、きょうも生理用品への悩みをなくす試みにまい進しています。

(取材・文=小川泰加/コクハク編集部)

◇向井桃子(むかい・ももこ)
 1988年9月生まれ、愛知県出身。2022年3月、「株式会社MONA company」を設立。2児の母。今年2月、「Why!? Direct.2023」スタートアップ部門部門賞を受賞。

公式YouTube「向井桃子は月経ディスクを愛してる」
公式通販サイト「MOLARA(モララ)」

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

ライフスタイル 新着一覧


口づけしたくなっちゃう♡ 真っ白な“たまたま”にロックオン
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
なぜお正月の飾りに竹?めでてぇ年賀の最強アイテムはSDGs的にも超優秀
 猫店長「さぶ」率いる我がお花屋にも、まもなくお正月がやってきます。  今年の暮れも嵐が過ぎ去った後のように荒れ放題に...
知人「やさしいたい焼き屋のおじさん」私「あれ母親」地雷踏んだLINE
 人にはそれぞれ絶対に踏んではいけない「地雷」があります。でも、それが何かはわからないケースがほとんど。今回は、LINE...
クリスマスを「自分へのご褒美」の口実にしてもいいかしら?
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
ギャラ飲みとラウンジで荒稼ぎも…まともな恋愛ができない29歳港区女子
 経営者や著名人、人気のインフルエンサーも利用する「ギャラ飲み」なるサービスって知っていますか? 東京都内のみならず、全...
再婚しても元夫・家族に子どもを会わせる?本音は「面白くない」だけど…
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
「こっちに付いてきて」広島で“たまたま”が秘密基地にご案内
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
枕元にプレゼントがなくても…満天の星空に心奪われる特別な夜
 出雲の国の満天の星空を眺めていた。  日付が変わった頃、天の川を切り裂くように飛行機が音もなく飛んでいった。 ...
ほっこり読み切り漫画/第64回「みんな揃って、メリークリスマス」
【連載第64回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 「しっぽ...
「不倫」と「浮気」の違い、知ったかぶりしてませんか?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
愉快な酔っ払い友達「どこ?寝室に辿り着けない」 私「あんたんち、1R」
 お酒の飲み方は人それぞれです。楽しく飲める人もいれば、酔っ払って記憶を無くす人も…。今回は酔っ払い状態の友達から届いた...
ドライアイ解消にも 目もと専用「アイシャンプー」の効果
 数カ月前、眼科で右目の上まぶたにあった霰粒腫(さんりゅうしゅ)の切除手術をしました。その際、医師に「できやすい体質って...
セクハラに時間が解決?責任を負わない事なかれ主義者の無責任LINE3選
 波風を立てず、責任を負わず、誰かがどうにかしてくれると見てみぬフリばかりする「事なかれ主義」。  一見、平和主義...
見た目とキャラが合わないのは当然!悩んだときの考え方
「見た目の印象とキャラがだいぶ違うよね」と言われて、悩んだことはありませんか?  自分が周りに与える印象と実際の自分と...
SNSや現実でも…他人の容姿批判がやめられない人は2種類いる
 みなさんの周りに、他人の容姿(ビジュアル)についてうるさい人、いませんか?  私はそういう人を見るたびに「かわいそう...
夜明けとともに起きだしたコハクチョウの胸の内
「あ~! 眠いけど、きょうも1日がんばるかあ!」  なんて言ってたりして。今朝の自分のことだけど(笑)。  ...