色恋に敏感なリリー、昭和8年が舞台の朝ドラに「百合」の描写は必要?

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2023-10-20 16:20
投稿日:2023-10-20 16:20

NHK朝ドラ「ブギウギ」~第3週「桃色争議や!」#15

(C)NHK
(C)NHK

 大和礼子(蒼井優)はストライキをするしかないと言い出す。一方、橘アオイ(翼和希)は、お客様が大切だと言い、また、礼子が二度と舞台に立てなくなるのではないかと心配してストライキに反対する。

 礼子は、ストライキをするかどうかをかけて、会社と最後の話し合いを行うことにする。

 劇団員はストライキに参加するかどうか各々で判断してほしいと告げられるが、スズ子(趣里)はまだどうするのか迷っていた。

【本日のツボ】

(C)NHK
(C)NHK

「やっぱりうちの勘は当たった。橘さん大和さんのこと好きなんや」(リリー白川の台詞)

 ※※以下、ネタバレあります※※

「あんた、ほんまにストライキなんかしたらどないなるかわかってんのか。二度と舞台に立たれへんかもしれへんで」

 橘の言葉に「わかってる……」と大和。何かを悟ったかのように橘が「わかってるって。あんた、まさか……アホなこと考えんといて」と。

 それを盗み聞きするスズ子、リリー(清水くるみ)、秋山(伊原六花)の3人。突然、リリーが、「やっぱりうちの勘は当たった。橘さん大和さんのこと好きなんや」と。

 色恋には敏感なリリーの言葉がそのまま伏線になるとは、この時は思いもしませんでした。

 翌朝。「自分の思いを社長さんにぶつけたいんです」とスズ子も大和に同行し、社長(升毅)のもとへ。

「礼さんがおれへんかったら、梅丸もここまでこれへんかったはずです。あの子かて、ほんまはこないなことしたないんです。なんで話し合いの場をもってくれへんのですか!」

 社長室から聞こえてきたのは橘の声でした。

同期愛だと思っていたら…

 大和のために、単身、社長室に乗り込み直談判する橘。それは、一緒に舞台に立ちたいという同期愛だと思っていたら……。

「自分を大切にできない人間は、会社やお客様を大切には出来ません。だから、私はストライキを決行します」。社長に宣言し、立ち去ろうとする大和に対して、「あかん。絶対に行ったらあかん。絶対に行かせへん」とドアの前に立ちふさがる橘。「うちは…うちは…あんたのこと……」。

 一瞬、何か言葉を呑み込んだようにも見えました。が、その後、「絶対に行かせへん」と。

 橘に近づく大和。そっとハグしその肩に頬をつけます。「ありがとう。あなたのお陰で私も頑張ってこられた」。残された橘は嗚咽し、その場に崩れ落ちます。

大和・橘コンビの熱演

(C)NHK
(C)NHK

 まさかの百合展開に唖然。昨今のNHKは多様性推しが激しいですが、昭和8年が舞台の朝ドラにまでこのようなものを入れこんでくるとは、ぶっ飛びーです。

 その要素、いります? それともこちらが勝手にそういう目で見てしまっているだけなのでしょうか。

 いずれにしても、大和・橘コンビの熱演に圧倒されました。あっ。スズ子も「なんや。さっきから聞いとったら、コラァ~」と社長室に乗り込み、モノ申す見せ場があったのですが、大和・橘コンビにすっかり持ってかれてしまいました。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


【台湾ルポ】台湾人の祈り方「拜拜」が酔狂的でエキセントリックすぎる!
 日本からのアクセスも良く、週末や連休を利用して旅行が楽しめる海外として人気の「台湾」。台湾グルメを満喫したり、観光スポ...
2024-03-07 18:24 エンタメ
「買い物ブギ」圧巻のステージ!“キングカズ長男”覚醒、スズ子の虜に
 ワンマンショーに向けて稽古や衣装合わせが続く中、スズ子(趣里)は新しいマネージャーのタケシ(三浦獠太)の様子を見て不安...
桧山珠美 2024-03-01 14:30 エンタメ
タナケン「業界」発言に違和感 喜劇界でも演劇界でもないワードチョイス
 タナケン(生瀬勝久)が入院したと聞き、山下(近藤芳正)とスズ子(趣里)は、タナケンの見舞いに行くことにする。  ...
桧山珠美 2024-02-27 15:05 エンタメ
NHKさん、スーパー家政婦・大野さんのレシピ本出版のご予定は?
 大野(木野花)が家政婦としてスズ子(趣里)の家に来て半年、愛子(小野美音)はニンジンを食べられずにスズ子を困らせていた...
桧山珠美 2024-02-26 16:00 エンタメ
芦田愛菜が少し嫌いになりそう…「さよならマエストロ」本筋以外が楽しみ
 イケメンの息子はやっぱりイケメンです。TBS日曜劇場「さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~」を見ながら、確信...
恐るべし、大野さん! おてんば愛子を“瞬殺教育”、白い割烹着は信頼の証
 茨田りつ子(菊地凛子)の紹介で、大野晶子(木野花)がスズ子(趣里)の家政婦として働くことになる。  この日のスズ...
桧山珠美 2024-02-24 13:55 エンタメ
錦戸亮“主演抹消過去”もバネに復活!山ピー、平野ら民放地上波で続々躍動
 2月23日、「不適切にもほどがある!」(TBS系、以下「ふてほど」)に錦戸亮(39)がゲストで登場し、大反響を巻き起こ...
こじらぶ 2024-02-24 16:04 エンタメ
痛快すぎるりつ子のひと言、“眼鏡会計ババア”でざわつかせた女優登場!
 スズ子(趣里)は、羽鳥善一(草彅剛)に新曲にはブギの歌を書いてほしいとお願いする。  はじめは、ブギが続けば面白...
桧山珠美 2024-02-22 15:05 エンタメ
デカッ!急成長を遂げた2歳の愛子にびっくり、愛助さん似?
「東京ブギウギ」に続き、「ジャングル・ブギー」もヒットさせたスズ子(趣里)は、仕事に育児に大忙しの日々を送っている。 ...
桧山珠美 2024-02-19 17:00 エンタメ
「ふてほど」磯村隼斗の白ブリ姿がマッチ! 錦戸亮出演にアノ人も続く?
 あれからムッチ先輩の白ブリーフ姿が頭から離れません(笑)。ほどよく均整の取れたムッチ先輩の細マッチョな肉体に清潔感あふ...
中島健人まさかの大炎上 熱愛報道時の“友人の1人”発言が矛盾ではない訳
 Sexy Zoneからの卒業を発表している中島健人に熱愛スキャンダルが発覚し、彼の発言の矛盾を指摘する声が相次いでいま...
堺屋大地 2024-02-24 14:24 エンタメ
「キターーーー!」で思い出す目薬のCM、趣里の細体型が映えたヒョウ柄
 スズ子(趣里)は、タイ子(藤間爽子)と語り合う。夢を叶えたスズ子と、どん底にいる自分を比べると惨めで恥ずかしいというタ...
桧山珠美 2024-02-16 15:43 エンタメ
“昨日の敵は今日の友”というけれど…NHKさん、展開についていけません
 スズ子(趣里)は靴磨きの少年・達彦(蒼昴)に会いに行く。達彦にタイ子(藤間爽子)との思い出話をし、達彦からは、タイ子の...
桧山珠美 2024-02-15 16:25 エンタメ
偶然が過ぎる親友との再会、「やさぐれタイ子の8年間の謎」が気になる
 昭和23年、羽鳥善一(草彅剛)がスズ子(趣里)に送った「東京ブギウギ」は、明るいブギのリズムが人々の心をつかみ、空前の...
桧山珠美 2024-02-12 14:30 エンタメ
ムロツヨシは「男の顔は履歴書」を地で行く 伸びしろだらけのイケメン説
 先週のテレビはさながらムロツヨシ・ウィークでした。フジテレビ系「だれかtoなかい」、TBS系「日曜日の初耳学」「櫻井・...
東京ブギウギ初お披露目! 第1回冒頭のシーンとの違いは明白だった
 羽鳥善一(草彅剛)の気合が入った稽古に臨むスズ子(趣里)だが、愛子の世話をするために何度も中断することになってしまう。...
桧山珠美 2024-02-12 13:40 エンタメ