なぜお正月の飾りに竹?めでてぇ年賀の最強アイテムはSDGs的にも超優秀

斑目茂美 開運花師
更新日:2023-12-27 06:00
投稿日:2023-12-27 06:00
 猫店長「さぶ」率いる我がお花屋にも、まもなくお正月がやってきます。
 今年の暮れも嵐が過ぎ去った後のように荒れ放題に荒れ、夜ともなれば片付ける気力もないまま、次の仕込みに移る毎日。「贅肉」という名の防寒具をたっぷりと身に纏ったさぶ店長とのスキンシップに癒され、暮れていきます。

花友達Kの助言

 そんなある日の夜、花屋友達のKが店にやってきました。何度かこのコラムにも登場した変態Kを「よく来た!」とおだてながら花屋仕事を手伝わせ、一息ついてお茶をススりながら、「今年のラストコラムは何を書くべきか」という話に…。

「そりゃ斑目さん、竹じゃないですかねぇ」

 とおっしゃるK。「やっぱり正月ってぇと竹がめでてぇってなもんでござんすよ」と続きます。

 Kの長話が「日本昔ばなし」のテーマソングのようにも聞こえ、子守唄よろしくワタクシを居眠りの夢の中へと誘っていきました…。

 今年最後の「笑う花には福来たる」は「来年も勢いよく行こうぜ! 竹」の解説でございます。

なんでお正月に竹?

「松は千年を契り、竹は万年を契る」

 これは神様の依代(神様が宿る場所)が永遠に続くようにとの、縁起の良い組み合わせを指します。

 松の細かな葉の隙間が神様の依代であり、冬でも枯れない松は長寿や永遠の命の象徴。また、痩せた土地でもあっという間に元気に青々としなやかに育つ竹は「誠実」や「子孫繁栄」の象徴です。

 この2つに白梅を差し込んだ門松は「松竹梅」の最強おめでたアイテムとして、神域の印「しめ縄」とともに神様降臨の目印なのでございます。

 また門松によく見る節を斜めにカットした竹。あの意味は、切り口が笑った口の「笑口」に見えるから。

「笑う門には福来る」とは、門松の斜めに切った竹のことでござんすのよ。お正月には欠かせない竹は、「長寿」と「子孫繁栄」の最強な縁起物ですな。

あれもこれも…竹は万能アイテム

 OL時代、会社近くの「ラーメン博物館」で同僚が「えー!」と奇声を発したことがありました。

「どうした?」と聞けば、「メンマって竹だったの!?」。「竹って食べられるのか?」と続きましたが、ならば筍の立場がねえだろよw。「メンマは木の煮物」と思っていた同僚にも驚きましたが、竹のポテンシャルは大したものでございます。

 耐久性に優れ、加工しやすい竹は、古くから日本人が生活する上で多く使れておりました。

 身近にあげるとカゴや器などの生活雑貨だけでなく、建築素材や消臭剤として筍から竹だけでなく皮までも様々な分野で長く活用。それでもいつの間にかプラスチック原料に代替えとなり、その立場は脅かされるように…。

 ところがSDGsでサステナブルな素材として、今、俄然注目されています。

 従来の加工のしやすさだけでなく、紙原料やプラスチックから仇をとるべく「脱プラ」の筆頭株として、一躍名乗り出たのです。

 竹はとにかく成長が早い! 木であれば20~30年かかる丈長をたった3カ月でOK。

 種子で育つわけでなく、地下茎でどんどん広がる竹林は特別な肥料もいらず、痩せた土地でもぐんぐん広がり、「手入れ」という名の収穫で、より素晴らしい竹が生産されます。

 そして、注目すべきは大気中の二酸化炭素の吸収と酸素の排出量。同量の木に比べても二酸化炭素の吸収量も酸素の排出量も多いため、生産性だけでなく、環境に優しく申し分なし。素晴らしいアイテムです。

竹の花は不吉なのか

 デザイン作品の制作時、木と竹をよく使っていたワタクシ。竹林に入っては根っこから使いたい竹や地下茎を掘って収穫したのですが、本当に大変なんですよ~、この作業。

 四方に広がる地下茎は掘ってもなかなか頑丈。終わらない作業のさなかに、祖母が関東大震災の時に、揺れる大地にあらがって竹林に逃げた…という話を思い出します。

 竹の寿命はおよそ1本が20年程度、地形の寿命は120年と言われています。古(いにしえ)より活用されてきた竹は、節度を持って収穫され、手の行き届いた竹林が日本の各地に多く存在していたはず。

 地下茎という強い地盤を作るため、防災あるいは河川の防備林としても利用されていました。

 本来ならば自治体や持ち主が収穫し、手入れをしたはずですが、誰にも面倒を見てもらえず放置され、荒れた竹林が全国的に増えてしまったのでございます。

 そんな竹林で必ず見かけるのが竹の花。竹の花は不吉なことが起こる前触れという言い伝えがありますが、大体の竹林には花が咲いていたので、都市伝説やーと思っておりましたw。

 SDGsでエコな竹。その花言葉は「長寿」「忠誠」そして「強さ」です。

 冬でも太陽に向かって真っ直ぐにしなやかに育つ竹のように、来年も皆様が強くたくましく、過ごされますことを…遠いお空の向こうから皆様のご多幸とともにお祈りしておりますよ~。

斑目茂美
記事一覧
開運花師
半導体エンジニアを経て花業界に転身。イベント・ホテルなどの装飾も手がける生花店を営む傍ら、コンテストで優勝・入賞を重ね、雑誌・新聞等に作品を発表する。神奈川各所にて花教室を開催。障害者支援も花で実践。悩ましくも素敵なお客様を「花」で幸せへと導く道先案内人。ブサかわ猫店長「さぶ」ともに奮闘中。Facebookやってます。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


仕事に遅刻! 信頼を失わない言い訳&連絡時のビジネスマナー
 社会人でも、寝坊をして遅刻をしてしまった経験がある人も多いでしょう。でも、会社に勤めていると、遅刻した際に大人として正...
“にゃんたま”は神様の化身?幸せを呼ぶまあるい鈴カステラ
 あけましておめでとうございます。今年も「にゃんたま詣」でスタート!  神社で動物に出逢うのは、神様の歓迎サインと...
ご祝儀は新札しかNG? 土日の入手方法やアイロンでの作り方
 友人の結婚式が近づいて、美容院の予約やドレス、靴の手配まで完璧なのに「ご祝儀の新札がない!!」と焦った経験はありません...
来年は猫年じゃない? 干支に入れず恨み節の“にゃんたま君”
 昔、神様は元旦に動物たちにあいさつに来るよう言いました。12番まで先着順に、年の動物になれるという大イベントでした。 ...
本当に自分のために? 素直に聞くべきアドバイスの見極め方
 昔から「素直さは大切」だと言われます。大人になっても素直さを忘れずに、周囲のアドバイスを聞き入れられる人のことは尊敬し...
脱いだ作家を守るために…作品を山に埋めた編集者の話 #3
 投資していた友人の失脚により、K社長はブラックな債権者から追われる身となりました。  社長は行方をくらまします。...
縁を切るべき友達の5つの特徴&上手に縁を切る方法とは?
 どんなにコミュニケーション能力が高い人でも、「苦手だな」「付き合いにくいな」と感じる人は、誰にだっているもの。仕事の付...
後ろ足で器用にポリポリ…一緒に“にゃんたま”も揺れちゃうの
 きょうは、首元がカユ~イにゃんたま君です。  首を掻くのに、うしろ脚を使うなんて…ニャイす!  一本だけ爪...
脱いだ作家を守るために…作品を山に埋めた編集者の話 #2
 自分の作品がヘアヌードブームに引っかかることも、世間はこんなにエロが好きで、女性のヌード=男性の下半身への奉仕物、と見...
脱いだ作家を守るために…作品を山に埋めた編集者の話 #1
 女が脱ぐ仕事をするのには、いまも昔も危険や煩わしいことが付きまといます。  私自身、音楽をやっていた頃に自分の作...
お葬式に黒いタイツはダメ?寒い日の防寒対策&喪服のマナー
 真冬にお葬式に参列することになった時、黒のストッキングでは足元が寒いことってありますよね。でも、暖かい格好で行こうと思...
配信者にとっては厄介!「察してもらいたい欲」がすぎるひと
 ライブ配信は、まさに魑魅魍魎(ちみもうりょう)がうごめく世界。今日も今日とて、多くのライバーやリスナーは、配信をめぐっ...
この匂いはあの子かにゃ?チェックに余念のない“にゃんたま”
 猫の嗅覚は、人間の嗅覚の数万倍から数十万倍鋭い、といわれています。  猫の鼻先は常に湿っていて、空気中に流れてい...
今年の実付きは最高!「千両」と共に迎える幸せなお正月
「今年の千両、実付きがいいよ!」  花市場でいつもお世話になっているセリ人のお兄様が電話の向こうで叫んでおります。...
旅行できない今こそ…年末年始におすすめグルメサービス2選
 政府の観光支援策「Go To トラベル」の全国一斉停止が決まり、年末年始の予定を変更した人も少なくないはずです。こんな...
静かな時間の終わりなき毛繕いに感じる“にゃんたま”の美学
 男には自分の世界があるらしいと知ったのは、小学校低学年の頃。  テレビでルパン三世のアニメのテーマ曲が流れていて...