がん→子宮全摘まで“カウントダウン1カ月”の記録<恋愛編>

コクリコ 編集者
更新日:2019-09-15 18:20
投稿日:2019-07-16 06:00

慣れない仕事で鬱状態に

 そんな彼なので、プロジェクトリーダーになることはかなり心配していましたが……案の定、徹夜が続き、どんどん疲弊していった彼は、しばらく会ってないうちに鬱状態になっていました。

 彼にがんになったことを電話で話すと「今の時代、いろいろな治療法があるから、しっかり調べた方がいいよ」と言われ、あとはずっと自分の仕事がつらいという話ばかり……。「調べるのは手伝ってくれなんだなぁ」とさみしく思いました。

「鬱は治らないんだから」

 後日会った時にはこんなやり取りをしました。

私「がんで子宮全摘なんだよね、つらいよ。もう妊娠だってしないし、セックスもしにくくなるんだよ」

彼「うーん。まぁ、病気だし仕方ないよ。でもコクリコちゃんのがんは切れば治るけど、俺なんか鬱なんだから。治らないんだから(軽くキレ気味)!」

 彼のお父さんが10年前にスキルス胃がんを克服したということ、でもお姉さんは5年経っても心の病を克服できていないこと。彼にとっては「がん」は治る病気で、「鬱」は治らない病気だという認識だったようです。極端……。

 もう、こんなに寄りそってくれない人とは一緒にいられない――!

価値観の相違

 さみしくてがっかりしたのと、こっちは死ぬか生きるかという気持ちで闘っているのに「切れば治る」とあっさり言われてなんだか腹も立ちました。

 でも心配だったので「ハイスペ君も病院に行った方がいいよね。ひとりで行けないなら、付き添ってあげようか?」と言ってみたりしたのですが、ふと“私なんかひとりでがんの病院も行ってるし、ひとりで救急車も呼んだのに、この人は駆けつけてくることもしなかったし、もうないな。っていうかこっちががんだしな”と気づき、そのあと少し話し合って、お別れをしました。

 そもそも「仕事が好き」な私と、「仕事が嫌い」な彼。

「病気になって大事な仕事を、大好きな著書を他の人に引き継ぐのがつらい」という話には「まったく共感できない」と言っていました。これまで彼が言っていた「自分は仕事が嫌いだから、コクリコちゃんの仕事が好きというところを尊敬している」は、「いつまでも前向きすぎて今の僕にはきつい。頑張ろうねって言ってきてうっとうしい」に変わっていました。

がんも破局の理由に

 それがなくても別れていたとは思いますが、がんになったことも別れた理由のひとつなのではないかと思っています。ハイスペ君は、肉体的なつながりを重視するタイプ。よく働く男は、性欲もすごいんだなぁ……。

 がんが分かって、子宮頸がんがウイルス感染が原因だと知り、彼に電話で「これはハイスぺ君のウイルスが原因なんじゃないかな」と言ったのですが、「がんが大きくなるまでには5年くらいかかるから、僕じゃないでしょ」と静かに言い返されました。正しい。さすが賢い。

 でもハイスぺ君に恨みはないし、付き合っているときはとっても優しくしてくれたし、私も好きだったし、このときの不正出血でがんは見つかっているので、そのために私に必要な人だったんだと思っています。

手術は性交渉に支障をきたす

 子宮頸がんの手術、広範子宮全摘出術では膣を切除することになり、性交渉に支障をきたす可能性があります。肉体的なつながりが欠かせないという男性には、そこが理解されないということもあります。実際、別れたカップルや離婚しているご夫婦もいると先生からも聞きました。

うれしいお知らせを

 主治医のT先生は「彼氏に病気について手術に説明してあげるから、ここに連れてきなさい。工夫すれば(性交渉)できないことはない」と言っていましたが、ハイスペ君を連れて行くことはできませんでした。その前に別れてしまったので。

 先生はがんサバイバーのうれしいお知らせを待っているそうで、定期健診のたびに「新しい彼氏できたら連れてきてね」と言っています。頑張ります。

 次回(7/23公開予定)に続きます。

コクリコ
記事一覧
編集者
実用書の編集者(社畜)。アラフォー未婚のがんサバイバー2年生(進級しました!)。2018年、子宮頸がんにて広汎子宮全摘出術を受ける。現在ホルモン補充療法をしながら経過観察中。SNSをパトロールするのが趣味。“Twitter探偵”とも呼ばれる。でも幸せになりたい。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


赤いガーベラ1本400円買える? “赤除外”で楽しむクリスマスフラワーを花屋店主が提案
 お歳暮とクリスマスと正月…お花の市場もごった煮のおかしな状態になっています。年中行事に敏感な花業界に身を置くワタクシで...
世間話に役立つ! 40代が知っておくべき2024年流行語大賞ワード5選
 2024年の新語・流行語大賞が12月2日、発表されました。皆さんはもうチェックしましたか? なかには「聞いたことがない...
更年期障害と付き合うおばさんの心得。私は「ツヤ髪」で自信を取り戻す
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
紀州のドン・ファン元妻のLINEグループ「恋して昇天ナンマイダ」の元ネタはこれか? BL好き疑惑が浮上中
 12月12日、「紀州のドン・ファン」こと野崎幸助さん(当時77)への殺人罪に問われた元妻、須藤早貴被告(28)の判決公...
2024-12-17 06:00 ライフスタイル
中山美穂さんは「入浴中の不慮の事故」で…40代から気を付けたい“お風呂のヒヤリハット”
 中山美穂さんのニュースが話題になっていますが、お風呂でのヒヤリハットは、案外見過ごしがち。特に40代を過ぎた人は、しっ...
むくみ、冷え対策にも…貴女に合う年末年始を楽しむデトックスアロマは?【フェロモンジャッジ調香師が解説】
 年末はイベントや食事会の機会が増える楽しい時期ですね。お酒や食事を思いきり楽しむ反面、気がつけば体重が増え、体のむくみ...
静謐な深い山の中
 何か深いことを考えようと思ったけれど  かすかな川の音を聴くだけで  ただ心が安らぐのだね
セクシーな男の余裕が尊い! 不意にポロリした“たまたま”にドキドキ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
【動物&飼い主ほっこり漫画】第87回「こたつチャージ」
【連載第87回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
【女ことば】「眉目秀麗」は誰に当てはまる“褒め”四字熟語?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
「38歳です」→マチアプ男「あーwww結構いってる」って感じ悪っ! 縁切り不可避LINE3選
 自分のLINEを読んで相手がどう捉えるか、どんな気持ちになるかまで考えられない人や、わざとトゲのある言い方をしたがる人...
「無能の鷹」の菜々緒もビックリ? 一丁前に仕事ができる風に見えるLINE3選
 どう見てもキャリアウーマンに見えるのに、衝撃的に無能な新入社員の日々を描いたドラマ「無能の鷹」が話題になりました。 ...
「おじたちから評判いいよ」で得た自分の価値。パパ活女子の末路は惨め一直線なの?
 恵比寿のエステサロンで働いている晴乃は、同い年のお客様である港区女子のまひなから誘われ、ギャラ飲みに参加する。気乗りは...
「ギャラ飲み」初体験女子が港区で受けた洗礼。富裕層おじがニヤつくワケは…
 恵比寿のエステサロンで働いている晴乃。お客様の中でも港区女子のまひなは、同い年の晴乃を見下し顎でこき使う。1カ月の食費...
モブキャラ自認の23歳が「パパ活」に落ちるまで。50万円のヴァンクリに「興味ない」は言い訳?
「倉持様、こちらでお待ちいただけますか」  恵比寿から徒歩5分。山手通り沿いのビルにある美容整体サロン。受付の山本...
ママ友界隈の事件簿10連発。キャベツ枕、ゴミ屋敷、NO予防接種の自然派ママまで…今日も激ヤバ!
 子供がいると避けて通れないのが、ママ友とのお付き合い! 気が合えばいいですが「付き合うのが面倒」と思うママ友もいるでし...