「セックスは心でするもの…」乳房、卵巣を失った人妻の甘美な気付き #5

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2024-03-01 06:00
投稿日:2024-03-01 06:00

一緒に幸せになろう

――香織さん、大切にするから…。

 深く繋がったまま、私たちはいくども唇を重ね、見つめ合いました。

――嬉しい…私もタカさんを大切にしたい。

――うん、一緒に幸せになろう。

 そう言うと、胸の傷跡にキスをしてくれたんです。誰もが目を背けていた胸の傷も受け入れ、愛してくれるタカさんとの出会いに、私は心から神様に感謝したものです。

 これまでのセックスでは得られなかった、愛おしく狂おしい感情が体の隅々まで広がっていきました。寸分の隙も無く密着した女陰がヒクヒクとペニスを締めあげ、収縮していく…。

 子宮で爆(は)ぜた熱い塊が、猛スピードで背筋を這い上がっていきました。

――ああっ…イク…イクわ!

 私がエクスタシーに達すると、

 ドクン、ドクン、ドクドクーー!

 それを待っていたかのように、タカさんもアクメを迎えたんです。

 避妊具ごしでもペニスの脈動が感じられて…私の体で彼がイッてくれたという感動が胸奥からこみ上げてきました」

マッチングサイトに数年居続ける男女も

――幸せなご体験に私も感激しています。続けてください。

「その後も、タカさんとは正式に付き合っています。彼は約束通り『既婚者専用マッチングサイト』を退会してくれました。

 純也さんにはLINEで『あなたの存在が夫にバレそうだから、もう連絡できません。ありがとうございました』と送ったんです。返信はありませんが、サイトのチャット欄を見ると、ブロックされていました(笑)。

 私は幸運にも2人目で素敵な男性と巡り合ったわけですが、マッチングサイトには数年間も居続ける男女が多いようです。結婚しても、皆、ときめきや潤いを求めているんですね。

今を大切に生きる

 この先、ホルモン治療が続きますが、彼と幸せな婚外恋愛をするためにも、とにかくポジティブでいようと思います。

 彼が私を幸せにしてくれたように、私も彼を幸せにする努力を惜しみません。

 もちろん『互いの家庭を壊さずに』が大前提。未来の心配をするよりも、『今を大切に生きる』を心掛けています」

 乳がんのため、両乳房と卵巣の全摘出という女性にとって苦しい経験をした香織さんは、素晴らしいセカンドパートナーを見つけ、新しい道を歩み始めている。

 彼女の幸せを心から応援したい。

(了)

蒼井凜花
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官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
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