ホステスの世界にもある「裏引き」という名の“闇営業”の実態

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2019-12-31 02:06
投稿日:2019-07-31 06:00
 世間をにぎわせた“闇営業”。「事務所を通さず仕事のオファーを受け、報酬を得る」行為は、夜のクラブでも存在します。店に許可なくお客さまと店外デートし、金銭を受けとる「通称・裏引き(うらびき)」です。
 今回は、夜のクラブの闇の部分を、CA歴4年、六本木のクラブママ歴10年の筆者がお伝えします。

1. 裏引きの流れ

 ホステスの給与形態はさまざまです。「月1000万円は売るので、○割を下さい」という売り上げホステスもいれば、「売り上げ制は不安定なので、日給でお願いします」という日給ホステスもいます。私が勤めていた店では、営業時間5時間で、上は日給5万円、下は1万5千円と記憶しています。

 ルックスがいい子は有利ですし、美女でなくとも指名が多かったり、トークに長けている子は戦力になるとみなされ、高給が得られます。

 そこには「不公平」が当たり前に存在するのです。

 さて、どんな世界でも秩序を乱す者がいますが、夜の世界でも、リッチなお客さまに対し、「店を通さず、直接会いませんか?」と、裏引きを持ちかけるホステスがいます。

 寝る、寝ないは別として、しっかり「お小遣い」をもらうことは共通しています。

 また、お客さまのほうから「日給2万なんだろう? もっとあげるから外で会わない?」と誘う場合もあります。

 実際、店以外で会うことで、サービス料や指名料はかからず、なおかつ、黒服やママの目がない分、より親密なデートが可能なので、お客さまにとっても好都合です。

 ホステスも、一日何組ものお客さまを接客し、お酒もたくさん呑まねばいけない店よりも、気の合うお客さまひとりと店外デートし、お小遣いをもらった方がコスパがいいのです。

 クラブには「担当制」というルールがあり、店のママや売り上げ担当ホステス以外のヘルプホステスが、お客さまと許可なく会うことは許されません。

 しかし、上手く立ち回って、店のルールを乱しながらも稼ぐホステスもいます。

2. ルールを犯しても店側とWIN-WINになればOK

 店のルールを破った場合、罰金や退店などのペナルティが課されますが、例外もあります。

・事前報告してくれれば、店外デートはOK。
・その代わり、そのお客さまには、これからも店に通ってもらい、大金を落とさせること。
・その分、あなたにも特別手当を保証する。

 裏引きをするホステスは、見方を変えれば「野心家」です。

 それを逆手に取り、彼女らに有利な条件を与えることで、店も太客を増やす。ホステスも店側も利を得られるように仕組むことも珍しくありません。

 ウインウインの関係になればOKということです。

3. 黒服の「イロカン」もあり!

 ホステスには、店長や黒服など、比較的若い男性スタッフが「相談役・サポート役」としてあてがわれます。ホステスたちは、日々、「売り上げの悩み」「人間関係の悩み」「お客様からのセクハラめいた行為」などに心を疲弊させているため、男性スタッフがサポート役に回ることで、少しでも働きやすい環境を作るのです。

 しかし、ここで恋愛関係になってしまう男女は、少なくありません。

(ちなみに男性スタッフがホステスとデキてしまったら、罰金「50~100万円」を請求されることもあります)

 また、あえて男性スタッフがホステスと恋愛関係になり、「俺の昇進のためにも、売り上げアップを頑張ってほしい」などと、色恋管理(通称・イロカン)をさせる店も存在します。

 さて、今回は夜の世界のダークな部分をご紹介させて頂きました。

「お金と人気と男が絡めば、女は変わる」という現実を目の当たりにした私のクラブ時代でした。

蒼井凜花
記事一覧
官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
オフィシャルサイトYouTube

ライフスタイル 新着一覧


【ルポ】顔出し告白!ギャラ飲みで稼いだお金は「テニミュ」の推し活にぶっ込む26歳キラキラ女子
 経営者や著名人、人気のインフルエンサーも利用する「ギャラ飲み」なるサービスって知っていますか? 東京都内のみならず、全...
40代、あちこち不調が…老いを痛感した9つの瞬間、頭の感覚と体が連動しない
 40代になって、一気に体の不調が増えた人は多いはず。見た目が若くても、やはり加齢による体の変化はごまかせません。今回は...
冬の色の街で
 生ビールの文字が呼んでいる。  まだ早いかな?  もういいか。  
美人に使われる女ことば「柳眉倒豎」って読めますか?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
子どもが「メイクしたい」と言い出したら? 知っておきたいリスクとコスメ選びのコツ
 もし自分の子どもが「メイクしたい」と言い出したら、あなたはどうしますか? 自分のコスメを使ってメイクしてあげようと思っ...
会話泥棒はLINEでも絶好調だった3種。「私も、昔…」で流れを根こそぎ持っていく
 人の話を遮って自分の話にすり替える“会話泥棒”、あなたの身近にもいるのではないでしょうか? 承認欲求が強い人や、目立ち...
モーニング食べたら食パン1斤!? 勝負の2025年、心に刻む「岐阜のサービス精神」
 踊り子として全国各地の舞台に立つ新井見枝香さんの“こじらせ”エッセーです。いつでも、いついつまでも何かしら悩みは尽きな...
返信に困る…体調不良自慢LINE3選。体温計の写メ付きで頑張るオレの猛アピール
 あなたの周りにいませんか? 体調不良のLINEにを自慢のニュアンスがある人…。心配されたいアピールが強めの人や、「私の...
ゾゾッ 真冬のスナック怪談。誰もいない店に足音が…ママの「強烈な一言」で霊も退散!?
 いよいよ来週はクリスマス、それが終われば年末ですね。みなさんが目にするコンテンツもロマンチックなものが増えているのでは...
40代の救世主か!?「美的GRAND」付録が私達の悩みを分かりすぎで困る
 40代からのネオ・エイジングマガジン「美的GRAND」は、付録も40代がど真ん中でヒットするアイテムばかりです。 ...
今しか聞けない子供の可愛い言い訳8選。胸がキュンキュンしてまうやろー
 子育てをしていると子供の言い訳を微笑ましく感じる瞬間があります。今回は、定番セリフやほっこり系、しんみりするものなど、...
買って失敗!ダイソー詰め替え容器の“天国と地獄”。オイルやシャントリ、小分けするのにベストな商品は?
 髪の毛用にボディマッサージ用に何かとオイルが手放せない乾燥肌の40代編集部員です。2、3種類をオイルを用途や気分に合わ...
忘年会キャンセル界隈に立ちはだかる壁。飲み会回避に使える理由6選
 12月も中旬に差し掛かり、もう年末も目の前。冬休みを目前にワクワクしている人も多いと思いますが、ちょっと待って。社会人...
今さら聞けないホテル&旅館でのNG行動5つ。テレビをつけたまま外出はありorなし?
 年末年始、家族や友人と旅行に出かける人もいるでしょう。でも意外に知られていないNG行動をしてしまい、旅館やホテルから嫌...
道路の真ん中が特等席! 宮城県・田代島の自由気まま“たまたま”に憧れる
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
赤いガーベラ1本400円買える? “赤除外”で楽しむクリスマスフラワーを花屋店主が提案
 お歳暮とクリスマスと正月…お花の市場もごった煮のおかしな状態になっています。年中行事に敏感な花業界に身を置くワタクシで...