「鏡も見たくなかった」対人恐怖症の筋肉マッチョが自分を好きになるまで

河合桃子 ライター、ジャーナリスト
更新日:2024-08-16 06:00
投稿日:2024-08-16 06:00

体が大きくなり自己肯定感も上がるように

「高校を卒業したら上京しようと思ってました。そしてもっと専門的に体のことを学び、トレーナーになろうと。上京先は神奈川県の横浜だったんですが、そこでの日々は楽しかったですね。

 専門学校の友達と筋トレしてプロテイン飲んで、体が大きくなっていくのを実感するうちに自己肯定感が上がりました。なによりも自分を一番に大事にすることが自然と身に付き、そんな自分を認め、好きになれたのです」

 たしかに、フォロワー数214万人の筋トレ推奨インフルエンサー、Testosterone氏も「筋トレは無料の処方箋である」とツイートしているように筋トレで自己肯定感アップはあり得るのでしょう。

 Testosterone氏は「筋トレするとエンドルフィン、アドレナリン、セロトニンなどの気分ブチ上げオールスターズといった感じの脳内物質が分泌される」ともツイートして多くのフォロワーの共感を得ています。

 上山さんはこうして思春期から引きずっていた“自分嫌い”から脱出し“自分好き”になっていったのです。そんな上山さんも、いま実はひとつの葛藤を抱えています。それが“恋愛”なのだとか。

人生初の彼女ができた。嬉しい反面、葛藤も

「自分を大事にするあまり、疎かにしてきたことがあったんです。それが女性を愛するということ。自分はこれまで恋人というものを作ってきませんでした。このままでは誰も愛せないのではないかと思い、一念発起。それから人生初の彼女ができました」

 人生初の彼女ができて、何を葛藤するというのでしょう。

「彼女は筋トレの『き』の字も意識したことのないような女性。普段はそれでいいのですが、減量期などは食べる物が合いません。油物などは翌日に浮腫んでしまうので、好んで食べることはしないのですが…彼女が食べたい時には同じ食を楽しむよう心がけています。

 ここで僕は気づいたんです。誰かと交際するということは、その人に自分の時間や思考も合わせることなのだ、と」

 そんな当たり前のことに気づいたという上山さんですが、これがストレスとなるのか、人生の楽しみとなるのか、今はまだ揺れ動いているのだそうです。

「彼女との時間を楽しむ自分もいるし、こういう時間こそが人生を豊かにするのだろうとも感じます。ただ、コンテスト前などの減量期はトレーニングや仕事以外の人との接触を控えてきたので、その時に自分がどんな感情になるのか…まだわからないです(笑)」

 今年6月初旬にはベトナムで行われたファッションショーにも参加したという上山さん。モデルの仕事にも興味があるのだそうです。今後の彼の活躍に期待します。

【前編:なぜバキバキ筋肉マッチョはミスターコンテストに挑むのか?はこちら】

河合桃子
記事一覧
ライター、ジャーナリスト
1977年生まれ、週刊誌を中心に執筆。大分県の椎茸農家から都内のハプニングバー摘発事件まで幅広く取材。ライフワークはママ友の家庭のいざこざや性愛事情を聞くこと。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


千代田区民は“勝ち”だよね。通勤ラッシュを知らない自分は上流階級層の女
――『東京の中心に暮らす、ということ』…なんてね。  鈴木綾乃の頭の中にマンション販売のコピーのような、そんな言葉...
え…? 優雅な御茶ノ水ママ友会をブチ壊した、地方出身者の悪気ない一言
 御茶ノ水駅が最寄りの持ち家に住む薬剤師の綾乃。2歳年上の夫・孝憲と4歳の娘・香那と3人家族で余裕ある生活を送る彼女は、...
世帯年収1500万円でも越えられない壁。耐え難い屈辱を喰らった女の選択
 御茶ノ水駅が最寄りの持ち家で2歳年上の夫・孝憲と4歳の娘・香那と3人家族で余裕ある生活を送る彼女は、ママ友と共に充実し...
たまにはこんな日もあるよね? 終電を見送ってしまった夜
 久しぶりの仲間との時間が楽しくて、「あと1杯だけ」「あと10分だけ」を続けていたら終電を見送ってしまった。  だ...
「自責と他責」バランス上手な大人が口癖にしている神ワード
 ここ数年、自責思考・他責思考みたいな話題をよく見かけませんか? 私はもう見るたびに「うるせぇ~!」となっている反面、し...
出張ホスト、ママ活、女風…女性の金目当てに上京する男性が増えている!
 近頃は地方移住が話題となっていますが、その逆に「地方では稼げないから上京する」男性も出てきています。  出張ホストや...
ご飯をありがとにゃ! お母さんが大好きな“たまたま”君たち
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
荒れる2024年幕開け 花屋が祈りを込めた「復興と希望」の花束
 2024年が明けました。今年は元旦から思いもよらないことが起こって、まさに辰年。大きな変化の年が始まったようでございま...
2024年こそシンデレラボディ!フェロモンジャッジで分かるケア&香り術
 素敵な女性はいい香りがする――。  そう感じるのは、肌から放たれるフェロモンの効果。フェロモンが高まると色気だけ...
動物は「あったかい場所」を見つける才能があるみたい
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
暇すぎ死にそう…大きな声じゃ言えないけど仕事中にばれない暇つぶし5選
 同じ仕事でも、忙しいと時間は早く過ぎ、暇すぎると永遠に時計が止まったように見えるもの…。とはいえ、仕事の拘束時間なので...
見上げた青空が眼に染みて…1日に1回くらいは空を眺めてみる
 青空が眼に染みると思ったら、しばらく空を見上げていなかった自分に気が付いた。  うつむいて歩くのがクセになってい...
私「復縁希望?」女友達「あと2年で吹っ切る」失恋かまってちゃんLINE
 失恋をして心が傷つくと、少しでも誰かに気持ちを聞いてもらいたくなるもの。  でも、あまりにしつこかったり、常識が...
キャンプより安近短なべランピング!楽しむコツ&それでも失敗したエピ
 空前のキャンプブームが到来していますが、やはりイチからキャンプギアを集めてテントを張って…となると、ハードルが高いと感...
これって誘拐ですよね!? 遊んでいたら詰められた恐ろしいご近所トラブル
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
「俺のソーセージも試食して」じゃねえ! 40女の成人の日の思い出
 1月8日は成人の日。晴れ着やスーツに身を包んだ新成人たちの姿は、眩しいものです。  成年年齢が18歳に引き下げられま...