夫婦水入らずの何気ないシーンが描いたもの。爆速で進む物語、子どもたちは誰が誰やら…

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-09-12 16:53
投稿日:2024-09-09 17:40

第24週「女三人あれば身代が潰れる?」#116

 8年にも及ぶ「原爆裁判」を終えた寅子(伊藤沙莉)たち。竹中(高橋努)は渾身の記事を書き、よね(土居志央梨)と轟(戸塚純貴)は岩居(趙珉和)と共に原爆被害者救済弁護団を結成する。

 そして昭和43年。寅子は、病を患って治療に専念している多岐川(滝藤賢一)を見舞う。

【こちらもどうぞ】夕飯のカレーで描いた星家の“遠慮のない家族”への変化。入山法子の名場面を振り返り

【本日のツボ】

百合(余貴美子)、優未(毎田暖乃)退場

 ※※以下、ネタバレあります※※

 8年にも及ぶ「原爆裁判」の後、轟たちの事務所を訪ねた寅子が深々と頭を下げると、一升瓶とコップを手に近寄るよね。コップに酒を注いで、「黙って飲め」と。その優しさにじんとしました。

 リビングで語る寅子と航一(岡田将生)の場面も何気ないけれど、とてもいいシーンでした。こんなふうに航一が寅子の悩みや愚痴を聞いてあげていたのかと思うと羨ましい限りです。しかも、手を握って、「苦しいことは分け合いながら、これからももがきながら一歩一歩です」ですから。

 こんな素敵な夫がいれば、そりゃ仕事も頑張れますよ、などと寅子につい悪態をつきそうになりました。そして、百合のナレ死…。

 晩年はともかくあのチャーミングな百合さんにもう会えないかと思うと寂しいですが、もっと寂しいのは、優未の成長にともない、優未役の毎田暖乃が先週で終了だったことです。大学院生になった優未を演じるのは川床明日香。寄生虫の研究をしているのは、やはり、父譲りの「お腹ぎゅるぎゅる」と関係があるのかもしれません。

 残り3週間。さらにスピードを上げ、もう昭和44年に。子どもたちが成長し、誰が誰やら…。最高裁長官に就任した桂場(松山ケンイチ)、病床の多岐川、そして、あいかわらずご陽気なライアン(沢村一樹)、同期の3人の物語ももう一山ありそうで楽しみです。


桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


平手&長濱“欅坂46両雄”ドラマ界本格復帰記念にプレイバック
 元欅坂46の平手友梨奈(20)が今月10日、22年7月期放送のドラマ「六本木クラス」(テレビ朝日系)に出演することが番...
こじらぶ 2022-05-14 06:00 エンタメ
吉高由里子主演「光る君へ」NHK&民放MIX“イケメン再演”の目
 NHKは11日、2024年に放送予定の大河ドラマについて、タイトルは「光る君へ」で、主人公の紫式部を吉高由里子(33)...
神木隆之介は元子役クズ説を覆す男、女性の噂も皆無だけど…
 元人気子役というと悪い印象しかないのは、間違いなく坂上忍と杉田かおるのせいでしょう。  子どもの頃あんなに可愛か...
松下洸平“低視聴率”でも高評価 ゴチで得た天然ポンコツの座
 5月1日に俳優業デビューから12年を迎えた松下洸平(35)がノリに乗っており、ツイッターでは「#松下洸平12周年」のお...
ディーン様は浮世離れしていてナンボ!お宝シーンよもう一度
「あいわらずお美しいこと!」  そう言わずにはいられないのがディーン・フジオカ(41)、通称おディーン様です。4月...
浅香航大は“理想の元彼NO.1”!本人自覚ゼロでも色気だだ漏れ
 昨今、やたらと考察ドラマが多いと思いませんか。前クールの「真犯人フラグ」とか「ミステリと言う勿れ」とか「愛しい嘘~優し...
松潤・キムタク・ニノ…主演作の明暗、私生活切売りがアダ?
「ドクターX~外科医・大門未知子~」など数々の人気作を生み出してきたテレビ朝日の木曜ドラマが2クール連続で苦戦している。...
こじらぶ 2022-06-01 12:36 エンタメ
SixTONES松村が傷物に…「恋マジ」時代錯誤設定にキモイの声
 今月18日にスタートしたフジテレビ系ドラマ「恋なんて、本気でやってどうするの?」(月曜午後10時)が、女性から酷評され...
山P「正直不動産」番宣拒否報道もあったがいいやつじゃん!
「正直不動産」(NHK総合)の山下智久(37)を見ていて、山Pもずいぶん丸くなったなあと思う。  山P演じる主人公...
「芸能人二世」サバイバル! 生き残るための“最大武器”は?
 この春も芸能界は二世が注目を集めるようでーー。タレントの中山秀征(54)の長男・中山翔貴(23)は4月8日スタートのテ...
城田優「カムカム」で甘美な声も…驕る“イケメン”久しからず
 日本人と外国人との間に生まれた子どもを「ハーフ」って言いますが、「ハーフ」は半分という意味だから「ダブル」や「ミックス...
坂口拓が園子温監督“性加害”報道で謝罪 ネットは別の反応も
 映画監督や出演者による性加害報道が相次いでいる。今月4日には「週刊女性PRIME」で園子温監督(60)が複数の女優に出...
2022-04-08 06:00 エンタメ
乃木坂46秋元真夏が炎上…本当に性的マイノリティをネタに?
 今月1日、乃木坂46の秋元真夏(28)が自身のInstagramで、「この度、友人の生田絵梨花と式を挙げました」との一...
こじらぶ 2022-04-07 09:48 エンタメ
柄本佑「イケメン問題」気付けばモテポジション確立の謎解き
 かねてからどうしたものかと悩んでいるのが柄本佑(35)イケメン問題です。この冬のドラマ「ドクターホワイト」(カンテレ/...
小林麻耶と松居一代の共通点は?“赤裸々暴露”する女性の心理
 フリーアナウンサーの小林麻耶(42)と元夫で整体師の國光吟氏(38)が、3月28日にそれぞれのブログで再婚することを発...
西島秀俊“無双”の挑戦…同性愛者からピカ声までモノにする男
「あすなろ白書」(フジテレビ)をご存知でしょうか? 1993年10月期の連ドラなので、かれこれ29年も前の作品ということ...