1980年1月1日「TOKIO」発売 パラシュートを背負って80年代を連れてきた

更新日:2024-10-02 17:03
投稿日:2024-10-02 17:00

【沢田研二の音楽1980-1985】#1

 1980年の沢田研二①

  ◇  ◇  ◇

 1980年になった。

 70年代から80年代へ。字面上は「7」が「8」になっただけのことだが、しかし、当時を知る者として、その変化は劇的だった。

「長髪」から「短髪」へ、「かっこいい」から「かわいい」へ、「フォーク」から「ニューミュージック」、そして「ロック」へ。まさに大きなパラダイムチェンジ。

 そんな劇的変化に臆することなく、むしろ先頭となって80年代に乗り込み、当時「ニューウエーブ」と呼ばれた、まさに新しい波を自ら主導して巻き起こしたのが、沢田研二だった。

 ここで、しばらく本連載の頻出語となる「ニューウエーブ」について説明しておこう。機械的、無機的、(重厚長大の対義語としての)軽薄短小な価値観をめでるムーブメント、くらいの意味なのだが、これ、つまりは「1980年の沢田研二」そのものだと解釈してもらっていいだろう。

 シングルリリースは、おおよそ3カ月おき。上半期は「作詞・糸井重里、作曲・加瀬邦彦、編曲・後藤次利」によるニューウエーブ歌謡2曲。

 1月1日(!)発売、大きなパラシュートを背負った姿が、大いに話題を呼んだ「TOKIO」。4月21日発売、こちらはカラーコンタクトレンズでアッと驚かせた「恋のバッド・チューニング」。

 さすがに、ちょっとやり過ぎたという判断もあったのか、下半期に入って作詞家・阿久悠とよりを戻した9月21日発売の「酒場でDABADA」。そして暮れも押し迫った12月23日には「おまえがパラダイス」。

 アルバムはといえば、前年11月発売となるが、当時、新世代のベーシストとして名を上げていた後藤次利が全曲を編曲、作詞は阿久悠を1曲のみに閉じ込め、糸井重里や康珍化などの新世代の作詞家を招聘した「TOKIO」。それを皮切りに同じく後藤が全曲編曲、ニューウエーブ路線を推し進めた「BAD TUNING」を7月に発売。

 さらには、60年代後半、沢田研二自身を中心として巻き起こったGS(グループサウンズ)時代への郷愁とパロディーを織り交ぜたようなコンセプトアルバム「G.S.I LOVE YOU」を12月に発売する。

 以上、シングル4枚、アルバム3枚。その合間を縫って、TBS系「ザ・ベストテン」などの歌番組に出演し、コンサートツアーをこなして、ドラマやCMにも出ていたのだ。沢田研二は、というか、当時のポップスターは、とにかくよく働いていたなと改めて驚く。

 しかし、この年の沢田研二で1曲選べといわれれば、何といっても元日発売のシングル「TOKIO」しかない。

▽スージー鈴木(音楽評論家) 1966年、大阪府東大阪市生まれ。早大政治経済学部卒業後、博報堂に入社。在職中から音楽評論家として活動し、10冊超の著作を発表。2021年、55歳になったのを機に同社を早期退職。主な著書に「中森明菜の音楽1982-1991」「〈きゅんメロ〉の法則」「サブカルサラリーマンになろう」など。半自伝的小説「弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる」も話題に。ラジオDJとしても活躍中。

エンタメ 新着一覧


福原愛ドロ沼騒動、泣き虫愛ちゃんはいずこへ…長男を巡る対抗姿勢の行方
 卓球の元日本代表で五輪2大会連続メダリストの福原愛(34)と、元夫で16年リオデジャネイロ五輪台湾代表の江宏傑氏(34...
妻・寿恵子(浜辺美波)の頼もしさマシマシ! NHKの光る演出
 博物館を訪れた万太郎(神木隆之介)。野田(田辺誠一)と野中(いとうせいこう)に田邊(要潤)を怒らせてしまった経緯を話し...
桧山珠美 2023-08-02 15:40 エンタメ
“天然夫”万太郎のピンチを救おうとする“デキた妻”寿恵子!
 万太郎(神木隆之介)が書いたムジナモの論文を自分との共著にしなかったことに激怒し、大学への出入りを禁じた田邊(要潤)。...
桧山珠美 2023-07-31 15:38 エンタメ
鈴木仁さま、数年後に朝ドラヒロインの夫になっている姿が見える…!
 こっそりと楽しんでいたドラマ「さらば、佳き日」(テレビ東京)が、この31日、とうとう最終回を迎えてしまいます。 ...
平手友梨奈が移籍後初ドラマ出演決定!平野・神宮寺ら大飛躍のカギは?
 アーティストで俳優の平手友梨奈(22)が、ムロツヨシ(47)主演の10月期ドラマ「うちの弁護士は手がかかる(仮)」(フ...
こじらぶ 2023-07-29 06:00 エンタメ
槙野万太郎史上、最大のピーンチ! 初の論文でヘタを打ってしまった
「ムジナモ」の開花から4カ月。寿恵子(浜辺美波)は第2子を授かり、園子も1歳3カ月に。  田邊家では、政府高官の森...
桧山珠美 2023-07-28 15:00 エンタメ
W不倫の慰謝料額は?ジュン氏が選んだ広末涼子&鳥羽氏に請求せずの効果
 女優の広末涼子(43)と離婚したアーティストのキャンドル・ジュン氏(49)が26日、自身の公式サイトで、元妻とその不倫...
はしゃぐ万太郎に福治の意味深な台詞、今度は綾と竹雄がレスに…!?
 竹雄(志尊淳)と綾(佐久間由衣)の元に万太郎からの手紙が届いた。園子と名付けた報告とともに、その可愛さを伝えたくて描い...
桧山珠美 2023-07-25 16:06 エンタメ
歌舞伎「刀剣乱舞」で異例の撮影&拡散おねだり!高砂屋の推し役者も発見
 行って参りました、新橋演舞場で公演中の新作歌舞伎「刀剣乱舞 月刀剣縁桐(つきのつるぎえにしのきりのは)」(~7月22日...
『バチェラー・ジャパン』S5の“推しメン” 2023.7.22(土)
 いよいよ8月3日(木)から恋愛リアリティ番組『バチェラー・ジャパン』シーズン5が始まります。  成功を収めた1人の独...
田邊教授、パワハラ認定!? 画工の野宮と“ぼっち”波多野の笑顔に救われる
 植物採集とタキの墓参りに出掛けた万太郎(神木隆之介)。その頃、「日本植物志図譜 第二集」を手にした里中(いとうせいこう...
桧山珠美 2023-07-20 16:25 エンタメ
寿恵子は妊娠7カ月、十徳長屋の面々の優しさに藤丸も視聴者も胸がジーン
「トガクシソウ」の一件で、新種の発表をめぐる生き馬の目を抜くような学者の世界に嫌気がさした藤丸(前原瑞樹)は、万太郎(神...
桧山珠美 2023-07-19 15:25 エンタメ
掘り出しイケメン渋滞の「18/40」で期待高まる女同士敵対ドロドロ
 推しイケメンがなかなかのクズでがっかりです。深田恭子(40)&福原遥(24)W主演の「18/40~ふたりなら夢も恋も~...
幸せの黄色いタンポポが3本…万太郎と寿恵子は“新婚レス”じゃなかった!
 十徳長屋の住人たちの協力もあって、万太郎(神木隆之介)の家に無事、石版印刷機がやってきた。家で「植物図譜」制作に没頭し...
桧山珠美 2023-07-14 15:20 エンタメ
深キョン「おばさん」呼ばわりに違和感!“実年齢相応”の役は絶対なのか
 女優の福原遥(24)と深田恭子(40)が、ダブル主演のTBS系ドラマ「18/40~ふたりなら夢も恋も~」(火曜夜10時...
万太郎と寿恵子が仲良く朝食タイム、東大植物学研究所には不穏な空気が
 仲睦まじく朝ごはんを食べる万太郎(神木隆之介)と寿恵子(浜辺美波)。「こうやってたまには植物採集に行かない朝があっても...
桧山珠美 2023-07-10 14:30 エンタメ