インスタでは好評なのになぜ? 「丁寧な暮らし」をする35歳女のホームパーティーに誰も来ないワケ

ミドリマチ 作家・ライター
更新日:2025-01-11 06:00
投稿日:2025-01-11 06:00

あれ…ホームパーティーに誰も来ない?

 パーティーのメインに出そうと仕込んだ丸鶏をオーブンに入れると、少し手持ち無沙汰になった。なんとなくストーリーズを更新してみる。

 ウォールナットの家具で揃えたウッディなインテリア。キャンドルやドライ南天をところどころに配置した暖かみあるテーブルコーディネートが鮮やかに映えるスマホの中の世界。

 宴の主役は、フランス名門ワイナリーのビンテージワインだ。もちろん、すぐに友人たちのイイネがいくつか届く。

 そうこうしている間に、家族も帰宅してきて、あとは友人たちを待つだけの時間になった。

「あれ…遅いな」

 振り子時計が6つ、時を打つ。

 少し待っても、誰も家を訪れる気配がなかった。

「ごめんね、駐車場を探すのに時間がかかっちゃって…」

 30分ほどして、横浜に暮らす友人・亜紀がやってきた。

 今回の参加者はこれで以上。開催のたびに、参加者は減ってきていることは感じていた。

 参加予定の友人は他に5人いたはず。世田谷に住む元同僚一家と、港区在住の友人カップルが「行けたら行く」と誘いに返してくれていた。

「仕方ないよ。遠いから、都内の人がサクッと来られるような場所じゃないからね」

 虚しさを最小限にとどめるため、先回りの言い訳を亜紀につぶやく。彼女のひきつった笑みが胸に焦げ付いた。

結局、来てくれたのは友人1人だけ

 夫と2人の子供は、話し込む2人におかまいなしでボードゲームをしている。たくさんの手作り料理は女性と子供が中心の5人には多すぎて、だいぶ残された。3日前から仕込んでいたのだが…。

「はい、チーズ」

 家族も呼び、とりあえずInstagramにあげる用の写真を撮影して、すぐにホームパーティーはお開きの流れになった。

 亜紀は車で来ているためお酒が飲めない。コルクを抜くこともなかった、名ばかりのホームパーティーだった。

ミドリマチ
記事一覧
作家・ライター
静岡県生まれ。大手損害保険会社勤務を経て作家業に転身。女子SPA!、文春オンライン、東京カレンダーwebなどに小説や記事を寄稿する。
好きな作家は林真理子、西村賢太、花村萬月など。休日は中央線沿線を徘徊している。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


七夕の日に飾りたい…疲れた心は“地上の天の川”に癒されて
 地方によってどうやら8月もあるようですが……7月は七夕の月でござんす。  五節句で言うところの七夕は正式には「シ...
男は黙って背中で語る…大吉“にゃんたま”の後ろ姿に惚れ惚れ
 きょうは、先日「汚れた毛並みは男の勲章 超貴重なワイルド三毛“にゃんたま”」でご紹介した3万分の1の確率といわれる“大...
今のキャバ嬢が30歳を迎えても「オワコン」じゃない理由
「キャバ嬢なんて若いうちだけじゃん。30代になってから後悔すると思う」  これが世間の、水商売やキャバクラ嬢に対する一...
認知症の介護って辛い? 介護士が教えるリアルな現実とは
 連日、高齢者ドライバーの悲惨な事故が後を絶ちません。高齢者の身体能力低下に起因する事故もあれば、認知症が原因となってい...
強い女性になるには? ポジティブ思考でいるための5つの方法
「強い女性」というと、どんな女性を思い浮かべますか? 気の強い女性? アスリートのような筋肉隆々の女性? って、違います...
がん→子宮全摘まで“カウントダウン1カ月”の記録<私生活編>
 私は42歳で子宮頸部腺がんステージ1Bを宣告された未婚女性、がんサバイバー1年生です。がん告知はひとりで受けました。誰...
悟り世代“だら先輩”に学ぶ…今日も1日仕事中にダラけたい!
 この話は、働く女性の誰もが思い描く「仕事中はダラダラして、定時にさっさと帰りたい!」という願望を確実に実行し続けている...
妄想がバレた? スッと姿を消したクールな“にゃんたま”君
「にゃんたま」に、ひたすらロックオン!猫フェチカメラマンの芳澤です。  きょうは、キリっとした眼差しの美形にゃんた...
ピアノが弾ける子どもにしたいなら?知っておきたい親の心得
 子どもの習い事というと「ピアノ」というイメージがありませんか? 今も昔も、子どもにピアノを習わせたいと思う親は後を絶ち...
金運に効く最強の花とは? いつの世もそれがキニナルの巻
 いつの世も…女性は「占い」や「おまじない」、「厄除け」なんてちょっぴり「スピリチュアル」みたいなものに大変なご興味のあ...
都内にいながら温泉気分を満喫できるオススメの「スパ3選」
 なんだか最近疲れたなぁ……。なんていう時は、一人でぼーっとする時間も必要です。お休みを使ってゆっくり癒されてみませんか...
イケ“にゃんたま”に囲まれて…モテモテ女子も大変なんです
 きょうは大変です!  イケにゃんたまωωに迫られるモテモテ女子が困っちゃっています。  若くてちょっと強引...
5歳過ぎてもオムツがとれない…意外な“おねしょの原因”とは
「もう5歳なのにまだオムツが外せなくて」「小学校にあがってもおねしょしてしまうんです…」 思わず、えっ!! と驚かれるよ...
親の介護は家族総動員 あるある問題とその後にすべき行動3つ
 親の介護と聞けば、多くの人が不安を抱くはずです。「自分を育ててくれた親だけど……」と思う反面、親の介護をすることで自分...
我慢強いA型長女は返上! がんがくれた「キャンサーギフト」
 私は42歳で子宮頸部腺がんステージ1Bを宣告された未婚女性、がんサバイバー1年生です。がん告知はひとりで受けました。誰...
父譲りの哲学“にゃんたま”を持つ「オペラ座」のクールな視線
 きょうはレアなツートンにゃんたまω。かっこいい見返り美男でドキッ!  タオマークの様にも見え、哲学さえ感じさせる...