「更年期じゃね?」「おばさん、更年期(笑)」適当な情報を鵜呑みした女子大生たちが悪いのか?

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-01-15 06:00
投稿日:2025-01-15 06:00
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第13話は「若手からの更年期コール、こう対応」。

NO!おばさん自認

「おばさん」とか「更年期」という言葉にやたら敏感で、違和感を抱いていた時期がある。

 確か43歳ごろ。通っていたスポーツクラブで、仲良くしていた男性インストラクターがニヤニヤしつつ、こう言ってきた。

「更年期?」

 私はその場で憤慨。なぜ更年期という言葉が飛び出る会話の流れになったのかもさっぱり記憶がない。

「え? ねえ、言っていいことと悪いことがある!」

 おそらく彼は冗談めいたことを言ったつもりなだけで、そこに悪意はなかった。とはいえ、まだ更年期らしい症状を経験していなかった私にとっては、からかいであり、バカにされたように感じた。当時、年を重ねることに恐怖があったと思う。

 デビュー作となった『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ)では、自らをおばさん呼びはしないと書いているほど、年齢に抗っていた。女ですもの、そういう時期も必要です。

 今となっちゃ、死ぬことも怖くない独身おばさんに成り上がったと、当時の自分に伝えたい。

【こちらもどうぞ】更年期、私はこれで対処しています①漢方薬服用歴15年超、「意味あるのか?」と医師に尋ねた

内田有紀だってつらいのに

 先日、こんなこともあった。コーヒーショップで漏れ聞こえてきた女子大学生の会話に、お恥ずかしながら眉をひそめてしまった。

「バ先のおばさん、超カリカリしてるんだけど〜」

「更年期じゃね?」

「それが違うって言うんだよね〜」

「いや、絶対にそうだって(笑)」

 ただここで疑問なのは若い女性にとって「更年期」が、老いた女性を卑下する言葉として扱っていること。誰が教えたわけでもなく、どこかで見聞きした適当な情報をそのまま鵜呑みにしているのだから怖い。

 でもおばさんを代表して、大学生たちにこれだけは言わせてほしい。

 最近、女優の内田有紀が更年期障害に悩んでいると「2024 美的ベストコスメ大賞『ベストビューティ』受賞者発表式」で明かし、話題になった。その時のコメントは「自分の不調だったりを隠さないで話せる時代になってきたな、と思いまして。私もこういうステージで本当は涼しい顔してカッコつけていたりとかしたいんですけど、そうじゃない場合もあります。人間ですから」。

 みんな悩んで、抜け道を毎日探している。女子大学生ふたりよ、内田有紀に向かって「おばさん」「更年期(笑)」と言えるのか。すみません、怒っています。

いつかみんなおばさんに

 字面から推測すると、年齢や、女性としての役目が“更新される時期”のことを指す更年期。ではいつから更年期という言葉が医学用語として入ってきたのか?

 論文「日本近代における『更年期女性』像の形成/原葉子(社会科学博士)」によると、日本に更年期という概念が導入されたのは、1890〜1940年にかけて。当時は「変換期」「経閉期」という言葉も使われていたらしい。ふむ。

 そこから80年以上も経過している。日本では女性の月経や更年期について“隠すもの”という、間違った風潮を生み、女性が苦しんできた。もちろん今もなお、だ。厚生労働省もそれらを止めることもなく、ここまで来てしまった。女性たちが少しずつ自分たちの声をあげて、自らが更年期であるとエッセイを書ける時代まで到達。このエッセイも20年前なら書くだけ恥になっていただろうし、ヤフコメどころじゃない揶揄も飛んだはずだ。

 思い返すと学校の授業でも更年期という言葉に対する説明は受けていない。「更年期=年を取った=ババア」という上澄みの概念だけが妙に蔓延してしまった。ど素人の私にはこの状況、どうしようもないので政府にどうにかしてもらうしかない。なんとも厄介な流れである。

 改めて。今、私と同じく絶賛更年期と戦っている女性が多くいる。彼女たちに伝えたいのは、男性や若手からの更年期及び、おばさんコールは上記の流れや私の経験から鑑みると、そんな簡単には払拭はできない。

 こう考えるのはどうだろうか。現代の若い女性たちと条件が違うのは、世のおばさん世代は団塊ジュニア世代(1970年代前半の生まれ)に比べて、圧倒的に人口が多い。どんなに頑張っても、他勢にかなわないので、若手も「ババア」「更年期」と言っていられなくなる。彼らが中高年に頼る時期が近い将来、訪れるはず。そのときこそ、堂々とすればいいのだと。

 次回(#14)へ続く。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


親友の新彼氏にモヤモヤ。その恋大丈夫?と諭すべきか、だんまりすべきか
 20代の頃は、女友達のヤバめな恋愛相談に乗る時「友達なんだから、止めなくちゃ」と思っていました。  友達が学内で...
“たまたま”が緊張の鼻チュー♡ 白黒姐さんの香りにドキドキ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
お休みは“いつか終わる”からこそ価値がある 2023.5.7(日)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
謝るつもりが火に油!「失言の謝罪LINE」絶対に送ってはいけない3選
 人間誰しも失敗をしてしまうことがあります。特に失言は、相手を傷つけてしまい、なかなか関係が修復できないケースも多いはず...
「キラキラしてる人が苦手」と思うのはなぜ? 隠れた理由と賢い対処法
 好感度が高いキラキラした人を見ると、「羨ましいな」と思う反面、「苦手……」と感じる人は多いのではないでしょうか。苦手と...
「今、今、今!」今でしょは生ぬるい!? ママ友からのお受験“圧”LINE3選
 自分の子供の人生を少しでも良くしようと必死の「お受験ママ」。特に小学校受験に関しては、小さな子供本人が希望してというよ...
店員の勧めも食い気味にNO!おばさんになって「楽」と感じる8つの瞬間
 ある程度の年齢になると、嬉しいはずの誕生日も憂鬱に感じるかもしれません。「もうこれ以上、年を取りたくない!」なんて思っ...
ひとりで焚火するのは良い気分 2023.5.5(金)
 パチパチという音を聞きながら、目を細めて揺れる炎をぼうっと眺める。  ひとりで焚火するのは良い気分。こういう時に...
妻を労う夫が選んだスノーピーク×久保田の酒 2023.5.4(木)
 銘酒「久保田」を製造する朝日酒造と、アウトドアブランドの「スノーピーク」。一見、何の関係もないようですが、実はどちらも...
魅惑のオッドアイにうっとり♡ コミュ力抜群な“たまたま”君
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
現実世界では一発逆転ってあんまり起きない 2023.5.3(水)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
「浮気してるんでしょ?」デマだよ、デマ…戦慄!ママ友いじめLINE3選
 子育て中のママが避けて通れないのが、ママ友同士の付き合い。適度な距離感を保ちつつ、上手に付き合えるママがいる一方、マウ...
値上げにウンザリ!2023母の日のトレンド「お得な商品」が丸わかり
 春うららから初夏の予感の日々でございます。  3年ぶりの“マスクオフ”が許された今年のGWはいずれの観光地も大賑...
貯金ゼロ女、将来が不安すぎる! 無駄遣いをやめる8つの方法
 コレといった大金を使った覚えがないのに、「もう、お金がないのだけど!?」なんて毎月思っていませんか。自覚のない無駄遣い...
ヤンバルクイナ? 所変われば標識も変わるね 2023.5.1(月)
「とび出し注意」の標識に描かれているのは……もしかしてヤンバルクイナ?  所変われば標識も変わるね。道路で希少動物...
白ボディ×オレンジ“たまたま”にキュン♡クールな表情もGood
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...