バツイチ女一匹、大学院での「ポンコツ商店会研究」が高評価! 学問と実践、どっちがムズイ?

フィッシュバーン真也子 コラムニスト
更新日:2025-04-02 06:00
投稿日:2025-04-02 06:00
 本コラムは、地元の“幽霊商店会”から「相談がある」と言われ、再始動の先導役を担う会長職を拝命することになったバツイチ女一匹の“ほぼリアタイ”ドタバタルポです。
 商店会は末端社会の縮図。次から次へと巻き起こるトラブルや人間関係は、どこぞの職場や家庭で見たような光景ばかりで…。

商店会活動と大学院の研究がごちゃまぜの日々

 以前にも触れましたが、わたくし、つい先日まで大学院生でした。3月15日に無事修士課程を修了し、楽しかった研究生活ともおさらば。色々学割も使えて幸せな日々でしたが、今は一般人に逆戻り…嬉しいような悲しいようなwww

 大学院での研究テーマは、このコラムの主役「ポンコツ商店会」を事例とした、商店会活性化のためのコミュニケーションデザイン。この1年、修士研究として商店会と地域の問題点や再起動への道を、客観的かつ論理的に探る傍ら、ポンコツ商店会の会長として、地道に立て直し活動を日々行っていた。

「こういう地域問題は、問題点の客観的な洗い出しをして、その解決策は、立体的っていうか多面的に考えないと、絶対途中で行き詰まるんだよねー」と、つい研究視点の発言を、商店会の助さん(元酒屋)と角さん(床屋)の前でしてしまい、「は? なに言ってんの?」とお2人から指摘されたりして。

 商店会に関する研究と商店会での実際の活動は、同じようで、実は全く異なるもの。研究には、色々な人の多様な思考が入り込まないので、結論を導きやすい。でも、実際の活動になると、十人十色の意見があっちからこっちから「ぶっ込まれてしまう」ので、いつも想定外だらけ…。

 角さんの屁理屈や助さんの能天気行動と、地域の客観的事実がごちゃまぜになって、論文を書きながら、時々何やってるかわからなくなったりwww

【初回はこちらから】“幽霊商店会”から「相談がある」と突然言われ、会合に出てみると…何!ナニ!!なにー!!!

会員同士のコミュニケーションの機会を増やすゲームを制作

 春から始まった研究も、秋になるとかなり精査されてきて、最終的にどう締めくくるかも見えてきた。机上だけでなく、日々の商店会活動のおかげで、この「ポンコツ商店会」がスムーズかつ持続的に活性していくためには「何が必要なのか?」がわかり始めた。

「会長、大学院で商店会のこと研究してるって言ってますけど、何やってるんっすか?」と角さん。

「皆さんのコミュニケーションと地域活性かな」と私。

「俺らは、結構コミュニケーションしてるよね! よく会合やってるし」と助さん。

「んー、そういうコミュニケーションじゃなくてねwww この商店会って結局コミュニケーション不足で10年止まって、色々問題が山積みになっちゃったじゃないですか!? そういう社会課題化したことをコミュニケーションをデザインすることで解決しよう、的な…」と、できるだけ簡単にわかりやすく説明したつもりだったが、「よくわかんないっすけど、で、なんなんですか?」と角さん。話聞いてなかったんかーい。

 一言にコミュニケーション不足といっても、その理由は色々。でも大抵の場合、互いの理解不足。というか、相手のことを知らない、知ろうとしない。知らなかったら、理解なんて到底無理。

 他者に興味を持ち、まずは相手を知ろうとするマインドに変換させ、そして行動変容へと導くデザインを研究していたが、これ、助さん角さんに説明してもわかんないだろーなー。

「ま、論文の他に、商店会会員がお互いのことを理解しあうための作品として、地図模型とボードゲームを作ったのよ」と私。

「大学院でゲームつくるの? なんか小学校みたいだね!」と助さん。あー、そう理解しちゃうかー、がっくし。

助さん角さんには理解不能、でも大学院では優秀作品に選出

 お2人には、まったくわかってもらえなかったけどwww、大学院では優秀作品の一つに選ばれ、卒業制作展では代表作の一つとして展示された。その上、卒業式では代表として壇上で修了の辞も読んだ。

 人生で、晴れの舞台的なものに選ばれたのは初。修了の辞も、心を打つ内容だったと皆様に褒められ、こんなに褒められたのは小学生で読書コンクールで入賞したとき以来。

 にもかかわらず! 助さん角さんにはまったくスルーされた…まだまだ修行の足りない私だな。

助さん角さんあっての良き結果だったのか?

 ポンコツ商店会活動は、一年を経過した今もなかなかに手がかかるが、これを「研究」という形にして、違う角度から取り組んだおかげで、皆さんに認めてもらえる(助さん角さんは除く)素晴らしい成果を残すことができた。いやー、ポンコツ商店会に感謝(拝)。

 考えてみれば、コミュニケーションに問題のある商店会の張本人たち(助さん角さん)を相手に試行錯誤したからこそ、良き研究に導けたのかもしれない。ん、こういう思考回路でいくと、私が最も感謝すべきは助さんと角さんということになる?

 うわー、やだやだ、それだけはどうしても認めたくない…。

学生生活は修了、そしてこれから

 と、書くほど、なんの野望もない。ポンコツ商店会は段々と会員数も増え、皆でイベントを開催するまでになった。もはやポンコツじゃないのかも? と思う時もあるが、助さんと角さんと話すたび「これじゃダメだ」と感じる。組織のポンコツ感は、これが元凶なんだろうなー。

 これからは「役員のポンコツ脱却」が目標だな、うん。

 次回(#17)は、3月に開催したイベントでの出来事についてお伝えしまーす。

フィッシュバーン真也子
記事一覧
コラムニスト
養生茶カフェ店主。とある都心商店会会長。ちょこっと大家業。

出版社でインテリア誌やファッション誌の編集者として長らく勤務したのち、フリーランスのエディター、インテリアスタイリスト、デコレーターとして活動。現在はメディカルハーブのスペシャリスト、ハーバルプラクティショナーの資格を活かし、養生茶と手作りおやつのカフェ『だんで茶屋』を経営。その他、著述業、不動産賃貸業などを少々営む。

外国人との結婚と離婚、シングルマザーでの子育てなど、タフな経験を栄養にして生きる50代。いい『気』を求めて神社脇に移住。住まいや暮らしを自分流にカスタマイズしながら「空間から得る幸福感」を実践研究している。54歳から建築系大学に再入学、現在大学院にて空間によるコミュニケーションデザインを研究中。

著書に食と旅のエッセイ『笑顔になれる美味しいプロヴァンス』(スタンダードマガジン)、住まいのエッセイ『女ひとり・借金アリ・貯金ゼロからのトーキョー大家さんLIFE』(主婦の友社)

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


「この板最高」爪のお手入れに夢中な“にゃんたま”君をパチリ
 きょうは「この板、最高♪」と使い慣れたお気に入りの爪とぎコーナーで、ガリガリ夢中なにゃんたま君。  猫の爪は内側...
春を運ぶ花「ストック」は幸運も運ぶ! 魅力や花持ちのコツ
 猫店長「さぶ」率いる、我がお花屋さんでは、春先になると欠かさず入荷する、昔から根強い人気のお花がございます。  ...
幼稚園と保育園どっちがいい?働くママが感じる違い&選び方
 一昔前は、「ママが専業主婦なら幼稚園へ、働いているなら保育園へ」という風潮がありました。でも、近年では、預かり保育を行...
“にゃんたま”部分はまるで肌色!繊細で美しい毛色の茶トラ君
 きょうは雨上がり、濡れた毛並みをお手入れするにゃんたまωポロリです。  茶トラの中でも色の薄い毛並みで、にゃんた...
穴があったら入りたい…職場LINEへの恥ずかしい誤爆7選
 連絡ツールとして生活に欠かせないLINEですが、似たようなアイコンだと、つい間違えて送信してしまうこともありますよね。...
布マスクと紙マスクはどっちがいい?特徴と効果を徹底分析♡
 新型コロナウィルスの影響により、マスクの着用が新たな生活様式になりました。一時は品薄状態になったものの、現在ではデザイ...
自分と他人をつい比べたくなってしまう人へ贈る魔法の呪文
「あの人…いいなあ〜」と思うことはありませんか。仕事のできる人、頭の良い人、容姿の美しい人。色々あるとは思いますが、とに...
まるで和菓子屋さんのあんこ玉!甘くて魅力的な“にゃんたま”
 にゃんたマニアのみなさま、きょうはあんこ玉ω!  まるで、和菓子屋さんに売っているあんこ玉をふたつ並べたような甘...
色と香りがアナタを癒す!花師オススメの「旬の香り花」5選
 おこもり生活が長引く気配でございます。  猫店長「さぶ」率いる我がお花屋さんには、今日もマスク姿で下を向いたお客...
仕事効率化! オンオフを切り替えるメリット&切り替え術6つ
 仕事が忙しいと、どうしても焦ったり、イライラしてしまうもの。そんな気持ちを、休日まで引きずっている人も多いのではないで...
撮影ならまかせろにゃ!ツッパリ風“にゃんたま”の美ポーズ
 きょうは、ツッパリ風? クールにキメてくれたにゃんたま君。  この場所、猫の写真を撮りにくる人が多いから、にゃん...
LINEを返信したくない心理は? 返す気力がない時の対処法
 友達や彼氏、家族と気軽に連絡を取り合えるLINEは、多くの人が使っている連絡ツールですよね。でも、時々、どうしてもLI...
自分でも嫌になる…優柔不断になる原因&やめる6つの方法
 人はそれぞれ、育ってきた環境や生まれ持った性質により、性格が違います。だからこそ人付き合いは楽しいものですが、中にはな...
友人関係の断捨離〜我慢してまで友達でいる必要ありません〜
 男女問題研究家の山崎世美子(せみこ)です。突然ですが、友達と呼べる人って何人いますか? 人間関係は悩みごとも多い大きな...
パーソナルカラーで自信を!まずは”似合う”を知ることから
 自信というのは、一朝一夕に持てるようにはなりません。長い時間や大いなる努力の末に少しずつ持てるようになるものです。しか...
“にゃんたま島”はまさに天国!でも…うまく写真が撮れません
 きょうも、にゃんたまωにロックオン。やってきました「にゃんたま島」。  ここはチャトラのオスがたくさん暮らしてい...