仕事や恋に謳歌する私と、髪を振り乱して子育てする彼女。本当に「幸せ」なのはどっち?

ミドリマチ 作家・ライター
更新日:2025-07-12 11:45
投稿日:2025-07-12 11:45

幸せアピールに隠れたリアルな生活の裏側

 私が大学を卒業した頃に、あの男の子が生まれた感じだろうか。女の子は私が本社に配属されたころ、つまり彼と出会ったころ。すやすや眠る赤ちゃんは、生後半年と言っていた。半年前と言えば、私と彼が沖縄に旅行をしたころだ。

 私が、恋に仕事に日々を謳歌していた間に、髪を振り乱していた、彼女。

 彼女には彼女の人生があっただろうに。髪を巻いて、ビキニを着る彼女の気持ちはいまだキラキラを求めている。

 子供3人引き連れて、自分も映えるプールビーチに来るくらいだ。ポーズを決めたインスタ用であろう写真も撮っていた。受け入れられない部分はきっとあるはず。

 金切り声で子どもを喚き散らす生活感を裏側の背景にして、幸せをアピールしたい誰かが存在するのだ。

子供の目元…誰かさんにそっくり?

「ママー」

 兄妹が戻ってきた。そろそろ帰ろう、と母親に言いに来たようだ。まだ日が高いが、時間はもう16時。彼らはほど近くに住んでいるのだという。

「ごめんなさいね。ゆっくりしていたのに」

 女性はにっこりと頭を下げ、子供たちと言い争いをしながら、パラソルの周りを片付け始めた。彼女の手には、ベンツのスマートキーが握られていた。

 ――稼いでくれる旦那、っていうのは本当なんだな。

 見栄なのではないかとうっすら勘ぐっていた自分を恥じる。そして、ふとあることに気づいた。

 水中眼鏡を外した彼女の息子さん。

 私がよく知っている、誰かに目元がそっくりだったから。


#3へつづく: 独身と既婚、正反対な女ふたりの悲しい共通点。高級ディナーより“551の肉まん”が羨ましい理由】

ミドリマチ
記事一覧
作家・ライター
静岡県生まれ。大手損害保険会社勤務を経て作家業に転身。女子SPA!、文春オンライン、東京カレンダーwebなどに小説や記事を寄稿する。
好きな作家は林真理子、西村賢太、花村萬月など。休日は中央線沿線を徘徊している。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


自炊を飽きずに!料理慣れしない人が揃えたい“3つの調味料”
 ふだんあまり自炊しない人ほど、自炊期間が長くなるとレパートリーが不足し「飽きた……」となりがち。  長期にわたっ...
勉強から趣味・娯楽まで…オススメのオンラインレッスン5選
 自粛期間中、家での時間を持て余して、どうにもふさぎこんでしまうなら「オンラインレッスン」を受けて生活にメリハリをつけて...
好きな人と今こそハグを♡優れた6つの効果で心身を健やかに
 あなたは、最近誰かとハグをしましたか?大人になると他人はもちろん、恋人や家族間でも接触する機会がだんだんと減ってしまい...
「撮らにゃいで!」撮影拒否の“にゃんたま君”に使った奥の手
「あり得にゃい。絶対無理、レンズをこっちに向けにゃいで!」  箱入り息子のにゃんたま君のおウチに遊びに行った時のこ...
マウンティング女子8つの特徴&対処方法! あなたは大丈夫?
 自分よりも幸せそうな人を見ると、羨ましくなってしまう女性は多いでしょう。しかし、「私も、幸せになりたい」と思うのであれ...
#おうち時間でも写真を楽しく! 加工感のない写真の撮り方♡
 自粛自粛で、カメラフォルダに写真が増えていきません。写真なんて増えていかなくたって、死にはしない……でも、なんとなく充...
マンションの広告チラシからわかること&その注意点とは?
 マンションを購入したいと思ったときに、SUUMO(スーモ)などの不動産ポータルサイトのほか住宅情報誌や新聞で探すという...
Netflixの“性欲を1カ月ガマンする”番組が自粛期間にフィット
 自粛期間が続くとストレスが溜まります。外出自粛ということは、遊びに行けないということ。飲みにも行けず、風俗を利用するこ...
“にゃんたま王子”にちょっと待った!真実の愛のお相手かも?
 きょうは、「白鳥の湖」のバレエダンサーのように、小股の切れ上がったカッコイイにゃんたま君にロックオン。 「あ、ス...
園芸入門“実践編”!新たな喜びの扉を開く植物生活のススメ#2
 爽やかで清々しい季節がやってまいりました。  温かい陽射しと共に、柔らかな優しい風を感じると、鬱々とした気分も吹...
ステロイドの効果はいまひとつでも手術は予定通り行うことに
 潜在的な患者も含めるとおよそ30〜60人にひとりの女性がかかると言われている甲状腺疾患。バセドウ病は、甲状腺機能が亢進...
「私って不幸かも」つらい現状を変えるために今やるべきこと
 人生は常にハードモードで、SNSなどを見るとキラキラした世界が広がり、自分の現状がイヤになる時ありますよね。  仕事...
真っ先に“にゃんたま”を…これって愛?それともビョーキ?
 あそこに猫がいるよ、と聞けば「そのこは男の子?女の子?」と聞いてしまう。  猫を見つけた時、視線の先は真っ先にに...
数秒で決まる!第一印象を良くする7つの方法とメリット
 あなたは、はじめて出会った人がどんな人なのか、どのタイミングで判断していますか?きっと「第一印象で決めている」という人...
あなたは大丈夫?マジで勘弁と思われる“オバさん化”早見表
 男女問題研究家の山崎世美子(せみこ)です。さて、「おばさん」と「お姉さん」のボーダーラインはどこにあるのでしょう。他人...
コロナ禍のオンライン飲み会がつらい…上手な断り方・NG例
 コロナ自粛中の今、オンライン飲み会が流行っていますね。私の知り合いの間でも毎日のようにオンライン飲み会が行われています...