磯村勇斗も生徒役も地味なのに…“キラキラ”封印の学園ドラマ「ぼくほし」が大人に刺さるワケ
刑事、リーガル、医療ものと並んで連ドラの定番的ジャンルの学園ドラマ。今期も、かるた部の青春を中心にした王道「ちはやふる-めぐり-」(日本テレビ系=水曜夜10時)をはじめ、かなり変化球の高校教師とホストの恋愛がメインの「愛の、がっこう。」(フジテレビ系=木曜夜10時)、そして“スクールロイヤー”(学校が雇った弁護士)を描いた「僕達はまだその星の校則を知らない」(カンテレ・フジテレビ系=月曜夜10時)がある。
「学園ドラマは昔から生徒と同世代の視聴者をメインターゲットにしていたんですが、最近は表向きはそう見えても、実際にはその親世代がターゲット。今の40代、50代にとっては青春を振り返る場でもあり、今どきの子供の実情を知る手段でもあるんですね」(テレビ誌ライター)
そんな学園ドラマだが、磯村勇斗(32=写真)の民放での連ドラ初主演作「僕達はまだその星の校則を知らない」(ぼくほし)は、従来の学園ドラマとは一線を画す存在のようだ。「ぼくほし」は、《磯村演じる独特な感性の臆病な弁護士が少子化による共学化で揺れる私立高校に派遣され、法律や校則では解決できない若者たちの青春に、必死に向き合っていく学園ヒューマンドラマ》(公式サイトから抜粋)だ。
これまで3話放送されているが、SNSでは《法律を学校に持ち込んで、今どきの問題を取り上げようとするのはわかるけど、問題解決があっさりしすぎ》《どうもテンポが違って面白さが伝わらない》など辛口の声が目立つ。レビューサービスFilmarksでは5点満点で平均3.4(8月1日現在)と極端に悪くはないものの、世帯視聴率やTVerのお気に入り登録数は、今期の夏ドラマの中では下から数えたほうが早い。
テレビコラムニストの亀井徳明氏は「クセつよ教師と今どき高校生という定番をちょっと崩した感じかなと思ったら、全然違いました」と、こう続ける。
「生徒よりもこじらせた感のある大人たち、全体に漂う文学臭など、これまでの学園ドラマでは見たことのない空気感。何より突出してキラキラした生徒がいない。生徒さんたちの自然さは昨年の夏ドラマ『クラスメイトの女子、全員好きでした』(日本テレビ系)に匹敵すると思って見ています。こちらは深夜ドラマだし中学生なので異論はあるかもしれませんが、制服の着こなしや髪形、ちょっとしたしぐさなど、いずれも“いかにも学園ドラマの生徒役”じゃないところが、ドラマの空気をつくっている重要なポイントだと思うんです」
ただ、その独特なテンポと空気に“違和感”を覚えて受け入れられない層もいるということか。
「そこに切り込んだところがカンテレの月10ドラマらしいと思うし、それにハマる人もいる。ただ残念だったのが、第3話で“実は盗撮じゃなかった”と判明した時の女子生徒のセリフ。《友達に伝えてこよっと》って言うんですが、このセリフだけが通常のしゃべり言葉じゃなくて、ずっこけました。生徒にリアリティーがあれば、他はある程度ファンタジーであってもいいと思っていただけに、もうちょっと言葉を選んでほしかった」(前出の亀井徳明氏)
磯村演じる“異分子”と、堀田真由(27)演じる“普通の教師”という学園ドラマのセオリーともいえる組み合わせを凡庸にしないのは、現在NHKで好評の綾瀬はるか(40)主演「ひとりでしにたい」も担当している大森美香氏の脚本と、キラキラしすぎていない生徒たちの魅力。視聴率は苦戦しているかもしれないが、グッと来ているオジサンは少なくないはずだ。
◇ ◇ ◇
堀田真由は業界では“カメレオン女優”と呼ばれているという。関連記事【もっと読む】堀田真由“カメレオン女優”の「女優っぽくない」意外な素顔…では、その変幻自在ぶりについて伝えている。
エンタメ 新着一覧