「生理痛で婦人科に行くなんて大げさ」は間違い。月経不調の陰に潜む病気のリスク【専門医監修】

横倉恒雄 婦人科・心療内科医
更新日:2025-09-29 08:00
投稿日:2025-09-29 08:00

膣炎にも注意

 婦人科受診で常に上位に挙がるものに、膣炎があるそうです。

「膣炎とは膣に炎症が起きている状態を指します。細菌性膣炎やカンジダ膣炎などタイプがありますが、ストレスや疲労、抗生物質の使用、ムレなどが膣内環境を乱して、膣炎に繋がる要因となります。

 かゆみやおりものの異常、ヒリヒリした違和感などを感じたら、早めに受診を。市販薬での自己判断では改善せず長引いたり、間違った判断で悪化する場合も。

 婦人科で正しい診断と治療を行えば、ほとんどは短期間で改善します」(横倉先生)

オンライン診療と自己判断の落とし穴に気をつけて

 近年はスマートフォンで手軽に受けられるオンライン診療や、ネット検索と市販薬でこれらの不調のケアをする人も増えています。忙しい女性にとって便利な選択肢ですが、リスクもあると言います。

「ネットの情報をもとに自己判断する人は少なくありませんが、これは大きなリスクを伴います。重い生理痛を“体質”だと思い込んで市販薬でやり過ごした結果、子宮内膜症や子宮筋腫の発見が遅れてしまったり、PMSの不調を「気のせい」と軽視してメンタル不調に発展するケースもあります。また、おりものの異常に気付けず、膣炎や性感染症が慢性化してしまうことも。

 一時的に症状を抑えることができても、根本的な改善にはつながりません。原因が放置されれば再発や悪化を招きます」(横倉先生)

 オンライン診療にも限界があるそう。

「視診や触診、超音波検査などが行えないため、病気を見逃してしまうリスクがあります。どうしても自己申告に依存しやすいため、症状の伝え方があいまいだと誤解が生じて正しい判断がしづらく、治療が遅れることも。また、“症状に合わせた薬の処方”が中心になりがちで、根本原因にアプローチできず、再発や長期化を招くケースもあります」(横倉先生)

 自己対応やオンライン診療は便利ですが、それだけに頼らず、対面診療と組み合わせて活用することが大切です。

“かかりつけ”の婦人科医を

「月経まわりの不調もPMSも、漢方やピル、ホルモン製剤など保険が適用される治療で負担を減らすことができます。ガマンせず、まずは婦人科を受診して、自分にはどんな治療があっているのか相談してみましょう

 また、年1回程度の婦人科検診を習慣にしつつ、症状がとくに重いとき等は婦人科医にきちんと診てもらってください。

 婦人科はなかなか行きづらいという人も少なくないと思いますが、何でも話せて信頼できる“かかりつけ”の婦人科医を見つけることをおすすめします」と横倉先生。

 忙しい毎日でも、自分の体の声に耳を傾けることを大切にしたいですね。そして婦人科での検診・相談やメンテナンスを心がけることが、自分の健康を守り、暮らしの質を向上させる近道かもしれません。

(取材・文 入江由記)

横倉恒雄
記事一覧
婦人科・心療内科医
医学博士。横倉クリニック(東京.田町)院長。慶應義塾大学医学部産婦人科入局。東京都済生会中央病院産婦人科に勤務、同病院にて日本初の「健康外来」を創設。病名がない不調を抱える患者さんにも常に寄り添った診察を心がけている。クリニックで行っている講座も好評。著書に『脳疲労に克つ』『心と体が軽くなる本物のダイエット』『今朝の院長の独り言』他がある。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


子供の言葉遣いが悪い時はどうすれば? 考えられる4つの原因
 子供が保育園や小学校に通い出すと、悪い言葉遣いを覚えて帰ってきます。また、悪い言葉遣いはSNSや動画サイトなどからも大...
“たまたま”の日常♡ この写真にぴったりな名前を選んでニャ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
コクハク専属ライバー コクハクリーダーズ第1期生を大募集!
 日刊ゲンダイが運営する女性webメディア「コクハク」では、メディア制作に協力してくださる「コクハクリーダーズ第1期生」...
金木犀の香りが空前のブーム!甘く懐かしくアンチエイジングに運気UPも
 とある量販店に行った時のことです。入り口付近に黄金色の商品ばかりが並び、遠巻きに見ると店舗全体が黄金色に輝いてみえる。...
タイパ? なにそれ。映画館で初対面の作品と出会う胸のときめき
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
リュウジ氏と港区女子の相容れぬ価値観「男子全奢り論争」諸悪の根源は?
 諸悪の根源はリュウジさんでも港区女子でもなく、ズバリ“あの人物”でしょう。 「バズレシピ」でお馴染みの人気料理研...
街が茜色に染まり始めた頃…ほんの1カ月前がすでに懐かしい
 夕暮れ前、ぼんやりしていたら辺りは真っ暗。少し前はそんなことなかったのに。  湿度を含んだ空気や強すぎる日差しが...
まるでリヴァー・フェニックス!美少年“たまたま”にうっとり
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
会社の飲み会「欠席LINE」の正解は? 感謝と断る理由では詰めが甘い
 何かをお願いされたり、誘われたりした時、断るのってとても気を使いますよね。  人によっては、本意ではないのにOK...
今どきの「良妻+賢母」ってどんな人?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
“女LINE”は秋の空!嫌味、派閥、狂乱…げに恐ろしき女だらけの職場
 女だらけの職場に勤めた経験はありますか? 学生時代から多くの人が感じるように、さっぱりしている男性に比べて、女性の人間...
2023-10-07 06:00 ライフスタイル
村上春樹氏、今年もノーベル文学賞ならず…「村上レシピ」で一人残念会
 スウェーデン・アカデミーは5日、2023年のノーベル文学賞をノルウェーを代表する劇作家ヨン・フォッセ氏(64)に授与す...
部屋が汚いときはどうすれば? 手始めにやる3つのこと&綺麗を保つコツ
 ちょっと気を抜くとすぐに散らかってしまう部屋。部屋が汚くなったとき、「とりあえず何から片付ければいいんだ?」と途方に暮...
田舎の秋の景色 この気持ちいい季節がずっと続いてほしい
 気づけば10月に突入。1年の後半のこのスピーディーな感じ、なんだか焦るなあ。  ずっとこの気持ちいい季節が続けば...
無理して笑うの、やめない?「ポジティブシンキング推し」に物申したい
 ここ数年でメンタルに関する情報は、SNSにも本にもたくさん出ています。それは良い傾向なのですが、やたらとポジティブに考...
MEGUMIの夫・降谷建志は不倫相手に息子を会わせた…ってどんな心理?
 タレントのMEGUMI(42)の夫で、「Dragon Ash」のボーカル・降谷建志(44)の不倫騒動が9月27日に「文...