二階堂ふみが演じる“最後の愛人”は…
その、太宰を愛する「3人の女たち」。実は全員、濡れ場を披露しています。筆者は、富栄と太宰のシーンがもっともエロティックだと感じました。二階堂ふみがキュートで清純な富栄を全力で演じ、必死に太宰を求め合体しまくるのです。
富栄は静子に子どもができた事実を知り、嫉妬心が全開に。「私、あなたの赤ちゃんが欲しい」と、執拗に関係を迫ります。太陽が差し込む真っ昼間の室内で合体。行為中に太宰の頬を両手で包む性愛シーンは「本気で人を愛すると、女性はこういうふうに“獣”になれるのかもしれない」と思わずにはいられませんでした。「あなたの全部を私にちょうだい!」という独占欲を、全身から放出しているからです。
太宰のカラダの具合が悪くなっても、富栄の求めはとまりません。富栄の部屋で床に座り、ぐったりとしている太宰の前でショーツを脱ぎ、女性上位でつながろうとするのです。
筆者が最も素敵だと感じたのは、富栄がアノ時に出す声。ハスキーな声が、「あなたには正妻がいるから私のものにはならないけれど、私が誰よりも一番あなたを愛しているから!」という、ココロの叫びが聞こえてくるようでした。
「3人の女たち」は、正妻以外は不倫関係です。筆者は見ていてハラハラしました。既婚男性と不倫中の独身女性から、何度も相談を受けた経験があるからです。うち、3例をご紹介します。
壮絶不倫の実話エピソード!
A子さん(20代)は、不倫を卒業したのに、次も既婚男性と交際。関係が奥様に知られることとなり、2人の奥様から慰謝料として各200万円ずつ請求されたそうです。金銭関係のトラブルは弁護士の分野なので、筆者はアドバイスができませんでした。
B代さん(30代)も、奥様に発覚しました。男性は奥様に隠し通したかったのでしょう。B代さんをストーカー扱いしたうえに、警察に通報したそうです。
C美さん(30代)は、結婚した元カレが忘れられず、復縁=不倫を申し出たそうです。ですが、連絡先をすべてブロックされ、絶縁されたとのこと。今でも元カレが忘れられず、別れて5年経った今でも新たな恋人はいません。
他にもまだ例はありますが、筆者が見聞きしてきた限りでは既婚男性と幸せになったケースはありません。
では、静子と富栄の未来は? 太宰に「壊しなさい、私たちを」と言い放った正妻、美知子が最後に下した決断とは。太宰が生きた時代だからこそ大目に見られていた狂った倫理観は、ぜひ劇場で鑑賞を。
蜷川監督ならではのダイナミックで甘美な映像美は、大きなスクリーンで見ることをオススメしたいです。
「人間失格 太宰治と3人の女たち」(配給:松竹、アスミック・エース)は9月13日(金)より全国公開ロードショー。R15+指定。
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