更新日:2025-11-26 11:45
投稿日:2025-11-26 11:45
義妹の娘の写真だけが増えていた
数週間後、義妹の家族が来るという話を聞き、マキはまた義実家を訪れた。
壁を見ると、新しい写真が増えていた。義妹の娘が浴衣姿で笑っている夏祭りの写真。
「額縁、買ったんだ…」と思わずつぶやいたという。
「たぶんお義母さんに悪気はないんだよ」
マキは自分に言い聞かせるように話していた。
「娘の孫は近くに住んでて、ちょこちょこ遊びに来るし、写真もいっぱい送ってくる。接する時間が多い分、思い出も増えるんだと思う」
でも理屈では分かっても、気持ちは割り切れない。
「やっぱり、あの壁を見るたびに“うちの子は飾るほどじゃないの?”って思っちゃう。張り合いたいわけじゃないけど、あれだけ違うと心が静かに削られるの」
義母の「他人の子扱い」に募る寂しさ
マキの夫に話しても、「母さんに深い意味はないよ」と笑って済まされた。
「母親って自分の娘の子には自然と手が出ちゃうんだよ。育児の延長線上にあるから」
そう言われても、マキの胸には“他人の子扱い”をされたような寂しさだけが残った。
「息子の子は、“嫁の世界”に入る感じなんだろうね。気を使うから距離を置く。でも、その距離が積み重なると“存在の薄さ”になるんだよ」
マキは静かにそう言った。
“飾られない写真”は、たった一枚の空白に過ぎない。けれど、そこには確かに“線引き”がある。それは「愛していない」わけではなく、「見えていない」ことの象徴なのかもしれない。
「SNSで孫自慢してる義母を見ても、もう何も感じないようにしてる。見なければ傷つかない。でも、あの壁の前に立つと、やっぱり息が詰まるのよ」
ライフスタイル 新着一覧
暗闇をバックに造形が際立つ、まるでガード下の芸術作品。
明るい時間にはなんてことない風景なんだけど、まったく違...
みなさんの生活圏には「イジる文化」はありますか? 私は関西出身なので、お笑いの文化が身近にあり、小さな頃からイジリ慣れ...
会社でのプレゼンや学校での保護者会など、人前で喋るときに緊張して本領発揮できなくなってしまう人はよくいます。たしかに、...
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
会社で働いていると、びっくりするほど仕事をしないおじさんっていませんか?
働き盛りのアラサー、アラフォー女性にとっ...
北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
「へー!」
以前なにげなく見ていたNHKの特集番組で、思わず声が出たことがございました。なぜテントウムシは自然と...
年々、デジタル化が進む現代では、年に一度、心を込めて書く年賀状の意義も大きくなっていますよね。でも、実は年賀状には意外...
私、このコたちを我が家に迎える前から、ふたりのファンだったんです。
「セントチヒロ・チッチ」の名前の通り、私はジ...
書店員でエッセイストで踊り子。コクハクで連載中の新井見枝香さんが出演するストリップを観に行ってきました。ストリップ初心...
「課長に昇進したのはいいけど、意外とツラい〜!」そんなアラフォー女性、増えています! 豊富な経験から職場で責任あるポジシ...
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
あなたの周りに、見栄っ張りな女はいませんか。友達だと思っていても、会うたびに見栄を張られると、疲れてしまいますよね。こ...
さまざまな年齢の人が働いている職場では、かなり年の離れた定年間近の上司や先輩とも付き合わなくてはなりません。人生の先輩...
行きかう電車を眺める2人。
なにか会話をするでもなく、ただ同じ方向を向いている。
記念日やイベントごと...
人は見かけによらないといいますよね。実際に普段抱いている印象とはまったく違う「意外な一面」を持っている人がいたりいなか...
















