自分の「老後の不安」どうする? お金と健康が気になる人へ

東城ゆず ライター・エディター
更新日:2019-09-11 06:00
投稿日:2019-09-11 06:00

 介護士をしていると、高齢者と接する以外にも定年間際の人たちから「老後は、どうしたらいいの?」と質問を受けます。社会問題でもある少子高齢化により、年金や定年後の不安が漠然とつきまとうのでしょう。

 認知症による悲惨な交通事故や、徘徊などによる行方不明者も近ごろは多くなってきました。そんなケースを自分に置き換え、「老後、豊かに元気に暮らせる?」という不安に感じるのでしょうね。

 老後の不安を消し止めることは難しいと思います。誰にも未来は予測がつかないからです。しかし、老後を不安に思うあまり、今の人生を楽しめないのはもったいないと思います。老後の不安をどうやって軽減するか。経済的問題と健康へのアプローチを考えていきましょう。

老後の不安の経済的な不安と健康にはどう備える?

 老後の不安のトップといえば、「経済的不安」ではないでしょうか。そのため老後の出費を考えたり、キャッシュフローをアドバイスする本が多く出版されています。「認知症にならない予防法」なども、人々の関心が高いはずです。そこで、経済的不安や健康への懸念を軽減してする方法を考えましょう。

老後は支出も減ることを覚えておく

「老後の支出について不安です。老後に3000万円が必要と一般的に言われていますが、そんな貯金が我が家にはありません。“飢え死にしてしまうのでは?”という不安が漠然とつきまといます」(Mさん・39歳女性)

 老後の支出について「介護はどのくらいお金がかかるの?」という質問や、「家族に迷惑をかけたくない」という思いをよく聞きます。子育て中や今の生活から考えれば、老後の生活の暮らしを年金だけで賄うという判断はできないものです。収入が減ることを考えれば不安ですが、老後は支出も減ることを覚えておきましょう。

 子供が独立すれば、そこから老後への蓄えを始めることもできます。それに、高齢者となれば頻繁に外出することも減るでしょう。少なくなった家族構成では光熱費も減るはず。今の支出から老後の生活を考えるのはナンセンスです。

医療費について調べておく

「医療費がかさみそうで、老後に通院できるのか不安です。病院だって何度も行けばそれなりにお金がかかりますよね。それをどう賄うべきか教えてほしいです」(Kさん・48歳女性)

 高齢者になれば病気にかかるリスクや入院も増えますし、医療費は免れられない出費でしょう。

 医療費が高額となった時は、あとから申請することで、自己負担限度額を超えた金額が払い戻される「高額療養費制度」がありますが、後に還付されるとはいえ、手術や入院で多額の出費となった時は、そのまとまったお金の工面も心配ですよね。そんな時は、“限度額適用認定証”を使えば、1カ月に負担すべき自己負担限度額に抑えることができるのです。このように、医療費について使える手段を調べておくことは、貯金を大幅にアップするより簡単で確実な方法といえます。

老後の不安は健康への不安も多い

「健康面が心配です。家族に心配をかけるような生き方はしたくないんです。健康でないと楽しみもないし、辛いだけで長生きする意味がないように思えてしまう。どうしたら健康的な老後の生活が送れますか?」(Uさん・51歳女性)

 多くの人に老後の不安を聞くと、自分の健康についての不安があることがわかります。ですが、老後に「これをすれば絶対に大丈夫」というものは存在しません。誰でも病気や障害のリスクは付きまとうのです。

 しかし、「これだけやっているから、自分は健康に余生を送れる」という自信は大事なことです。足腰が強い人というのは、それなりに定年後も運動をしています。旅行や買い物など老後の楽しみのために、一緒に出かけられるような友達や知人がいれば、相手の表情を読み取ったり相手のことも配慮する。対人関係はすごく頭を使いますから、たとえ会話だけであっても介護予防になります。

 働いている時は会社で健康診断を受ける人も多くいるでしょう。「病気の早期発見が老後を豊かにする」と言っても過言ではないのです。

「何もなかったら、無駄な出費だから」と健康診断を受けない人も多くいますが、いま病状が進んでしまい苦しんでいる人も、そう思っていたに違いありません。健康診断で病を初期のうちに発見できれば、治療も開始しやすく、トータルで見れば医療費もお得に済みます。健康への意識は強く持つようにしましょう。

老後に不安はつきものです

 老後の不安をあげ始めたらきりがありません。いまの日本は多くの人が安心して生き抜くことができる社会情勢ではないからです。それに自分の寿命を知ることはできないので、概算で老後にかかる費用を計算することになりますよね。出費を少しでも防ごうと、介護予防に力を入れたり健康について真剣に考えます。それでも、「これさえやっていれば、絶対に大丈夫」というものは存在しないのです。

 自分の老後を悲観すぎないこと。そして感情的になるのではなく論理的に考えること。今の生活から老後の生活について考えすぎるのはやめましょう。

 老後を豊かにするのは、自分が高齢者になった時の生活を想像する力です。今から想像を働かせて、老後に「どんな生活をしたいのか」を考え抜くことで、確実に周りと差をつけた老後を迎えられるはずですよ。自分とちゃんと向き合うこと。これが豊かな老後には必要なことなのです。

東城ゆず
記事一覧
ライター・エディター
1994年生まれ。11歳の頃からブログを運営。ライターやエディターとして、女性誌メディアや地元新聞のコラム枠まで幅広く活躍中。恋愛やママ友問題、介護士であった経験からリアルな介護問題まで幅広い知見がある。年子兄弟を連れ離婚の経験があり、現在は再婚に至る。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


子ども同士のLINEにもドラマが!将来の夢はスパイに忍者…ピュアな感じがたまらん
 最近では、小学生でもスマホを持っている子が増えていますよね。連絡ツールとして友達とLINEを使いこなし、時代は変わった...
女はお嫁さん要員? 年収800万でも「行き遅れ」と見下される田舎の地獄
 西新宿の高層ビル内にある大手食品会社のデザイン室に勤務し、初台に暮らす咲子。実家とはほぼ縁を切ってはいるものの、悠々自...
毒親の介護をしたくない 実家から逃げた女が「決別」のため払った金額は
 西新宿のビル内にある大手食品会社のデザイン室に勤務し、初台に暮らす咲子。実家とはほぼ縁を切ってはいるものの、おひとりさ...
田舎を捨てた「独身女」は不幸ですか 絶縁した家族が来て…今さら何の用?
 いまだ残暑が残る9月の初め。月曜日のAM7:30。  すでに汗ばむ陽気に包まれながら、西村咲子は新宿西口の高層ビ...
職場で飛び交う「大人のちくちく言葉」4選。無意識に同僚・後輩のモチベを下げてない?
 人の気持ちを不快にさせる、ちくちく言葉。子どものちくちく言葉は「アホ」「バカ」「マヌケ」などストレートですが、大人にな...
“たまたま”に見覚えあり!尾道市立美術館の「ケンちゃん」ではないかぃ?
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
大優勝!秋から元気な“開運最強”花5選。一輪挿しでも存在感たっぷりで映える1本を紹介
 台風10号の遠隔豪雨は、神奈川にあります猫店長「さぶ」率いる我がお花屋にも様々な影響を及ぼしました。大雨を睨みなが...
みんなどうしてる? 大地震の経験者が語る我が家のリアルな地震対策7選
 南海トラフ地震の危機感が高まる中、「我が家も地震対策を見直さないと」と思っている人は増えているようです。ただ、実際に被...
バツイチ女一匹「昭和の意地」を捨てたおじさまから商店会会長を任されましたよ…!
 前回、ポンコツ商店会再起動という渦に巻き込まれた私。とりあえず、様々な問題解決のため、床屋さんと元酒屋さんとの密なミー...
猫飼う40独女が準備する「防災グッズ」元カレのアレと被災した親の経験談が沁みる…
 9月1日は「防災の日」でした。地震や台風などに対する不安が高まっている今、災害に備えていますか? 私は、しなきゃしなき...
40代“子育て女”キャリア再形成に苦戦中。専業主婦→パートを経たその先のハードルが高すぎる
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方などをテーマにブログやコラムを執筆している豆木メイです。  最近、フ...
簡単!秋におすすめのアロマと桃尻・股関節・ふくらはぎ・内ももの鍛え方【調香師がチャート別に解説】
 適度な運動で汗をかくと健康になるのはもちろん、達成感で幸福ホルモンが刺激され、心や肌にも潤いを与えます。今回は、フェロ...
祝“たまたま”2nd写真集発売!「神表紙」の魅惑ポーズの裏側に迫る
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
水の中の緑のカーテン
 水底に沈んで  上を見上げているつもりになって  涼んでみる
「阿婆擦れ」は“当て字”。もともと男性にも使われていた
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
目指すは我が家でホムパ! プ~ンと漂う家の臭いの根源と3つのテッパン対処法
 自分の家の玄関を開けてふわっと嫌な臭いがした時、本当に凹みますよね。  わが家の臭いには、慣れてしまいがち。他人に気...