でも、「薬で生理を移動させるなんて体に悪くないの?」と心配する声も。そこで、ピルで生理を移動(月経移動)させる方法やメカニズムについて、詳しくお伝えします。
ピルで生理日を移動させるのは意外にもポピュラーなこと
「大切なイベントの日に生理が来てしまうかも……」、そんな憂鬱と向き合う女性は多いでしょう。でも、ピルを利用すれば、そんな煩わしい悩みが解消できるんです。
ピルで生理を移動できるメカニズム
生理は、女性ホルモンの「エストロゲン」と「プロゲステロン」の分泌量が変化することによって起こります。エストロゲンは生理後〜排卵日まで、プロゲステロンは排卵日〜生理までという周期で分泌が増えますが、ピルにはこの2種類のホルモンが入っているため、飲む時期を調整することでサイクル自体を移動させることができるのです。
世界的には女性アスリートの約40%が利用、日本では約2%
世界的にピルを使っている女性アスリートは約40%。もちろんピルはドーピング検査でも引っかかりません。でも、日本の女性アスリートの使用率はたった2%というデータがありました。(参考:株式会社ドーム)
「日本はピル後進国! 『ピル=避妊』の考え方は遅れています」でも書きましたが、日本では根強い偏見などにより、ピルのメリットには目が行きにくいのが現状のようです。アスリートのような特殊な世界でもあまり認知が進んでいないのに、一般社会でピルで生理を動かすというメリットが認められることはなかなか難しいのかもしれませんね。
中用量ピルを処方されることもある
ピルには高用量ピル、中用量ピル、低用量ピルなど、ホルモンの成分量によっていくつかの種類があります。現在、一般的に避妊目的の方に対してよく処方されるのは低用量ピルでありますが、普段ピルを飲んでいない方が生理をずらす場合、ピルを始める時期によっては中用量ピルが処方されることも。
もちろん、効果には期待できるものの、中用量ピルはホルモンの含有量が多いため、吐き気などの副作用が出る可能性があることも覚えておきましょう。
体験者が語る! ピルで生理日を移動させるメリット
ピルで生理日を移動させることには、どんなメリットがあるのでしょうか? 5年間ピル生活を続けている体験者である私が、お伝えしていきたいと思います。
旅行などのイベントごとで困らない
彼や友人との旅行、海やプールなどのレジャーの日に生理が重なると、生理痛による体調不良だけではなく、漏れないか心配したりとさまざまな悩みがつきまといますよね。さらに、「この日は大丈夫!」と思っていても、生理予定日がずれることはよく起こります。私も、よくがっかりしたものです。
でも、ピルで生理日をずらせると知ってからはノンストレス! 普段からピルを飲んでいると生理が来る日をピンポイントで把握することができるため、自分の体をコントロールできるのはとても気楽なんです。
スポーツをしている人は体調管理に役立つ
先日出会ったピルユーザーの女性。マラソンをしているため、週末の大会に合わせてピルを飲んでいると聞きました。私自身はスポーツ自体に縁遠いものの、生理中のだるさや眠気と戦いながらマラソンをするなんて、とてもじゃないけど考えられません!
世界中のアスリートが利用しているピルですが、スポーツをしている人にとって、大切なイベントに合わせて生理日を変えられるのは、パフォーマンス向上のためにも、とても大きなメリットになると思います。
大切な試験や仕事に集中できる
どうしても集中したい大切な試験、仕事のプロジェクトがある時に生理が来てしまうと、生理中だけではなく、生理前のPMS(月経前症候群)でイライラや眠気に悩まされることがあります。これを防ぐことができるのも、ピルのメリット。しかも、ピルを日常的に飲んでいると生理痛や出血も軽減されるため、より目的を目指して集中することができます。
ピルで生理日を移動させる方法! 早めたいor遅らせたい場合
実際にどのように生理日を移動させるのか、具体的にいつからピルを飲めば良いのかをご紹介します。
生理を早めたい時
生理を早めたい場合には、生理が始まって5日目くらいからピルを飲み始めます。生理を早めたい日まで(1〜2週間ほど)飲み続けてストップします。その後、2〜3日で生理が来ます。
【生理を早める場合のメリット】
・生理を移動させたい日にピルを飲む必要がない
・低用量ピルでも使用可で、副作用のリスクが低減される
【生理を早める場合のデメリット】
・ピルを早めに飲み始めなければならない(ひとつ前の生理中より前に受診が必要)
・生理がスムーズに来ない場合があり、移動させたい日に生理になる可能性がある
生理を遅らせたい時
生理を遅らせたい場合には、生理予定日の5日ほど前からピルを飲み始めて、生理を避けたい日の最終日まで飲み続けてストップします。その後、2〜3日で生理が来ます。
【生理を遅らせる場合のメリット】
・ほぼ確実に生理を移動させることができる
【生理を遅らせる場合のデメリット】
・移動させたい日にピルを飲まなければならない(副作用が起こるリスクがある)
ピルで生理日を移動させたい時の注意点
最後に、ピルで生理を移動させたい場合の注意点を確認しましょう。
直前すぎると生理を移動できない
生理を移動させたい日が直前すぎると調整が難しいため、ずらしたい日が分かっているのであれば事前に病院で処方してもらうことが肝心です。
また、旅行やイベントなど日数が近い場合にはピルでの調整が比較的簡単ですが、試験などで期間が長い時には、低用量ピルを一定期間飲んだ方が良い場合もあります。医師の見解によっても処方されるピルが違う場合があるため、分からないことがあればしっかり相談するようにしましょう。
自己判断ではなく病院に相談を
避妊目的や、女性特有の疾患の治療などでピルを飲んでいる方で生理日をずらそうと考えている場合には、必ず病院に相談しましょう。正しく飲まないとピルの避妊効果は落ちてしまいますし、病気に悪い影響がある場合も考えられます。自己判断は禁物です。
ピルを利用して生理と上手に向き合って♪
月一で約一週間の生理期間は、年間に換算すると一年のうちの三ヶ月間も生理日があるということになります。これを避けて大切な予定を入れるのはかなり難しいですし、ストレスにもなりますよね。
私は低用量ピルを5年間飲んでいますが、旅行などここぞという時には被らないようにちょくちょく生理をコントロールしています。これは、とても快適です。ただし、ピルをストップさせて生理を来させることで、避妊効果が継続されない場合もあります。自分の都合、目的に合わせて、ピルを上手に利用するようにしましょう。
次回は、ピルの気になる費用についてご紹介します。思ったよりも安価なピル事情、ぜひ参考にしてくださいね。
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