淡い恋を失った心に入り込む“優しい男”…優紀さんのケース#3

神田つばき 女と性 専門ライター
更新日:2020-03-29 23:10
投稿日:2020-03-29 19:00
 A氏からのメールには、写真の仕上がりを見せたいから事務所に来てほしい、と書いてありました。「新しい優紀が誕生したよ。俺スゴいって、うぬぼれてしまった!」という文面の、呼び捨てにも特別な思いを感じました。A氏と、恋人でありながら創作を共にするパートナーになれるかも知れない……優紀さんは淡い恋心を抱いて事務所を訪れました。

ほかの女性の撮影に参加してわかった先生とモデルたちの関係

 事務所のドアを開けると、耳に飛び込んできたのはストロボを焚く音でした。

 バックペーパーの前で、20代後半ぐらいのモデルが工業用扇風機に髪をあおられながらポーズを取っています。A氏はカメラから目を離さずに、「いいところに来た。扇風機で紙があおられてんの、踏んづけていいから押さえててくれる?」と優紀さんに頼んだのです。

 撮影の手伝いはおもしろく、A氏の指示に合わせて扇風機を調節したり、照明を動かしたり。優紀さんは、テキパキと美しい写真を演出しシャッターを切るA氏に見とれました。

セクシーな写真を見られることへの抵抗

 撮影が終わり、「優紀、奥多摩のやつ、見る?」とA氏がノートパソコンに優紀さんの写真を出すと、「わあ、綺麗!」と、モデルの女性も汗を拭きながらのぞき込んできました。

 体に巻いた薄布がずれて、乳首が見えているショットもあり、初対面の女性に見られるのはいやでしたが、プロの仕事場とはこういうものなのかも、と恥ずかしさをこらえました。

 ところが、「先生、今日は泊まれないけど車で送ってくれる?」と女性がA氏の首に抱きつき、A氏は一度置いたカメラを持って「じゃ、ホテルかどこかで追撮すっか?」と出かける準備をはじめたのです。

 今日は泊まれないということは、いつもは泊まるんだ……。優紀さんは深いショックを隠して先に事務所を出ました。

神田つばき
記事一覧
女と性 専門ライター
離婚と子宮ガンをきっかけに“目がさめて”女性に生まれたことの愉しみを取り戻すべく、緊縛写真のモデルとライターに。私小説「ゲスママ」、イベント「東京女子エロ画祭」「親であること、毒になること」などを企画。最近は女犯罪者や緊縛表現者に関するZINEの制作・販売を開始。Xnoteblog

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


このコロナ禍で一変…簡略化した「知人の葬儀」への対処方法
 朝晩が冷える日が続くようになり、ワタクシの住む神奈川でもすっかり冬を実感する毎日でございます。  緊急事態宣言も...
「息子の名字をどうするか問題」…子供たちは柔軟だった
 はじめまして。シングルマザー3年目の孔井嘉乃です。私には、6歳になる息子がいます。  家庭の事情はそれぞれあって、離...
心を開いてくれた♡ "にゃんたま”パワーの癒しに救われます
 きょうも、にゃんたまωを求めて旅は続きます。  にゃんたまは非常にセンシティブな部位なので、初対面の相手に、そう...
もう戻れない…嫁姑の“誤爆LINE”で家庭崩壊!緊迫の内容5選
 今回は、結婚している女性にとって、ただただ恐怖でしかない「嫁姑の誤爆LINE」をご紹介します。「あの時気づいていれば!...
なぜイライラしてしまう? 頑張る人ほど他人に厳くなる理由
「いいなぁ、私なんか……」と自分を羨んでくる人に、「じゃあなぜ頑張らないの!?」とイラッとしたことはありませんか? しか...
長く続いた面倒なLINEのやりとり…自然な終わらせ方5選
 日常生活に欠かせないLINEは、どこにいても気軽に連絡を取り合うことができる最高のコミュニケーションツールです。でも、...
しながわ水族館にカワウソがお引っ越し 2021.10.29(金)
 しながわ水族館(品川区勝島)は19日で開館30周年を迎えました。今月17日より、30周年を記念した音声ガイド「シュラと...
食欲の秋!青空の下でおやつ中の“にゃんたま”後ろ脚にも注目
 きょうは、にゃんたま集合! 食欲の秋がやってきました。  抜けるような青空にシッポを突き上げて、おやつを頬張りま...
小さくても効果絶大!ブルースターは男の子のラッキーカラー
 猫店長「さぶ」率いる我が花屋、さすが店長が猫というだけあって、お子様連れのお客様がとても多いのでございます。  ...
近いのに遠い実家…娘が孫を連れて出戻ってきた時の親の心
 はじめまして。シングルマザー3年目の孔井嘉乃です。私には、6歳になる息子がいます。  家庭の事情はそれぞれあって、離...
どれにしようかにゃ♪ 猫じゃらしを吟味する“にゃんたま”君
 たくさんあってどれにじゃれようか目移りしちゃう!  きょうは、風に揺れる天然の「猫じゃらし」で遊びたい放題です。...
ママ友のひどいLINE…空気が読めない&常識知らずな内容5選
 保育園や幼稚園の保護者同士でやりとりするママ友LINE。同じクラスのママに誘われて断るわけにもいかず、半ば強制的にグル...
角川武蔵野ミュージアムに行ってみた 2021.10.24(日)
 埼玉県所沢市に誕生した「ところざわサクラタウン」は、アニメホテル×ミュージアム×レストラン×多目的ホールなどで構成され...
醜すぎる女性同士のバトル! 姑・友人・姉妹のドロドロLINE
 女性同士のケンカって、ドロドロしがちですよね。「本気でぶつかり合えばすっきり解決!」ができる男性に比べて、女性同士のケ...
断捨離で社会貢献 「古着deワクチン」レポ 2021.10.22(金)
 整理整頓が苦手です。特に洋服。気が付くとクロゼットはいつもパンパン。そのくせ着る服はいつも一緒という残念な事態に。この...
あなたは大丈夫…? ”不幸中毒”になっていたお客さんの話
 自分のことを「不幸だな」「不運だな」と感じることはありますか?もちろん生活の中でそんなふうに感じる瞬間はあると思います...