外出自粛でDVや虐待増加…エスカレートの理由を心理士に聞く

田中絵音 日本合コン協会会長
更新日:2020-04-14 06:23
投稿日:2020-04-14 06:00

児童虐待が起きる理由とは

――児童虐待はなぜ起こるのでしょうか? また、虐待がもたらすリスクを教えてください。

 児童虐待が起こる理由は非常に複雑ですが、大きく分けると、「保護者のリスク要因」「子どものリスク要因」「環境のリスク要因」があると言われています。

1. 保護者のリスク要因

 望まない妊娠、マタニティブルー、妊娠中や出産後の長期入院などにより子どもへの愛着がうまく形成されなかったこと、産後うつ病、元来の攻撃的・衝動的な性格、精神障害、知的障害、アルコールや薬物依存症、親自身が被虐待児といった要因です。

2. 子どものリスク要因

 乳幼児、未熟児、障害児、多胎児、そのほか、何らかの育てにくさを持っている子どもです。

3. 環境のリスク要因

 シングル家庭、内縁者や同居人がいる家庭、ステップファミリー、親族や地域社会から孤立した家庭、経済的不安のある家庭、夫婦関係の不和や暴力がある家庭などです。

児童虐待がもたらすリスク

 児童虐待もDVと同様、1つの要因によって必ず起こるわけではありません。こうしたリスクファクターと併せて、不安定な社会情勢や外出制限によるストレッサーが加わることにより、児童虐待が加速するものと考えられます。

 また、こうした虐待のリスクがある家庭に対し、新型コロナウイルスが流行する前に施されていたさまざまな支援が滞ってしまっていることも、虐待件数を伸ばしている一因として考えられます。

 児童虐待がもたらすリスクは、非常に多岐にわたります。深刻なケースだと、生涯残る身体的な傷跡、脳の萎縮、年齢に比して未熟な発育、知的・認知的な遅れ、PTSDや解離性障害などといった精神障害をもたらす可能性があります。

 保護されるほどの深刻なケースでないと認定されるような場合でも、日々親から否定的な言動を受け続けると、子どもは愛情飢餓によってだれかれ構わずベタベタしたり、要求と試し行動を繰り返す愛着障害を抱えることがあります。

 感情のコントロールや集団生活も、苦手になりがちです。相手の顔色を伺いながら生活してきたことで自分の本心が分からなくなり、青年期に人格障害を抱えることもあります。

 幼少期に否定され続けると自尊心が低くなるため、自傷行為や摂食障害、アルコールや薬物、買い物やセックス依存症を患うこともあるのです。

 また、虐待は世代間連鎖によるリスクも高いと言われています。すなわち、被虐待児が大人になった時、虐待だと分からずに(たとえば、“しつけ”といった愛情行為だと思って)わが子を虐待してしまってしまうこともあるのです。

少しでも悩んだら専門機関へ相談を

 いかがでしたか?

 もし自分の環境に少しでも心当たりがある場合は、一人で抱え込まずに「配偶者暴力相談支援センター」などの専門機関へ相談を!逃げ場がないという人には、一時保護してくれるシェルターなどの措置もあります。

 実際に暴力があった場合には、110番です。

 一つ屋根の下という閉ざされた空間で各家庭に何が起こっているかは、傍目からは分からないもの。だからこそ、悩みは溜め込まないでいただきたいと思います。

【MiKiさん プロフィール】

 教育機関で働く1児のママであり、臨床心理士・公認心理師。

 筑波大学大学院心理臨床(修士課程修了)

 インスタグラム(https://www.instagram.com/oyakology/)にて心理学・脳科学に基づく子育てメソッドを発信している。

田中絵音
記事一覧
日本合コン協会会長
一般社団法人日本合コン協会会長、恋愛アドバイザー。2000回以上の合コンイベントに携わり、男女の恋愛心理に精通する。また一児の母であり、ママ向けイベントを行う「東京ママパーティー」の主宰も務める。著書に「こじらせ男子の取扱説明書(トリセツ)」
(双葉社)など。
ブログXInstagram

ラブ 新着一覧


「夫か母か選ぶ日が来るかも…」双方の不仲を知る妻の胸の内
「冷酷と激情のあいだvol.17〜夫編〜」では、妻の母親からの毒親的な過干渉に頭を抱える男性・Aさんの本心をご紹介しまし...
並木まき 2020-11-02 06:25 ラブ
「何を考えているか分からない彼」を落とす3つのテクニック
 男性と恋愛していると、こんなふうに思ってしまうことはありませんか? 「何を考えてるのかわからない」「男心は謎すぎる…...
ミクニシオリ 2020-10-31 06:00 ラブ
100均の女物のパンツをこっそり履いているエリート夫の正体
 結婚してからわかる相手の本性。同棲をしばらくしていたから大丈夫!というものではありません。入籍する意味合いは思うより深...
山崎世美子 2020-10-31 06:00 ラブ
LINE未読スルー後の対処法!“最後のLINE”で判断を
 好きな人からのLINEの未読スルーって、ずっと気になりますよね。そもそも今の時代にスマホを全く見ない日が数日も続くなん...
恋バナ調査隊 2020-10-31 08:18 ラブ
LINEでのデートの誘い方! 成功率を上げる6つのポイント♡
 初めて男性をLINEでデートに誘う時って、「断られたらどうしよう」と、すごく緊張しますよね。そんな時には、成功率をアッ...
恋バナ調査隊 2020-10-30 06:00 ラブ
「なんか違う」が増えていく…行きすぎた恋の減点法にご注意
 女性の恋は「減点方式」だといわれています。一般的にアプローチを受ける側である女性は、複数の選択肢から選ぼうとすると減点...
七味さや 2020-10-30 06:00 ラブ
コロナ禍でも不倫が終わらなかった女の3つのしなかったこと
 コロナ禍で、驚くほど多くの不倫カップルが会うことができなくなり、そのまま別れに至りました。そんななか、今でも仲が続いて...
内藤みか 2020-10-29 06:00 ラブ
“恋の寿命は3年”を覆す!「好き」がずっと続く7つの方法♡
「恋の寿命は3年」って、よく言われますよね。実際、今感じている新鮮な気持ちを3年経った頃にも感じていられると断言できる人...
恋バナ調査隊 2020-10-28 06:00 ラブ
交際して1年半、46歳での再婚は「合う」から決めたんです。
「何歳からでも夫婦になるのは遅くない」とお伝えする本連載。インタビュアー・内埜(うちの)さくらが、40歳以上で結婚した男...
内埜さくら 2020-10-28 18:28 ラブ
【LINEのNGパターン実例集】既読スルーが続く理由3つ
 意中の彼とLINEを交換したところまでは良かったのに、LINEをするたびに距離ができて自然消滅してしまった……なんてこ...
恋バナ調査隊 2020-10-27 06:00 ラブ
身長の低い女性はモテる?モテない? 男性の本音をリサーチ
 身長の低い女性は、基本的にはモテると言われます。小さくて可愛らしい動きにキュンキュンする男性も多く、実際にそれを自覚し...
恋バナ調査隊 2020-10-26 06:00 ラブ
カレの「助けたくなっちゃう本能」をくすぐりまくる行動とは
 将来的に結婚を考えている男性は、少し余裕のある女性を好む傾向があります。それまでの恋愛は同年代のワガママに付き合ってい...
若林杏樹 2020-10-26 06:00 ラブ
逆効果! LINEの危険度別「やめた方がいい恋の駆け引き」
 恋愛中、片思いの彼に振り向いて欲しいからとLINEで駆け引きをする人って多いですよね。あえて未読スルーで焦らせてみたり...
恋バナ調査隊 2020-10-25 06:02 ラブ
不倫相手と一緒になりたい…夫に離婚を切り出した女性の誤算
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2020-10-24 07:48 ラブ
恋する母たち~子供に悪影響を及ぼさないシンママの恋のルール
 男女問題研究家の山崎世美子(せみこ)です。現在のシングルマザーの平均年齢は33歳、再婚率は26%と言われています。離婚...
山崎世美子 2020-10-24 06:00 ラブ
ダブル不倫の果てに…浮気相手の暴走に苦慮する男性の言い分
「冷酷と激情のあいだvol.18〜女性編〜」では、ダブル不倫の相手と再婚をしたくて夫に離婚を切り出した女性・Wさんの心情...
並木まき 2020-10-24 07:49 ラブ