「ハッピーフロッグ」の謎…カエルはなぜ縁起がいいの?

高山ビッキ 100年カエル館副館長
更新日:2020-05-10 07:39
投稿日:2020-05-10 06:00

いつも元気で若がえる

 カエルは縁起がいいと言われることがあります。私の場合、祖父の代からカエルの置物を集めているのですが、祖父も「無事かえる」の縁起物として蒐集するようなりました。

 その縁起がいい理由は「無事帰る」をはじめ「かえる」という言葉が、「福返る」「若返る」「お金が返る」など日本語では語呂合わせで誰もが願う言葉につながるからでしょう。あの生きものが「かえる」と名付けられたのも「ケーロ、ケーロ、カエロ、カエロ、カエル、カエル」などと聴こえる鳴き声に由来する、ほか諸説あるなかで、冬眠したカエルが春にあたたかくなると「蘇る(よみがえる)」ように這い出して来ることや、繁殖期になると必ず自分が生まれた水辺に「帰る」習性も挙げられ、本来、縁起のいい意味を含んでいたと言えるかもしれません。

 今回はカエルに関する文化史の中から、カエルと縁起のよさを結びつける語呂合わせの根拠、特にカエルが女性にとって見守ってくれる存在かもしれないと考える理由をいくつかご紹介します。

 女性とカエルの関係を知るためにしばしタイムトリップするように紀元前にご案内します。

 中国の神話に嫦娥(じょうが)という女性が登場します。その夫は羿(げい)という弓の名人で、ある日、空に10個の太陽が昇って地上の人々が日照りに苦しんだとき、羿が9個の太陽を射落として平常に戻します。その褒美として羿は天界における最上位の女神、西王母(せいおうぼ)から不老不死の桃の実をもらうのですが、妻である嫦娥はこの実をもって月に追われるように逃げ蟾蜍(せんじょ/ひきがえる)になったと伝えられています。

 嫦娥は罪の報いでヒキガエルになったのですが、ポジティブに考えると、ここでカエルと「若返る(不老)」「生き返る(不死)」がつながり、嫦娥もしくはカエルは月の精として暗闇に明かりを灯し、カエルは卵をたくさん産むことから多産のシンボルになったのです。

高山ビッキ
記事一覧
100年カエル館副館長
大学卒業後、西武百貨店などを経てフリーのライターに。2004年、祖父の代から集めたモノのカエルをもとに福島県喜多方市に100年カエル館を創設。2008年に学芸員資格取得。現在、同館及び同館の友の会「カエ~ル大学」を運営し、カエルの文化的側面を中心に研究、情報発信などを行う。日本両生類研究会会員。著書に『カエラーたちのつぶやき』(共著・グスコー出版)、『かえるる カエルLOVE111』(山と溪谷社)、『ときめくカエル図鑑』(共著・山と溪谷社)など。ブログはこちら→「コトバデフリカエル

ライフスタイル 新着一覧


「独身に飽きた」40代女の本音、不安の中でも日々を充実させる方法6つ
 40代で独身を貫く女性たち。充実して優雅な生活をしていそうなイメージですが、実は「独身に飽きた」と感じる人もいるようで...
「1年後の自分」はまるで別人かもしれない 2023.6.11(日)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
恋愛もセックスも「コスパの悪い幻想」と気がついた若者たち
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(62)。多忙な現役時代を経て、56歳...
「別に」のレス連呼で一抹の不安よぎる…反抗期の子供あるあるLINE3選
 子育ては大変ですが、可愛い寝顔や「ママ大好き」の言葉に癒されて、明日も頑張ろうと思えるもの。ところが、ある時突然、可愛...
子宮失ったら性交渉は?子宮頸がんサバイバーの更年期障害と性欲と男問題
 42歳未婚で突然、ステージ1B1期の子宮頸がん宣告。悪性度が高いとされる「子宮頸部腺がん」の疑いで、5年前に「広汎子宮...
2023-06-22 18:41 ライフスタイル
【無印】今までのはなんだった?機能的&高コスパのキッチン用品みっけ!
 無印良品のキッチン用品は、どんなスタイルのキッチンにもマッチするシンプルで機能的なデザインが魅力ですよね。物価の値上が...
どんな人にも使える!万能な「励ましテクニック」のコツは視点の切り替え
 友だちが落ち込んでる時、みなさんはどうやって励ましますか? おいしいものを食べに行ったり、話を聞いてあげたり……。 ...
ねえねえ、お弁当ちょーだい! 2023.6.9(金)
 人懐っこい奈良の鹿たち。狙いはやっぱり……。 「ねえねえ、どこから来たの? お弁当ちょーだい」 「コラっ!...
自分時間は“秒”レベル! 忙しい主婦が行う「人に言えない」家事手抜き術
 世の中の40代女性は仕事に家事に育児にと、とても忙しいですよね。毎日きちんと家事をこなしていたら、自分の時間なんて1分...
見られてる?カメラマンの念に気付いた“たまたま”の緊迫表情
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
18万円の“最新ルンバ”をレンタルしてみた! 2023.6.8(木)
 お家にルンバを置くのは、ちょっとした憧れだったりします。最新モデルの性能はかなり上がっているようで、お値段もお高めです...
おっさん上司じゃなくても悩む 知っておきたいZ世代部下との付き合い方
 仕事経験も増えたアラサー・アラフォーには、部下を持っている女性もいるでしょう。中には、部下との付き合い方に悩んでいる人...
季節が変わったことにようやく気がついた 2023.6.7(水)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
女性から男性に花を贈るのはアリかナシか【4つのデメリット解消法付き】
 唐突ですが、男性への贈り物って迷いませんか?  ワタクシはマジで困っております。彼氏やご主人様の場合は、お酒や洋...
雨も味方に…オスに効くフェロモンジャッジ!貴女の度数は【6月前半】
 素敵な女性はいい香りがする――。  そう感じるのは、肌から放たれるフェロモンの効果。フェロモンが高まると色気だけ...
「悩んだらオカマバーに…」先生に言われた思い出の言葉&意味深な名言
 学生時代の思い出は濃厚で、何年経ってもふとした瞬間に思い出しますよね。特に、お世話になった恩師に言われた言葉が人生の指...