アンガーマネジメントのススメ~怒りを伝えて我慢にさよなら

山崎世美子 男女問題研究家
更新日:2020-12-19 07:54
投稿日:2020-12-19 06:00
 男女問題研究家の山崎世美子(せみこ)です。人間関係のほとんどのトラブルは“怒り”から始まるといっても過言ではありません。男女間も小さな不満の積み重ねが進化して“怒り”となるわけです。
 アンガーマネージメントでは「怒っちゃだめですよ」と言っているわけではありません。怒りは自己防衛本能の一つですが、相手を深く傷つけ関係性を破壊するような強い怒りは、取り返しのつかないことになります。そして怒りを我慢して伝えられない人にも、きちんと適切に相手に伝え自分を守ることも大切だと謳っています。
 今回は「怒ることができない」人にスポットをあて、センチェリーアンガーマネジメント協会理事の筆者が解説したいと思います。

これからは言いたいことは伝える!

 アメリカでは傷害、危険運転、DV、といった軽犯罪を犯した場合、裁判所からアンガーマネジメントを受講するように裁判所から命令されることがよくあります。それほど一般的になっている心理トレーニングなのです。

 日本語独特の曖昧な表現が少ないアメリカ人は、YES/NOで物事をはっきりと伝えます。なんとなく皆が行くから仕方なく参加した、断りづらいから一度だけは気乗りしないけどOKしたなんて光景は、あまり見たことがありません。LAでアンガーマネジメントを学んだ時に、日本人も嫌なことは“NO”と断り、我慢できない時には“怒り”も少し表現してもいいのではないかと思いました。

 もちろんケンカ腰になれと言っているわけではありません。

 シンプルに言えば嫌なことを普通に伝える練習をする。自分の心を守るのもアンガーマネジメントなのです。

 動物は自分の縄張りに入ってきた敵に対して牙をむき威嚇します。心を乱され傷つけられたのに、我慢や愛想笑いで済ますのは人間だけです。その小さな不満が蓄積されると、精神的によろしくありません。自暴自棄になり爆発して、いきなり他人を傷つけたりした人たちは、皆さん『おとなしそうな人』だったそうです。

 もしかすると何かを我慢していたのではないでしょうか。

怒りは伝染する

 他人に怒りをぶちまけられると、当たられた人たちも腹立たしく思ってしまいます。

 怒りを表現せずに我慢している人にも同じことが言えるのです。ぐっと堪えたつもりでも、表情や態度に多かれ少なかれ“怒り”が見え隠れするはずです。

 その原因がわからないまわりの人は、腫物をさわるように気を遣い不快になります。

 怒りは伝染していきます。

 上司から部下、親から子供、お客様から店員さんなど怒りは上から下に流れるのです。

 爆発してしまう激しい怒りも、適切に怒りを表現できないのも同じように世の中に怒りを蔓延させているのです。それよりも何よりも自分の心を守れていません。

「我慢は美徳」をもうやめてみませんか

『何があっても我慢して言わないこと』と教えられていたB子さん(42/パート勤務)は、受験を控えた高校生のひとり娘さんとご主人さんの三人家族。

 1年ほど前に入社してきた職場の同僚が苦手な以外はそれなりに幸せな毎日だったそうです。『仕事のシフトが変わって』『旦那とケンカしたから相談にのって』と夜中に電話してくるなどは日常茶飯事で、こちらのことはお構いなし。

 そんな同僚にかなりのストレスを抱えていました。子供の頃から『波風を立てない』という田舎の親の考え方が染みついていて、無茶振りされても、同じ職場だからと愛想笑いで受け流していたそうです。

 大学進学を控えた娘さんのために貯金をしているのに『お金を貸してほしい』と同僚が言ってきた時に、ぷつりと糸が切れたと言いました。

「でも同じ職場ですし、私は相手に言えない性格なんです」

 退職まで考え悩んだB子さんに提案しました。

「一度、同僚の方に言いたいことをメールで伝えてみませんか?」

 書いてみたメールに添削・加筆・修正を、私が加えることを前提に伝えたい気持を盛り込んでもらいました。

 活字にすると、自分でも見直し作業がはいるので感情的な部分はかなり軽減できるのです。

山崎世美子
記事一覧
男女問題研究家
「平成の駆け込み寺」として、人間関係、男と女をテーマとし、さまざまな悩みを抱える相談者に的確なアドバイスを送り、心のケア・親身なカウンセリングで一躍人気者となる。TV、ラジオ、雑誌、さらに講演会などからも依頼が多数。いま最も注目されている専門家である。YouTube「せみこの恋愛大学」毎週水曜配信中。
公式HPブログInstagramTikTok

ライフスタイル 新着一覧


パーフェクト“たまたま”の精悍&クールな眼差しに痺れちゃう
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
ゴールデンボンバーの「女々しくて」は言い得て妙だった!
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
LINEのない生活は無理!父の死、仕事の失敗、自分の病…心が救われた話
 仕事で大きなミスをして落ち込んだり、大事な人を失って悲しんだりと、気持ちが沈んでしまう瞬間がありますよね。そんなとき、...
他人の不幸は蜜の味でも不倫より「よろめき」のほうが風情があっていい
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(63)。多忙な現役時代を経て、56歳...
義母が若すぎるとこうなるのか!介護の心配もジョークで交わせるって素敵
 年下の男性と結婚した場合や、夫の母親が若くして出産している場合には、若すぎる義母が誕生するケースがあります。中には、義...
ほっこり読み切り漫画/第59回「ボクは君で、君はボク」
【連載第59回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 「「しっ...
「たかが、ものもらい」じゃなかった 30代女、霰粒腫の手術をしました
 先日、眼科で右目のまつ毛の生え際にあった“しこり”の切除手術をしました。「たかが、ものもらい」と思っていたのですが、こ...
久々に会ったペルシャ料理店の友人は変わらず元気だった
 お互いにいい歳。出合った頃より額は広くなったし、シワも増えた。  そして、なぜだか年々服装がハデになっていくんだ...
木下優樹菜はイチャイチャ公開…子の将来に悪影響を及ぼす母親の恋愛は?
 元タレントの木下優樹菜(35)が“アクセル全開”、SNSの投稿や出演番組があれやこれやと話題になっている。  た...
子供の言葉遣いが悪い時はどうすれば? 考えられる4つの原因
 子供が保育園や小学校に通い出すと、悪い言葉遣いを覚えて帰ってきます。また、悪い言葉遣いはSNSや動画サイトなどからも大...
“たまたま”の日常♡ この写真にぴったりな名前を選んでニャ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
コクハク専属ライバー コクハクリーダーズ第1期生を大募集!
 日刊ゲンダイが運営する女性webメディア「コクハク」では、メディア制作に協力してくださる「コクハクリーダーズ第1期生」...
金木犀の香りが空前のブーム!甘く懐かしくアンチエイジングに運気UPも
 とある量販店に行った時のことです。入り口付近に黄金色の商品ばかりが並び、遠巻きに見ると店舗全体が黄金色に輝いてみえる。...
タイパ? なにそれ。映画館で初対面の作品と出会う胸のときめき
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
リュウジ氏と港区女子の相容れぬ価値観「男子全奢り論争」諸悪の根源は?
 諸悪の根源はリュウジさんでも港区女子でもなく、ズバリ“あの人物”でしょう。 「バズレシピ」でお馴染みの人気料理研...
街が茜色に染まり始めた頃…ほんの1カ月前がすでに懐かしい
 夕暮れ前、ぼんやりしていたら辺りは真っ暗。少し前はそんなことなかったのに。  湿度を含んだ空気や強すぎる日差しが...