素の平手友梨奈はやはり女の子
髪をバッサリ切った平手は、男の子に間違われるほど“男子然”となった。外見に合わせて自然と立ち振る舞いも男の子っぽくなり、私服もメンズを着るようになった。欅坂46メンバーとして最後となった17年12月の彼女のブログにも、「僕は自分に正直に生きたい。」と一人称を男の子のように記していた。
ただメンバーやスタッフからの彼女についてのエピソードを聞く限り、素の平手はやはり女の子だ。これはあくまで筆者の推測だが、平手は男の子らしく“男子武装”することで、彼女を傷つけてきたアンチや一部男性ファンから“女アイドル”として好奇の目で見られることを避けようとしたのではないか。
握手会での説教・襲撃事件、ストーカー行為。ネット上の罵詈雑言。14歳で1人上京した女の子にとっていかに恐怖だったことか。それを少しでも軽減し抗う手段が、“男子武装”して欅坂46の楽曲の主人公“僕”に完全に憑依すること、ただの女アイドルのくくりをストイックすぎるほど超越しようとすることだったのかもしれない。
ヒリヒリするような欅坂46の“僕”から変化
20年“1.23”よりソロになって女優業をこなす間は、“平手友梨奈”であることから解放され役に入り込む期間になった。数あるオファーから最初に平手が「さんかく窓の外側は夜」のヒウラエリカ役を選んだのは、彼女を応援したくなったからだという。「本当に怖いのは人間」がテーマのひとつであるこの作品において、壮絶な4年半を経た平手がヒウラになりきれたのも必然だろう。その後、高校を卒業し19歳になり、少し女性らしく大人になった彼女は、あのヒリヒリするような欅坂46の“僕”から遠ざかったように見えた。それでもアーティストとして楽曲を披露する際には再びメンズライクな姿で登場した。
ただし、歌詞の1人称は「私」になっている。今の彼女からは“男子武装”というよりは、男女の垣根を超え、ジェンダーレスに力強く楽曲のメッセージを届けたいという思いが伝わってくる。
唯一無二の表現者として…
アーティストとしてより一層飛躍するであろう21年は、ぜひ自らの言葉で楽曲を届けて欲しい。「ダンスの理由」に作曲者の1人として名を連ねたクリエイティブな彼女に作詞ができない、とは思わない。
秋元系アイドルOGとしては元NMBの山本彩(27)がシンガーソングライターとして作詞作曲をこなしている。山本はギターで弾き語るスタイルだが、平手はぜひこのままジェンダーレスに踊り狂い続けて欲しい。
女優としてもさらに幅広い役のオファーが舞い込むだろう。性別にも年齢にもとらわれない「唯一無二の表現者・平手友梨奈」の進化は、とどまることを知らない。
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