トロ~リ白子を最大限においしく
北海道の冬の味覚といえば、これ。「タチ(スケトウダラの白子)」を忘れちゃあ、始まりません。湯引きしてポン酢で和えたり、天ぷらにしたり。火を通すことでぐっと味が凝縮されるタチだけに、うま味を逃さずいただく「袋煮」は実に理にかなった調理方法です。
こちらは旭川生まれ、旭川育ちの女将が考案した一品。一口食べると分かるのですが、溶き卵を合わせるアイデアが実に効いています。味わいに深みが増し、甘い味付けにぴったり。
もちろん、新鮮な白子が手に入らなくても大丈夫。「タチの代わりに生卵を入れてもおいしいですよ」と、女将の高校時代の同級生で現在は右腕として支える女性スタッフが教えてくれました。
さっそく生卵で作ってみたところ、甘めの味付けでふっくらと煮上がり、心安らぐアテが完成。生卵を代用する場合は溶き卵は不要です。口の中でトロリととろけるタチ特有の舌触り……とはいかないけれど、フトコロには優しいおつまみができました。
【材料】
・タチ(スケトウダラの白子) 200グラム
・油揚げ(小) 5枚
・溶き卵 1個分
・だし汁 適量
・砂糖 大さじ3
・酒、醤油 各大さじ2
【レシピ】
1. タチは流水で軽く洗って、水気をきり、一口大に切る。
2. 油揚げは菜箸を転がしてのし、端を切って袋状にする。熱湯を回しかけて油抜きをする。
3. 2の中に1のタチ、等分した溶き卵を入れ、ようじで口をとめる。
4. 鍋に3と残りの材料を入れ、中火で15分ほどコトコト煮含める。だし汁の分量の目安はキンチャクが浸るぐらい。
5. 火を止めたらそのまま冷まし、ようじを取って皿に盛り、水菜(分量外)を飾って出来上がり。
▽どくしゃく・さんしろう
1946年創業の老舗居酒屋。道北最大の歓楽街「三・六街」に店を構え、作家の太田和彦氏からは「北海道一の名居酒屋」と評される。ちょっぴり風変わりな店名は、酒の強かった初代主人が「姿三四郎が柔の六段なら俺は酒呑みの六段」と豪語して名付けたもの。地元客はもちろん、出張族や観光客が訪れるが、喧騒とは無縁。カウンターでひとり、じっくりと杯を傾けてひたすら静かに飲める幸せがここにある。
テレビドラマ「孤独のグルメ」にも出演した2代目主人が2017年9月に他界。現在は引き続き、妻で女将の西岡美子さんが切り盛りする。利き酒師や日本酒学講師の資格を持つ女将が目利きした日本酒は、いずれも地の旬の食材を使った一品にピタリと合う。
北海道旭川市2条通5丁目左7号(日祝休)
℡0166・22・6751
(日刊ゲンダイ2018年3月14日付記事を再編集)
フード 新着一覧