甲状腺全摘から1年経過…手術を迷っている人に伝えたいこと

めりぃ(つけものがかり) 編集者
更新日:2020-06-30 06:33
投稿日:2020-06-30 06:00
 バセドウ病によって甲状腺の全摘手術に至ってから、まもなく1年になろうとしています。
 術後の経過は順調で、今は体力や気力もバセドウ病になる前の状態まで、ほぼ回復しています。けれど、ここまでを思い返すといろいろなことがありました。
 半年間にわたるこの連載も、いよいよ今回が最終回。術後の傷口や体調の経緯、甲状腺全摘によって「バセドウ病後甲状腺機能低下症」となった思いについてまとめます。

手術によって臓器を全摘するという恐怖

もちろん手術は怖かった(写真:iStock)
もちろん手術は怖かった (写真:iStock)

 バセドウ病になる前の私はすこぶる健康体で、病気だけでなく怪我とも無縁の生活を送ってきました。それだけに、自分がバセドウ病だと診断されたときも、すぐに受け入れることができませんでしたし、一時は投薬で寛解を目指せていたのに再燃したときも、「そのうち自然と、健康体に戻るんじゃないか」なんて、淡い期待をどこかで抱いていました。

 けれど現実は残酷で、バセドウ病再燃後には投薬でのコントロールも効かず、治療法は手術一択に。放射線を使う“アイソトープ治療”の選択もなくはありませんでしたが、アイソトープは数値が落ち着くまでに乱高下する時期があるなど時間を要することから、極限まで体力が落ちていた私の身体には不向きという結論に。医師からは、甲状腺の全摘手術が最適の選択肢と提案されました。

 手術を提案されたときの私は、すべてを挙げればきりがないくらいに多くの症状に悩まされていましたので「このつらい症状の数々が、手術によっておさまるなら……」と早く身体を楽にしたい一方で、臓器を全摘するという未知の体験に恐怖を感じていたのも事実です。

 臓器を摘出したあとの体調も気になるところでしたが、甲状腺の全摘後には自分では甲状腺ホルモンを作れない身体になるため、生涯を通じて経口補給する必要があり、それが一番引っかかっていました。

 そして実際、甲状腺全摘後には甲状腺ホルモン「チラーヂンS」を、毎日飲んでいます。ただ、このあたりは「案ずるより産むが易し」だったのも確かで、日々の習慣になってしまえばなんてことはなく、今や起床後にするルーティンとして、私の生活に定着。飲み忘れることもなく、特段の問題も感じていません。

 強いて言えば、今般の新型コロナウイルスに関連して通院を控えるにあたり、手元にある薬のストックには不安を感じました。ただ、オンライン診療などが広がってきた今は、病院に出向かずとも処方箋がもらえるので、現在、この点についての不安は解消されています。

甲状腺摘出手術は大成功も…声は出ず焼けるような傷口の痛み

筋力低下や筋肉症状の回復には時間がかかる

以前のようにはいかないけれど(写真:iStock)
以前のようにはいかないけれど (写真:iStock)

 バセドウ病を通じて私をもっとも苦しめた症状が、筋肉に関わるものでした。こわばりや痛み、突っ張りなど、筋肉の異常は時間を追うごとに悪化し、手術直前には首や肩がおよそ2倍近くに膨れ上がるほど、重だるい張りを感じていました。

 手術を終えてからもこの症状は劇的には改善せず、主治医からは「筋肉関係は回復まで時間がかかる」との説明を受けました。実際、「ほぼ回復した」と思えるまでには10カ月を要しましたし、こわばっていた箇所は負荷がかかりすぎるとすぐにカチンコチンに固まりかけるなど、地味な悩みはしばらく継続。

 そして、一度落ちてしまった筋肉はそう簡単には回復しないようで、エクササイズをしても、健康体だったときのように、すぐに効果を感じることもできませんでした。むしろ、こわばった部分は、エクササイズで一時的にはほぐれた気がするものの、少し時間が経つと、かえって固まってしまってつらい思いをするなど、一進一退を繰り返しながら回復してきました。

 筋力については、術後一年を迎えようとする今でもまだまだ課題が残っていて、今後は病気になる前の筋肉を取り戻すべく、運動をして筋肉をつけていかなくてはいけないな、と感じています。

筋肉のこわばりがどんどん酷く…日常生活にも支障が出てきた

術後の傷について

首の傷も気にならなくなってきた(写真:iStock)
首の傷も気にならなくなってきた (写真:iStock)

 甲状腺は首の前面にあるので、手術をすると首に傷が残ります。「傷が目立たなくなるまでの期間には個人差がある」と、あらかじめ説明を受けていましたが、私は9カ月を過ぎたくらいから目立ちにくくなってきました。

 手術後にドクターからは、「皮膚のタイプからして、半年くらいで目立たなくなるんじゃないか」と言われていましたが、それよりは少し時間がかかった結果となりました。ケロイドにもならず、時間の経過とともに少しずつ薄れてきたという感じです。

 傷口の突っ張りを感じたのは、術後1カ月くらいまで。その後は、傷口まわりの違和感を感じる日も少なくなりました。3カ月を経過するまでは、天候によって突っ張り感が強く出る日もありましたが、半年経ったころには気圧や天候の影響も受けなくなりました。人間の身体がもつ回復力って、本当に素晴らしい!

「バセドウ病後甲状腺機能低下症」について

持病として伝える必要はある(写真:iStock)
持病として伝える必要はある (写真:iStock)

 甲状腺を全摘し、バセドウ病が完治すると同時に「バセドウ病後甲状腺機能低下症」になった私。先ほども少し触れましたが、甲状腺がないので、自分では甲状腺ホルモンを出せない身体になりました。

 術前に同じ手術を受けた知人数人から話を聞くと、術後の甲状腺機能低下症の症状に苦しんでいる人もいたので、手術を受ける前には、正直、その点についても一抹の不安がありました。けれど、幸いにも私の場合には、この不安は杞憂でした。体感としての体調もいいので、今は自分が甲状腺を全摘したことを忘れている日のほうが多いくらいです。

 考えられる負担としては、今後病院などで “持病”を聞かれたときに「バセドウ病後甲状腺機能低下症」と、答える必要があるといった程度でしょうか。

経過は順調もわずかに不調残り…気力と体力のバランスに苦心

まとめ

手術前に想像していたよりも…(写真:iStock)
手術前に想像していたよりも… (写真:iStock)

 そんなこんなで今、術後一年を迎えようとして思うのは「手術をして、本当によかった!」ということです。つらかった症状の数々は嘘のように消え、「バセドウ病に苦しむことは、二度とないんだ」という安堵がある生活は、手術前に想像していたよりはるかに快適です。術後、身体が復調するまでの期間は、蕁麻疹や立ちくらみ、耳鳴りやパニック障害のような発作もありましたが、時間の経過とともにすべてが改善しました。

 もしも今、バセドウ病に苦しんでいて手術を受けるか迷っているならば、私からは「主治医が手術を勧めているならば、やったほうがいいと思う」と、答えたいです。

 バセドウ病は投薬で寛解しても、完治がない病。つまり常に、再燃の恐怖を抱えた生活が続く病気でもあります。バセドウ病の症状は多岐に渡りますし、命に関わらない病気とは言っても不快な症状によって体力や気力が奪われますので、日常生活にも影響が出ます。

 生活の質を取り戻せた今、私は手術を選択したことへの後悔は少しもなく、むしろ主治医や執刀医には感謝しかありません。

 この連載が、バセドウ病に苦しむ方々にとって少しでも参考になれば幸いです。長きにわたって読んでいただき、ありがとうございました。

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