悲しみを忘れて…高貴な佇まいの「ミヤコワスレ」は心を癒す

斑目茂美 開運花師
更新日:2021-04-14 08:18
投稿日:2021-04-14 06:00

密室での出来事

 女性らしいことに憧れていた、若かりし頃のワタクシ。仕事に忙殺された日々の現実逃避に、ご縁があってある有名な茶人のお稽古場に通っていたことがございます。

 お師匠のお稽古場へ一歩踏み入れると、慌ただしい俗世から離れて神聖で穏やかな時間を過ごすことができ、どんなに忙しくても、極力通う努力をしておりました。

 茶席に入る前、露地にある蹲(つくばい)の手水(ちょうず)で手や口を清める時、自分の身を屈めた先にあるお庭の下草の様子に季節の移り変わりを感じましたし、茶席に入れば、季節に合ったお道具や茶室の趣を感じ、しばし異空間へ旅をする……そんな気分でございました。

 お茶事が上手になるためというよりは、美味しいお茶をいただきながらお師匠の興味深いお話を伺うために通っていたワタクシは、弟子としては不出来でございました。

 ある春、たまたまお師匠が不在だった日に、ちょっとした事件がございました。

 その日は不在だったお師匠。代わりにベテランのお弟子さんのお姉様方が、何年通っても初心者ペーペーだったワタクシにお稽古をつけてくださいました。

 茶室外のお水屋の作法をいろいろと丁寧に教えてくださり、「あなた、そんなことも覚えてないの? しょうがないねー」などとチョイチョイ叱られながらのお稽古は、普段まったく叱らないお師匠と違ってなかなか新鮮だなぁ~と思っていたのも束の間、お稽古をつけてくださったベテランお姉様に「ちょっと違うんじゃない?」と、別のベテランお弟子のお姉様がツッコミを入れたのでございます。

 どうやらお二人、ちょっとした作法手順が噛み合わないご様子。お互い何十年も続けてきたお作法の手順に、どちらも引っ込みをつけることなく、それはいよいよ言い争いになってしまったのでございます。

 諸悪の根源は、このワタクシ。「申し訳ありません! 今度お師匠さんに聞いてみます!」と、なだめるつもりで放った一言でまた火が付き……。仕方なく鎮火するまで、棚に飾ってあった静かな佇まいのお花をぼーっと見て、ワタクシ1人クールダウンしておりました。

 今もそのお花を見ると、あの時の光景を思い出すワタクシでございます。

 ……ということで、今回は「花は心の鎮静剤 ミヤコワスレ」の解説でございます。

斑目茂美
記事一覧
開運花師
半導体エンジニアを経て花業界に転身。イベント・ホテルなどの装飾も手がける生花店を営む傍ら、コンテストで優勝・入賞を重ね、雑誌・新聞等に作品を発表する。神奈川各所にて花教室を開催。障害者支援も花で実践。悩ましくも素敵なお客様を「花」で幸せへと導く道先案内人。ブサかわ猫店長「さぶ」ともに奮闘中。Facebookやってます。

ライフスタイル 新着一覧


仕事に遅刻! 信頼を失わない言い訳&連絡時のビジネスマナー
 社会人でも、寝坊をして遅刻をしてしまった経験がある人も多いでしょう。でも、会社に勤めていると、遅刻した際に大人として正...
“にゃんたま”は神様の化身?幸せを呼ぶまあるい鈴カステラ
 あけましておめでとうございます。今年も「にゃんたま詣」でスタート!  神社で動物に出逢うのは、神様の歓迎サインと...
ご祝儀は新札しかNG? 土日の入手方法やアイロンでの作り方
 友人の結婚式が近づいて、美容院の予約やドレス、靴の手配まで完璧なのに「ご祝儀の新札がない!!」と焦った経験はありません...
来年は猫年じゃない? 干支に入れず恨み節の“にゃんたま君”
 昔、神様は元旦に動物たちにあいさつに来るよう言いました。12番まで先着順に、年の動物になれるという大イベントでした。 ...
本当に自分のために? 素直に聞くべきアドバイスの見極め方
 昔から「素直さは大切」だと言われます。大人になっても素直さを忘れずに、周囲のアドバイスを聞き入れられる人のことは尊敬し...
脱いだ作家を守るために…作品を山に埋めた編集者の話 #3
 投資していた友人の失脚により、K社長はブラックな債権者から追われる身となりました。  社長は行方をくらまします。...
縁を切るべき友達の5つの特徴&上手に縁を切る方法とは?
 どんなにコミュニケーション能力が高い人でも、「苦手だな」「付き合いにくいな」と感じる人は、誰にだっているもの。仕事の付...
後ろ足で器用にポリポリ…一緒に“にゃんたま”も揺れちゃうの
 きょうは、首元がカユ~イにゃんたま君です。  首を掻くのに、うしろ脚を使うなんて…ニャイす!  一本だけ爪...
脱いだ作家を守るために…作品を山に埋めた編集者の話 #2
 自分の作品がヘアヌードブームに引っかかることも、世間はこんなにエロが好きで、女性のヌード=男性の下半身への奉仕物、と見...
脱いだ作家を守るために…作品を山に埋めた編集者の話 #1
 女が脱ぐ仕事をするのには、いまも昔も危険や煩わしいことが付きまといます。  私自身、音楽をやっていた頃に自分の作...
お葬式に黒いタイツはダメ?寒い日の防寒対策&喪服のマナー
 真冬にお葬式に参列することになった時、黒のストッキングでは足元が寒いことってありますよね。でも、暖かい格好で行こうと思...
配信者にとっては厄介!「察してもらいたい欲」がすぎるひと
 ライブ配信は、まさに魑魅魍魎(ちみもうりょう)がうごめく世界。今日も今日とて、多くのライバーやリスナーは、配信をめぐっ...
この匂いはあの子かにゃ?チェックに余念のない“にゃんたま”
 猫の嗅覚は、人間の嗅覚の数万倍から数十万倍鋭い、といわれています。  猫の鼻先は常に湿っていて、空気中に流れてい...
今年の実付きは最高!「千両」と共に迎える幸せなお正月
「今年の千両、実付きがいいよ!」  花市場でいつもお世話になっているセリ人のお兄様が電話の向こうで叫んでおります。...
旅行できない今こそ…年末年始におすすめグルメサービス2選
 政府の観光支援策「Go To トラベル」の全国一斉停止が決まり、年末年始の予定を変更した人も少なくないはずです。こんな...
静かな時間の終わりなき毛繕いに感じる“にゃんたま”の美学
 男には自分の世界があるらしいと知ったのは、小学校低学年の頃。  テレビでルパン三世のアニメのテーマ曲が流れていて...