性風俗差別反対をラップで訴え…清水くるみさんインタビュー

大泉りか 作家・コラムニスト
更新日:2021-04-30 10:49
投稿日:2021-04-28 06:00
 新型コロナウイルスで売り上げが減った事業者に、国が支給する持続化給付金や家賃支援給付金。個人事業主である筆者自身も申請し、給付を受けることが出来て、ほっと胸を撫でおろしたひとりです。
 先日、その給付対象から、性風俗事業者だけが除外されたとして、関西地方でデリバリーヘルス(デリヘル)を営む業者が訴訟を起こし、その第1回期日、国側は「性風俗業は本質的に不健全」と主張したとの報道を目にしました。

SNSに流れてきた一本の動画

 原告のデリヘル業者の代表者(30代女性)の「国は、性風俗業が社会の一員であることを認めてくれませんでした。持続化給付金や家賃支援給付金は、困っている事業者みんなが受けられる救済です。そんななか、性風俗業だけが救われませんでした」という陳述を読み、そんなことがあっていいのかと憤っていたところ、SNSのタイムラインに一本の動画が流れてきたのです。

 印象的なルックスに、力強いリリック。性風俗業への差別反対をラップで歌い上げる清水くるみさんは、なぜ生業として性風俗業を選んだのか、そして今回のことについて、どう考えているのか。お話を聞かせていただくことにしました。

清水くるみさんてどんな人?

――そもそも清水くるみさんは、どんなお仕事をされている方なんですか?

清水くるみさん(以下清水) もともとは、4年くらい前にストリッパーとしてデビューしました。それから1年ちょっとの間、温泉場のストリップ劇場をメインにまわった後に引退。いまはイベントなどでのストリップ風のパフォーマンスをメインにしています。あとは、新宿二丁目にある「bar星男」というバーで日曜日にママをしていたり、「SELF PRODUCE」という風俗店でも働いています。

――「SELF PRODUCE」は、どういった特徴を持ったお店なんですか?

清水 在籍している女性が、プレイのスタイルを決めることが出来るんです。M性感でもいいし、デリヘルでも女王様とか、手コキなどでも。性風俗で働きながら、なにか個人的な活動をされている方が多いですね。「ホンクレch」を運営しているYouTuberのすーさんや、「手コキ研究会」代表で性感染症予防活動をしている今賀はるさんが在籍しています。

 それ以外には、自分で企画した写真集の制作や販売、頼まれればエッセイを執筆したりもします。これらの活動をまとめて“坊主ストリッパー”と呼んでいます。

「ハダカノオシゴト」が生まれたきっかけ

――“坊主ストリッパー”というくくりで、表現活動をされているのは、どうしてですか?

清水 坊主頭が一番自分に似合う髪型だと思っていて、ただ「髪は女性の命」とかって昔は言われたりしましたよね。性を売ることに関すると、やっぱり女性らしい容姿でいたほうが売れると思うんですけど、わたしはそうじゃないところでできないかってことを考えて。性別にこだわらずに、自分らしくいながら、性のことを発信していけないかっていうことで、自分の好きなスタイルとしてやっています。

――そういうふうにご自身の好きなスタイルを貫いているところが、清水さんの魅力ですが、性を通して発信したいことは、どういったことなのでしょうか。

清水 息がしやすい世界が作れたらって思っています。みんな、ジェンダーに囚われ過ぎていたり、もしくは、性のことをあんまり言えないっていう状況がある中で、自分を開放できる瞬間、息がしやすい時間・空間があったほうがいいと思うので、ゆっくりそういうふうになっていったらいいなって。

――「ハダカノオシゴト」というラップを発表したのは、どういう思いからですか?

清水 ラップ自体は去年の夏に作ったんですけど、ちょうどその頃、新型コロナで世間の不安も大きい時に、ある社会福祉士の方が、その時の状況と絡めて、性風俗とそれを包括する社会構造についてSNS上で批判をして、性風俗業関係者の中ではかなり話題になったんですね。わたしは新型コロナと絡めて、性風俗への否定的な意見を主張したり煽るのは悪質だなって思って。

 ちょうど同時期に、「女の子のためのストリップ劇場入門」(著:菜央こりん 刊:講談社)という漫画が発売されたんですが、そのタイミングでストリップも性的搾取だとSNS上で、バッシングされて。ちょうどその頃、わたしとしては、仕事の上で自分の成長を感じたり、仕事がより楽しくできるようになった時で、世間とのギャップを感じたんです。その気持ちをラップにしたいと思って、リリックを書いて昨年の8月には歌詞は完成していたんですが、そこから実験ラットさんに編集いただいて、MV作って……ってちょっと時間がかかってしまって、今年の1月にようやく発表できました。

 完全に勢いで作ったんですが、言いたいことは「風俗もほかの仕事と一緒」っていうこと。

大泉りか
記事一覧
作家・コラムニスト
ライトノベルや官能を執筆するほか、セックスと女の生き方や、男性向けの「モテ」をレクチャーするコラムを多く手掛ける。新刊は「女子会で教わる人生を変える恋愛講座」(大和書房)。著書多数。趣味は映画(映画館で年間100本以上)、海外旅行。愛犬と暮らして14年目の犬飼い。X

関連キーワード

エロコク 新着一覧


セックス依存症男の浮気疑惑…成りすましLINEで真実を暴く!
 わたしとひろしの48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。ホットなイッ...
カラダ目的じゃダメ? モテたければ“都合の良い女”を目指せ
 モテない、誰も告白してくれない、食事に誘ってくれない……そんな悩みを抱えている女性は少なくありません。あなたもその一人...
“野菜バイブ”のイチ押しはコレ!ヘタ部分が意外な気持ちよさ
 大収穫~! カラフルな野菜が勢ぞろい……ではなく、新作のローター&バイブレーターです。  野菜を挿入って官能小説...
桃子 2020-01-24 17:25 エロコク
曖昧な関係だからこそ…セフレと上手につきあう方法とは?
 あなたは、どういった性の願望を抱いていて、ひそかに何をしたい/されたいと願っていますか。自分の性癖の形を知れば、もっと...
大泉りか 2020-01-16 18:00 エロコク
あんあん女子になれ! 女に嫌われるが男にモテる諸刃のテク
 男性にどんな女性が好きか聞くと「優しい性格」「おっとりした人」「笑顔が素敵な人」なんて答えが返ってきます。でも、なんだ...
電マ未体験の男性にも…小さめヘッドで攻めたら病みつきに?
 電マって、女性人気がいまひとつ。気持ち、わかります。大きなヘッドと強すぎる振動がコワイんですよね。  一方、電マ...
桃子 2020-01-12 06:00 エロコク
女衒の港区おやじと中出しに異常に執着する港区こやじの巻
 わたしとひろしの48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。ホットな...
ちょっと変わったラブグッズ…ひだひだが敏感部分を刺激する
 コーンの上にのったストロベリー味のソフトクリームにしか見えない「サティスファイヤー レイヨン スイートテンプテーション...
桃子 2020-01-05 06:00 エロコク
パートナーは不要…「挿入だけ」に捕らわれない快感と可能性
 あなたは、どういった性の願望を抱いていて、ひそかに何をしたい/されたいと願っていますか。自分の性癖の形を知れば、もっと...
大泉りか 2019-12-30 18:00 エロコク
年末年始にしたいこんなセックス! 女流官能作家オススメ3選
 クリスマスも終わり、年末年始の計画をたてている方も多いことでしょう。令和初の年末年始、愛するパートナーとのセックスにも...
蒼井凜花 2019-12-27 07:00 エロコク
寝たふりで誘いを拒否…それでも続くアプローチと嫌がらせ
 女友達が扉一枚向こうにいるというのに、私の寝床に入ってきたG。  以前から、私のブログ用の取材写真に、特徴のある...
男性が慎重になりすぎて…“強盗押し入りプレイ”の意外な結末
 さて、出逢い系では積極的に、恋人とはできないようなアヴァンギャルドなプレイを試みていこうと決めた私。次に考えたのは、私...
嵐の始まりはそう、ひろしと“港区女衒”とのゴルフ会食でした
 わたしとひろしの48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。ホットなイッ...
見ているだけでときめく小型ローター…特別な日の贈り物に
 私のもとに寄せられる相談で多いのが「彼女にバイブをプレゼントしたいのですが何がいい?」というもの。海外ドラマなどでよく...
桃子 2019-12-21 03:33 エロコク
まだ間に合う!「セックスご無沙汰女子」直前のTODOリスト
 しばらくセックスをしていない「ご無沙汰オトナ女子」にとって、クリスマスや年末年始は「その時」が訪れるかもしれないチャン...
蒼井凜花 2019-12-18 20:09 エロコク
約38℃まで上昇! 温感バイブでうるうる&ぽかぽかの快感を
 ラブグッズは年中新作が出るので季節感などは特にないと思われがちですが、冬にオススメしたいバイブがあります。 「ス...
桃子 2019-12-15 11:05 エロコク