職場や取引先で「パワハラ交際」を強要される女性たちの葛藤

田中絵音 日本合コン協会会長
更新日:2021-06-22 06:00
投稿日:2021-06-22 06:00

大型案件と引き換えに取引先の社長と交際

 社員・アルバイト合わせて十数名のベンチャー企業に務めるB子さん(29歳)は、F1層の女性のニーズがわかる即戦力として社内でも期待されている、バリバリと働く女性です。

 そんなB子さんが、人知れずパワハラ交際に悩んでいました。

 実は会社の重要な取引先である、IT会社の社長さんから好意を寄せられていたのです。

 その30代中盤の若きやり手社長は、巧みな話術でグイグイ口説いてくるのだそう。切れ長の目にシュッとした顔立ちなので、女性からもかなりモテるタイプだと思われますが、残念ながらB子さんはサル顔系のゴツゴツした男性が好みで「顔が全くタイプじゃない」というからまた残念。

 B子さんが恋に落ちてしまうようなタイプの男性だったらまだ良かったのかも知れませんが、どう頑張っても男性としては全く見られない相手というから辛いですね。

 その社長とは仕事で会うたびに、どうにか気分を害することなくデートのお誘いを断ってきました。

 しかし、B子さんの会社の命運がかかるような大型案件の取引中に、社長から「大事な話があるから、来てくれ」とアポを取られて、二人でディナーへ行くことに。

 社長はB子さんと食事をしながら、仕事の話とプライベートの話を交互にしてきたといいます。B子さんとしては、大型案件の確約をとってから、プライベートの話をしたかったのですが、相手は社長です。

「一枚も二枚も上手だと思いました」と、A子さん。

 社長はこの二点を主張してきたそうです。

1. 僕と付き合ってくれたら、案件を進める。

2. 僕たちの関係を、会社に言わないこと。

 B子さんは、自分の仕事にやりがいを持っていたし、自分の会社を大きくしたかった。社内のメンバーにも喜んで欲しかった。キャリアも欲しかった。

 もはや「社長との関係を受け入れる選択しかできなかった」と言います。

 そしてB子さんは、社長と少しの間付き合って、大型案件を見事受注したそうです。

 その案件が終わる頃には、社長との関係も緩やかになってきて、結局は自然消滅したようです。

「他にもいっぱい彼女がいたんだと思いますよ(笑)。でもそれは私としても良かったです。本気で“結婚しよう”なんて言われても困りますからね……タイプじゃないので」

 あれから、十数名だった社員も数十名に増え、会社も大きくなって、B子さんはますます仕事にやりがいを感じているのだそう。

「もう今はパワハラ交際をしなくても、ちゃんと仕事を取れますから」と、自信に満ちたその表情は晴れやかです。

脱・パワハラ交際!

 ただでさえ、男と女の関係は難しいもの。

 その上に、仕事の取引や職場での忖度を含んで、目上にあたる男性からアプローチをされたら、対応に困るものです。断るのも一苦労でしょう。

 不本意ながらアプローチを受け入れざるを得なくなって、男女関係になった時の精神的ダメージも大きいですし、ましてや不倫関係になってしまった時のリスクは計り知れません。

 状況によってはとても難しいこともあるかもしれませんが、「パワハラ交際」を無理に受け入れないように、女性でも若くとも毅然と自分の意志を持って、社会で戦っていく気概が大切ですね。

 そして、そんなパワハラ交際に人知れず悩む女性の心情を、男性にも知ってほしいなと願うばかりです。

田中絵音
記事一覧
日本合コン協会会長
一般社団法人日本合コン協会会長、恋愛アドバイザー。2000回以上の合コンイベントに携わり、男女の恋愛心理に精通する。また一児の母であり、ママ向けイベントを行う「東京ママパーティー」の主宰も務める。著書に「こじらせ男子の取扱説明書(トリセツ)」
(双葉社)など。
ブログXInstagram

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


「美人」がついても褒め言葉ではない四字熟語ってなーんだ?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
日々頑張ってるから年末くらいは休みたい…耳が痛い大掃除言い訳あるある
 年末になると、心に重くのしかかってくるのが「大掃除しなきゃ」というプレッシャーです。掃除が苦手な人にとっては、大きな問...
うるせえ!細切れLINEで通知の嵐…そのうざい癖なんとかして
 LINEにも、性格や恋人の影響などによって人それぞれ癖が出ますよね。  その癖にモヤッとした経験はないでしょうか...
羽生結弦離婚で深まる謎…非ガチ恋なのに推しの結婚を追い込むファン心理
 フィギュアスケート五輪2連覇の羽生結弦(28)が11月17日、公式SNSで離婚を発表した。8月4日の結婚発表からわずか...
毎日のことだから…「心地よく」を基準に日用品を選ぶ大切さ
 こんにちは! コクハクリーダーズ1期生のなーちゃんです。  我が家は夫も息子も肌が弱いため、日用品にはこだわりアリ!...
「死ぬ時は一人なのにね」ぼっち上等な女友達が放つクリスマスの名言6選
 今年も近づいてきた、街に恋人たちが溢れかえるクリスマス。この時期はひとりぼっちの女性にとってつらいシーズンですよね……...
東京スカイツリー クリスマスマーケットとプラネタリウム体験
 東京スカイツリーでクリスマスマーケットを開催しているのを知っていますか? キラキラとしたイルミネーションを眺められて、...
仕事できずとも一生懸命さにきゅん♡ 40女悶絶!若い子の可愛いLINE3選
 40代になってから20代くらいの若い子とLINEをすると、思わず「かわいいな」と感じる瞬間がありますよね。  若...
家族と離れ、ひとりになりたい時は間違いなくある。波風立てない伝え方
 夫や家族と過ごす毎日は幸せいっぱいだけれど、たまには「ひとりになりたい」と感じることってありますよね。特に小さな子供の...
何気ない言葉が差別に?「マイクロアグレッション」を考える
 みなさんは「マイクロアグレッション(小さな攻撃性)」という言葉を知っていますか? ここ最近SNSなどで話題になっている...
想像するのはタダ!理想の年末年始の過ごし方を大告白します
 年末年始といえば、夫の実家に帰省したり、大掃除に明け暮れたりとバタバタ過ぎ去ってしまうのが現実。特に40代女性は、あま...
独りの空間を満喫した後、なぜか人に優しくなれる気がする
 仕事に追われるサラリーマンも子育て中の専業主婦も、小学生にだって独りになれる空間や時間が必要だ。  煙草を吸った...
もう言葉はいらない! 立派すぎる最強の神“たまたま”が降臨
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
愛に犠牲はつきものなのよ…無類の猫好きが諦めた4つのこと
 自他ともに認める猫好きです。思えば人生の半分以上の時間を猫と一緒に過ごしてきました。うれしいときも、悲しいときもいつも...
U1000円のファブリックミストは香水の代わりになる? 3商品で実験
 物価高っていつまで続くんでしょうか。いろんなものが値上げされて、お財布が大ピンチ。  筆者が大好きな香水も、結構いい...
40代女性のソロキャンプ 最低限の持ち物&防犯面で気を付けたいこと
 大自然の中、自分と向き合い、静かで何もない時間を過ごせるソロキャンプ。忙しい日々から逃れ、内面を丁寧に整えたい40代女...