職場や取引先で「パワハラ交際」を強要される女性たちの葛藤

田中絵音 日本合コン協会会長
更新日:2021-06-22 06:00
投稿日:2021-06-22 06:00
 職場の上司や取引先の人に気に入られたら、どうしますか? 仕事上メリットがあるかもしれないと思うし、仕事関係の人に無下な対応はできませんよね。
 仕事の延長のようでもありプライベートとも取れるLINEが来たら返信するだろうし、仕事帰りにご飯に誘われたら断りにくいもの。上司からの誘いを断れず、自分の意思に反してズルズルと男女関係に発展してしまうケースが実際にあるといいます。
 今回は、そんな仕事上の力がある男性からのパワハラとも取れる「パワハラ交際」を経験したことがある女性に、お話を伺いました。

断れなくて…上司と社内不倫

 新卒で入社した会社で、上司と不倫関係になってしまったというA子さん(26歳)は、入社当初から配属された部署のリーダーに気に入られていることを、入社2年目あたりから感じるようになりました。

「新社会人で仕事のイロハもわからず、必死に日々の業務に取り組んでいました。上司の下心には気づかなかった」とA子さんは言いますが、商談で上司と外出した際、アポの後に必ずお茶に誘われて「彼氏いるの?」「どんな男性のタイプが好み?」など、仕事とは無関係のことを聞かれていたそうです。

 また、二人でエレベーターに乗った時など、なんとなく“パーソナルスペースが近いな”と、上司の立ち位置の近さに違和感を覚えることも。スキンシップも普通の人よりちょっと多かったようです。

忘年会の後バーに呼び出され…

 そして決定的だったのは、部署のメンバーで忘年会があった日のこと。

 一次会でお開きとなったのに、解散後すぐに上司からA子さんに電話がかかってきて、バーでもう一杯飲み直そうとしつこく誘われて、仕方なく付き合うことに。

 上司には妻子がいることも知っていたし、そもそもタイプの男性というわけではなかったので、不倫という大きなリスクを負うつもりは毛頭なく、A子さんは正直“いやいや”仕事の付き合いだと思ってバーへ行きました。

 ところがバーで待っていた上司は、まるで満月を見て吠える狼のように、激しい勢いでA子さんを口説いてきたといいます。

「僕のこと嫌いじゃないよね?」

「これからも仕事を一緒にしていくパートナーとして、たまには息抜きにも付き合ってよ」

「A子ちゃんは本当に可愛いし、信頼できるよ」

 このように、部下として「NO」とは言いにくい口説き文句が続きました。上司はだいぶお酒に酔っているようでしたが、しまいには、

「今日は疲れちゃったから、僕はホテルに泊まる。名残惜しいからエントランスまで一緒に行ってくれないか?」

 と甘えられて、結局A子さんは上司を部屋まで送ることに。その先は断れるはずもなく、男と女の一線を超えてしまったといいます。

 それからも上司との不倫関係は何回か繰り返されました。

 本当は、A子さんはその関係を続けたくなかったようですが、お人好しの性格が災いして断れず、無理して付き合ってしまったようです。

 いつしか「仕事の一環だと割り切るようになりました」と、A子さんは顔をしかめます。

不本意な不倫関係が終わったキッカケ

 しかし、その上司との関係も終わりを迎える出来事が起こったそうです。

 休日のある日、突然A子さんに上司から電話がかかってきました。出てみると、知らない女性の声が……それは上司の妻だったのです。

「あなたね、うちの旦那と付き合ってるの? 会社に言うわよ、この泥棒女」

 かなり怒っている様子。そこでA子さんはこう言い返しました。

「はい、おたくの旦那様にしつこく口説かれて困っておりました。仕事の上司なので断ることもできず、とても迷惑しています。奥様からも、もうやめてもらうように言ってもらえますか?」と。

 A子さんがこう言うと、急に妻の荒げた話し方から一転して、冷静な声のトーンに変わったそうです。

「そうでしたか……わかりました、主人に話を聞いてみますね」と言い、電話が切れたとのこと。妻としてプライドが傷ついたのでしょうか、はたまた恥ずかしかったのかもしれません。

 A子さんは上司の妻から電話がかかってきた瞬間から、「もう会社にバレても退職すればいい、この関係が終わりにできるならば」という気持ちだったそうです。

 結果的に、上司の妻は会社に二人の不倫関係を暴露することはなかったそうです。おそらく夫の仕事を守る方を優先したのでしょう。

 その後、職場では上司と気まずかったですが、A子さんは密かに転職活動を行い、退職したとのこと。

「もうパワハラ交際は絶対に受け入れない」という固い決意で、新生活をスタートしているようです。

田中絵音
記事一覧
日本合コン協会会長
一般社団法人日本合コン協会会長、恋愛アドバイザー。2000回以上の合コンイベントに携わり、男女の恋愛心理に精通する。また一児の母であり、ママ向けイベントを行う「東京ママパーティー」の主宰も務める。著書に「こじらせ男子の取扱説明書(トリセツ)」
(双葉社)など。
ブログXInstagram

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


瞬き厳禁! 春到来の歓びを表現する黒“たまたま”を見逃すな
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
スタレビの名曲が聞きたい!仏教と深い関係のある「木蓮」とその仲間たち
 猫店長「さぶ」率いる我が愛すべきお花屋は、ただいま卒業式や送別など春特有のイベント仕事で、いつにも増して花まみれの毎日...
“炎上常連”麻生さん級の「ルッキズム失言」していませんか?
 最近、よく耳にするのが「ルッキズム」という言葉です。政治家や芸能人が、何気なく言った一言で「ルッキズム発言だ」と叩かれ...
女の敵は女だから?忘れた頃にぼっ発する「専業主婦論争」をガチで考える
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方などをテーマにブログやコラムを執筆しているまめです。  X(旧Twi...
職場の同僚ランチが苦痛すぎる…一人の時間を確保する4つの冴えた処世術
 業務内容へのストレスより、職場でのランチタイムが苦痛という人は多いですよね。正直、仕事で疲れているのに、休憩時間まで同...
離婚→シンママになり、心底よかったこと4つ 我慢は美徳っていつの話?
 世間では、離婚してシンママになった女性に対して「かわいそう」「大変そう」といったイメージがあるかもしれません。  で...
春まであと少し?
 残雪の甲斐駒ヶ岳を背にすっかり葉も落ちた葡萄畑  春まであと少しが意外と長い
春のお花と記念撮影にゃ! ウサギみたいなしっぽの“たまたま”
 きょうは、ウサギ君みたい! しっぽの短いにゃんたま君に出逢いました。  しっぽが短い猫は長い猫と比べると、臆病で...
ほっこり癒し漫画/第70回「すぷりんぐファミリー」
【連載第70回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
男と女の物語、だからこそ「娚」の当て字が使われた
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
「場所代は200円いただくわ」堅実というかケチ!名目別に徴収するママ友
 ママ友と仲が良いといっても、子どもありきの関係。価値観や金銭感覚など、すべてが合うとは限りませんよね。  中には、マ...
家庭の派閥争い…夫の“ポカリ甘すぎ、アクエリアス!”に猛反対する妻
 混沌とした世の中。世界で起こっている戦争や紛争だけでなく、会社やネット上のコミュニティーでもあらゆる「派閥争い」が繰り...
40代が自分の老いを実感した切ない瞬間4つ 運動は得意だったのに(涙)
 年齢を重ねると、体の老いを実感する瞬間が増えてきますよね。特に若い頃に運動が得意だった人は、頭では動けると思っているの...
ストリッパー、Airpodsおじさんに学ぶ。
 AirPodsをしたサラリーマンのおじさんを通勤電車で見た瞬間、私はその後ろ姿にぎゅんと心惹かれた。  なにそれ...
百均は飽きた…目的地はスタンダードプロダクツ!プチ模様替え厳選4商品
「普段の生活で使う、日用品をちょっと楽しく。」そんな思いを込めて生まれたStandard Products(スタンダード...
別れる時くらい言いたいことを言う? それとも…
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...