平手友梨奈が成人 アイドル界に何を残し今後はどこへ行く?

こじらぶ ライター
更新日:2021-06-26 06:00
投稿日:2021-06-26 06:00

女性アイドル界に刻んだ「女性性」への反抗と解放

成人を迎えた平手。激動の10代で何を残し、20代はどこへ行くのか…!?/(C)日刊ゲンダイ
成人を迎えた平手。激動の10代で何を残し、20代はどこへ行くのか…!? /(C)日刊ゲンダイ

 今月25日、平手友梨奈が20歳の誕生日を迎え成人となった。ここで改めて、10代の平手がアイドルとして、ソロとして何を残したのかを振り返り、彼女の言葉から20代となった今後の展望を紐解きたい。

 まず平手が女性アイドル界に最も強く残したインパクトは、「女性性」への反抗と解放ではないだろうか。女性アイドルと言えば、長きに渡り、男性プロデューサーによって、男性ファンを喜ばせる存在として創り上げられ、いつもニコニコ可愛らしく、従順で女の子らしく振舞うことを求められてきた。

14歳で単身上京、欅坂46の一員に

 平手は14歳で乃木坂46の姉妹グループオーディションを受け合格したが、そうした女性アイドルらしいキラキラに憧れたわけではなく、鬱屈として閉じ込められたような家庭や地元中学時代の環境から飛び出すためならどこでも良かったようだ。まだ東京都心部と比べて男性が圧倒的優位な地方から若くして単身上京し、16年にデビューする欅坂46の一員となった。

 それまで従順な「女性アイドル像」を創ってきた秋元康氏だったが、欅坂46ではメンバーの笑わず媚びない姿から着想を得て「大人に支配されるな」というメッセージを込めた「サイレントマジョリティー」が誕生したとインタビューなどで語っている。

欅坂46「闘うパフォーマンス集団」の“顔”に

 そのメッセージを最も体現できる存在として、稀有な表現力と眼力を持つ平手は最年少ながらセンターに据えられた。以降、欅坂46の楽曲は平手に当て書きされていく。

 欅坂46は平手に牽引され、プロ意識を高く持ち「女だから」「アイドルだから」ということに囚われず、魂と身を削る「闘うパフォーマンス集団」となって女性アイドルの常識を変えた。

 特に欅坂46後期、容姿や立ち振る舞い含め、女性アイドルどころかジェンダーの枠組みをも超越した平手は女性ファンから圧倒的な支持を得ていった。

10代の平手がファンらに魅せたもの

14歳デビュー時の平手(左)とジェンダーを超越し始めた16歳時の平手(右)/「サイレントマジョリティー」(Type-A、左)、「ガラスを割れ」(Type-A、右)(写真:iStock)
14歳デビュー時の平手(左)とジェンダーを超越し始めた16歳時の平手(右)/「サイレントマジョリティー」(Type-A、左)、「ガラスを割れ」(Type-A、右) (写真:iStock)

 欅坂46の真骨頂であるライブのDVD/BDは女性アイドルでは異例の売り上げを記録し、主要“ロック”フェスに招かれた際には5万人規模のステージに観衆が殺到し、入場規制がかかるほどだった。

 欅坂46の中心には「10代の平手」だからこそ持ち得たほとばしるような激情があり、いましか見ることができないという儚さと脆さを内包した閃光を放っていた。

 その代償として平手は心身を消耗し、18歳半ばでついにはグループを離れ、そののち欅坂46は伝説のまま歴史に幕を閉じた。

 ソロとなったこの1年半、平手は主に俳優業で撮影に追われていた。昨年は、数々の新人賞を受賞した「響-Hibiki-」(18年公開)以来の出演となった映画「さんかく窓の外側は夜」、映画3作目となった「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」の撮影に参加した。今年は「ドラゴン桜」(TBS系)で初のゴールデン帯ドラマに出演し、多くの新規ファンを魅了した。

新作「ザ・ファブル」で凄まじいエネルギーを爆発させる

 平手はその全ての作品で全く違う顔を見せている。演じ分けているというより、作中で役に入り込んで役として存在しているように見える。欅坂46の多様な楽曲の主人公に憑依し異なる表情を見せてきたのと同じだ。

 中でも今月18日に公開となった「ザ・ファブル――」で演じた佐羽ヒナコは、心身共に大人の男に囚われの身となっていた日常から、予告編からも分かるように、クライマックスでは銃口を突き付けながら絶叫し立ち向かう女性へと成長する。陰がありながら凄まじいエネルギーを爆発させる様は欅坂46時代の平手同様、多くの人々の心を打っている。

こじらぶ
記事一覧
ライター
ジャニーズ、秋元康系女性アイドル、ローカル、地下アイドル等数々の現場を経験。Xでもご意見を募集しております。

エンタメ 新着一覧


元モー娘。加護亜依様の“セクシー女優匂わせ”が冗談に聞こえないワケ
 モーニング娘。黄金期の人気メンバーだったものの、現在はお騒がせタレント化してしまっている加護亜依。昨年も週刊誌やネット...
堺屋大地 2024-01-20 11:16 エンタメ
シン・スズ子誕生!タナケンに「面白いね」と言わしめたヒロインの魅力
 喜劇「舞台よ! 踊れ!」の幕が上がる。タナケン(生瀬勝久)に稽古ですべてを受け止めると言われたとおり、スズ子(趣里)は...
桧山珠美 2024-01-19 14:45 エンタメ
タナケン(生瀬勝久)の決め言葉、「どうだろうね」に込められた真意
 スズ子(趣里)は、不安を抱えたまま喜劇王・タナケン(生瀬勝久)との舞台稽古を続けていた。  なんとかしようと、ス...
桧山珠美 2024-01-22 15:16 エンタメ
ブギウギ新章、タナケン役生瀬勝久の“顔芸”と「3枚の張り紙」が見もの
 小夜(富田望生)が付き人をやめると言って姿を消してから3カ月、愛助(水上恒司)は大学を卒業し、村山興業で働き始める。 ...
桧山珠美 2024-01-17 15:49 エンタメ
5年ぶり「おっさんずラブ」にコレジャナイ感?それでもいいと思うところ
 あの「おっさんずラブ」が5年ぶりに帰ってきました。2018年4月期にスタートした同作は、ピュア過ぎるおっさんたちの恋愛...
小夜(富田望生)の食い意地は国境を越えた!愛か、餌付けされただけか
 復学した愛助(水上恒司)は、スズ子の公演に触発され、いっそう勉学に励んでいた。  そして、公演が再開して以来、ス...
桧山珠美 2024-01-12 16:05 エンタメ
任侠ドラマ出演の高岡蒼佑様…小栗旬&芸能界批判に“かわいいチワワ”か!
 アウトローな役柄などで人気を博していた元俳優の高岡蒼佑。役者引退宣言をしていたものの、今年2月にリリースされる任侠ドラ...
堺屋大地 2024-01-11 06:00 エンタメ
朝ドラ名物の闇市、小夜の食い意地はタダモノじゃねえ!
 戦争が終わって3カ月、世の中の混乱は続き、スズ子(趣里)たちは未だ公演ができずにいた。  愛助(水上恒司)の病状...
桧山珠美 2024-01-09 14:50 エンタメ
歯に衣着せぬ小夜のキャラを生かしたブギウギ流「玉音放送」シーン
 終戦の日。スズ子(趣里)たちは巡業先の富山で玉音放送を聞く。りつ子(菊地凛子)は慰問先の鹿児島で敗戦を知る。  ...
桧山珠美 2024-01-08 15:50 エンタメ
原作は4コマ漫画! 名作“ぎぼむす”のイケメントリオを味わい尽くそう
 新年あけましておめでとうございます。  例年であれば、大晦日は「ジャニーズカウントダウンライブ」で年越しするので...
特攻隊の前で「別れのブルース」、過去の“淡谷のり子物語”と異なる描き方
 1945年、日本の戦況はますます悪くなっていた。富山に慰問に来ているスズ子(趣里)は、女中の静枝(曽我廼家いろは)の話...
桧山珠美 2024-01-05 14:00 エンタメ
制作費の都合?「夜来香ラプソディ」音楽会シーンなしは残念すぎる
 上海の羽鳥善一(草彅剛)は、音楽会の準備を進めていた。羽鳥は、黎錦光(浩歌)が作曲した「夜来香」にブギを取り入れた音楽...
桧山珠美 2024-01-04 17:50 エンタメ
【2023年人気記事】マッチ様は逃げ上手と無責任のプロだった
【「残念プロフェッショナル」の流儀】  2023年も「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大き...
堺屋大地 2024-01-02 11:44 エンタメ
辻希美&杉浦太陽はニベアのCM…仲良しラブラブ芸能人夫婦はお金を生む
 元モーニング娘。のなかで1番の勝ち組は、やっぱり辻ちゃん(辻希美)でしょう。  先日も元モー娘。の中澤裕子、保田...
スズ子と愛助の無償の愛、平和ボケの今とは違って生きるも愛するも命がけ
 東京に戻ったスズ子(趣里)は、空襲で一面ががれきになっている惨状を目の当たりにする。  スズ子が三鷹の家に戻ると...
桧山珠美 2023-12-28 14:10 エンタメ