“攻める女”瀧内公美<後>「褒められると危険を感じてしまう」

内埜さくら 恋愛コラムニスト
更新日:2021-09-12 06:03
投稿日:2021-09-12 06:00

自分の意思が強いぶん、自分を疑っていないと怖い

 ――その揺らぎに共感する人は多いかもしれません。作品になぞらえた質問も。由宇子は仕事第一で生きていますが、瀧内さんの仕事に対するポリシーは。

 瀧内 人の意見にしっかりと耳を傾けることです。今回の現場でも、春本監督やスタッフさんに、何度も「(いまの私のお芝居を)どう感じました?」と聞いていました。もし良い反応を得られなくてもネガティブにはならないタイプで、「こっち(のお芝居)でしたか?」と、別のプランを提案していけるようになってきました。自分と違う意見を言ってもらえると、ディスカッションできるいい機会になりますし。

 逆に「良かった」と褒められてしまうと、同じ方向しか向いていないので、本当におもしろいのかな? と、危険を感じてしまいます。私は自分の意思が強いぶん、自分を疑っていないと怖いのかもしれません。

「別の可能性もあるのでは?」と仰ってくださる方は、私とは違う角度から物事を考えてくださっているので貴重な存在です。誰かに意見を言うのは責任を伴いますし、「口は災いの元」という言葉もあるように、意見を言わないほうが楽だと思うんです。

 視野はなるべく広く、意見や助言をいただける人間でありたいですね。いろんなことを受け入れながらも、最後は自分の中で答えを出すってことが大切なのかな、と。

作品に対する粘り強さと熱量に尊敬の念

 ――なるほど。では、意見を言ってくれたという春本監督は、どんな方でしたか。

 瀧内 ものすごく細やかな(気遣い・配慮がすみずみまで届いている)方でした。春本監督はこの作品の脚本を、初監督作品『かぞくへ』よりも先に執筆して温めていらっしゃって、この作品には深い思い入れを持って臨んだんです。何としてもいい作品を作り上げて形にしたいという粘り強さを持って挑み、公開までこぎつけた。この映画に対する熱量は人としても監督としても、尊敬しています。

 ――鑑賞して、世に出なければいけない作品だという印象を持ちました。瀧内さんからも、ぜひ本作の見どころを。

 瀧内 見どころはすべてなのですが、ある事件を機に人がウソをつき始めたときに、人間の在り方とは? 右往左往してしまう愚かさはなぜ起きてしまうのか、と考えさせられると思います。主演している皆さんのリアリティーあるお芝居と、それを演出なさった春本監督はじめスタッフの皆さんによる映画的な演出、たくさんの仕掛けがあります。ラストは「え? そうなるの!?」という展開で、驚く方も多いのではないかと。

 さまざまなテーマを掲げており、ありとあらゆる情報が飛び交いすぎているあっとのいう間の2時間半になっています。ぜひ劇場でご覧いただだければうれしいです。

由宇子は何を天秤にかけた?

 瀧内さんも仰っていましたが、テーマが盛りだくさんですが展開が早く、「この次はどうなる?」と引き込まれる作品です。由宇子の父親、光石研さん(59)が演じた政志は何をしでかしたのか。そして由宇子は何を天秤にかけたのか――。

 高校生の小畑萌(めい)役を演じた河合優実さん(20)の、キラリを光る演技にも注目していただきたい作品です。

 ※『由宇子の天秤』9月17日(金)渋谷ユーロスペース他全国順次ロードショー

内埜さくら
記事一覧
恋愛コラムニスト
これまでのインタビュー人数は3500人以上。無料の恋愛相談は年間200人以上の男女が利用、リピーターも多い(現在休止中。準備中のため近日中にブログにて開始を告知予定)。恋愛コメンテーターとして「ZIP!」(日本テレビ系)、「スッキリ」(同)、「バラいろダンディ」(MX-TV)、「5時に夢中!」(同)などのテレビやラジオ、雑誌に多数出演。

URL: https://ameblo.jp/sakura-ment

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


鮮やかな朱色にハッとする 見つけたのは秋が忘れていった物
 ずいぶんと歩いたけれど、ひときわ映える朱色にハッとして顔を上げた。 「秋の忘れ物」もきっと鳥に見つかって、最後は...
共働き夫婦はいつ洗濯物を干すのが正解? 一長一短な6つの選択肢
 現代では、多くの夫婦が共働きですよね。そこで問題となるのが「洗濯物をいつ干すか」という点です。特に朝からのフルタイム出...
Tバックで足が速くなる? 40女が自己ベストを更新できたワケ
 先日行われた「第18回湘南国際マラソン」の「ファンラン10kmの部」に参加してきました。ランニング歴15年にして初の1...
カメラマンの本領発揮! ウブ“たまたま”を追いかけパチリ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
節約は正義!家庭で過ごすクリスマスアイデア【飾りつけ編・レシピ編】
 一年の最後の大イベントといえば、やっぱりクリスマスですよね。特に子供のいる家庭では、部屋の飾りつけやパーティー料理など...
2023-12-07 06:00 ライフスタイル
縁起悪っ!ポインセチアが毎年グッタリな人へ…NG事項と育て方のコツ
 クリスマスを彩る真っ赤なポインセチアですが、実は暑い地方が原産で「寒いのは苦手」。そんなポインセチアを綺麗に長く楽しむ...
「うちの夫が美容に目覚めたら…」謎のこだわりと行き過ぎた美意識エピ
 美容といえば、女性を連想しますよね。でも最近では、男性もメイクやスキンケアをするなど美意識に変化が現れています。  ...
探し物のほうも「見つけられるタイミング」をうかがっている
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
気が重すぎる…。年末年始に義実家への帰省を円滑に回避する4つの方法
 年末年始が近づくにつれて「義実家への帰省がしんどい」と、気が重くなる妻たち。せっかくの新年なのに、1日中気を遣って食事...
お気に入りの柔軟剤♡ドラム洗濯機の乾燥モードでどうなる?
 初めまして! 大切なお洋服を洗っても、イヤ~な臭いがするとテンションが落ちてしまうコクハクガールズ1期生の「よもも」と...
1日8時間労働は働きすぎ? 理想の働き方を手に入れる方法
 セックスレスや婚外恋愛、セルフプレジャーをテーマにブログやコラムを執筆しているまめです。  海外のTikToke...
16年物グレゴリー「フローラルタペストリー」を卒業!ネットで新調し涙
 趣味もファッションもその時の流行りや年齢で変化しますが、それとは別にいつまでも好きなモノってありませんか?  30代...
子供のおねだり攻撃をかわす4つの対策&絶対やってはいけない行動
 子供はいつでも自分の欲求を全力でぶつけてきます。だからこそ、子育ては本当に体力&忍耐勝負! 特にママたちを困らせるのが...
一心に、朝日に向けて飛ぶその眼は何を視ているのか
 思いはそれぞれでも同じ方向を向いて、必死に羽を羽ばたかせて一心に飛ぶ。  疲れたら声を掛け合い、ときには目的地を...
ツートン“たまたま”が港で御開帳♡ モフ腹&肉球も見逃すな
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
嫌味まぶしてる?こんな年賀状にイラッ! 地雷を踏む5項目に気を付けて
 最近では、クリスマスや新年の挨拶もデジタルで済ませる人が増えていますよね。  そんな中、結婚や出産など「報告した...