シンママは外出したらダメ?母の「独身なんだから」に苦笑い

孔井嘉乃 作詞作曲家・ライター
更新日:2022-02-23 05:21
投稿日:2022-02-22 06:00

父に母が言った「もう独身なんだから!」に苦笑い

 離婚をして実家に帰った後、ある日仕事関係の会合がありました。息子を両親に頼んで出かけようとした時、「母親なんだから、早めに帰ってきなさい」と、父から言われました。

「男は外で働き、女は家を守る」という、古い昔の形を“良し”としてきた九州男児の父。海外出張で数カ月いない時期もざらにありましたし、会社の飲み会に行くと0時を越えるのは当たり前で、終電を乗り過ごす姿を何度となく見てきました。

 そんな父にそんなことを言われ、「私が子供の頃、仕事や会合から早く帰らなきゃなんて考えたこともないくせに!」と、“いち娘”として、“いち女性”として、イラッとした私。

 しかし、息子のお世話を頼む立場としては、そんなことは到底言えません。言葉が出ずにいたその時、「あら、離婚してもう独身なんだから! 仕事から帰る時間なんて自由じゃない! 私もそうしてみたかったわ〜!」と、茶目っ気たっぷりに母が言ったのです。

 その言葉を聞き、父は沈黙。私は苦笑いしつつ、少し胸がスッとしつつ、そして「そっか、シングルマザーって独身なんだった」と、はじめて思ったのでした。

「再婚しないのは賛成、でも茶飲み友達くらいは作っていてね」

 そんな前衛的な母ですが、出張が多い父を支えながら、専業主婦で私と妹を育ててくれたたくましい九州女性です。

 昔から「夫より子供が一番」なんて豪語するほど、子煩悩。そして、孫煩悩でもあります。離婚の時にはまっさきに息子のことを心配してくれましたし、離婚後は良き理解者でもあり、相談相手でもあります。

「再婚するつもりはない」と告げた時にも「◯◯(息子)にとってはそれが一番かも! 二人ぶん働いて、しっかり育てなさい」と、認めてくれました。そして、「でも、ママが死ぬ前には、ちゃんと“茶飲み友達”くらいは作っていてね」とも。要は「パートナーくらい作っていなさいよ」ということなのですが(笑)。

 母は「ママである娘」と「女性である娘」を、誰よりもしっかり線引きしているように見えます。

外出日は息子に許可を取って堂々と出かける

 成長するにつれて、「ママが出かける理由」について理解ができるようになった息子。突然の外出は嫌がられるので、用事で家を開ける時には必ず数日前からその旨を伝え、許可を取って堂々と出かけるようにしています。

「わかったよ! 100円ね!」と、ちゃっかりお小遣いをおねだりしつつも「がんばってね!」と、気持ち良く送り出してくれます。誰かに外出許可を取る生活はまだまだ続きそうですが(笑)、でも息子は「自分だけのママ」と「好きなことをするママ」の違いを、小さいながらもわかっているようです。

 そして、時間やお行儀にうるさい私がいないため、息子も羽を伸ばしているのでしょう。最近では「もっと遅くてもよかったのに」なんて、憎まれ口を叩くまでになりました(笑)。

 出かけた後にはお土産を買って行き、家族に感謝しつつ、息子とはより多くのふれあいを。離婚3年目を迎えた今、ひとまず、この形に落ち着いています。

 こんなふうに気を使わずに自分らしくいられるようになったのは、離婚した大きなメリットなのかもしれません。いつでも堂々として、そんな価値観を認め合えるのが「家族」なのかな、と、今さら思ったりしています。

(文;孔井嘉乃/作詞作曲家 イラスト:こばやしまー/漫画家)

孔井嘉乃
記事一覧
作詞作曲家・ライター
3歳からピアノを始め、現在は作詞作曲家&シンガーソングライターとして活動中。2014年からウェブライターとしての活動を開始。得意ジャンルは美容、恋愛、ライフスタイル。コスメコンシェルジュ、日本化粧品検定1級、ベビーマッサージ資格、乳児心理+児童心理資格取得。
2016年、ママユニット「mamakanon」を結成。活動5年目にして、YouTube再生回数1,200万回達成。2020年、フレンチシンガーバイオリニストソングライターとのDuo「ellipsis」を結成。両者の絶対音感を活かしてカバー演奏などを行う。
1児のママ。特技は早起き。ウィスキーが好き。

◇孔井嘉乃公式サイトmamakanon公式 YouTubeチャンネルellipsis公式 YouTubeチャンネル

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


戦うべき相手は過去の自分 時には昇ってきた階段を振り返る
 時には昇ってきた階段を振り返る。ずいぶんと上がった、と誇りに思うこともあるし、まだこんなところか…と凹むことも。 ...
親を嫌いになってもええやん? 40女が手放せた“無理と我慢”
 早いものでもう2月。新年をきっかけに、今年こそは! と決意を新たにした方も多いのではないでしょうか。  筆者もそのう...
コミュ力ゼロ、ママ友関係が苦痛でしかない…テッパン切り口&対処法
 子育てをはじめるともれなくついてくるのが、たくさんの人間関係。保育園や学校、ママ友との交流の機会が多いので、コミュ力の...
愛しいおんにゃの子に猛アピール♡“たまたま”君の恋の行方は
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
悔やまれる添い乳よ…子育てが落ち着いた40代ママが語る育児後悔エピ
 子育て期間中は、何が正解なのかわからないまま日々育児と向き合わなくてはなりません。しかも、子供によって成長の速さも性格...
世界的にフラワーバレンタインが来てる!愛の告白より感謝を伝える日に
 立春(2月4日)を迎え、暦の上では春。ですが、この記事を書いている最中にもテレビ画面には「本日関東地方は雪」ニュースが...
入籍お知らせで赤っ恥!させていただきますはダメ、巷でよく聞く変な敬語
 日本語って本当に難しいですよね! 中でも、日本人ですら間違えてしまうのが、敬語です。    案外、正解を知っている...
飛び立つのは怖いけど…いくつになっても思い切りって大事
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
“万年毛玉ジャージ”のママ友ん家がレベチ!良くも悪くもドン引きしたエピ
 人は見かけでは判断できません。特に、相手の本当の部分が垣間見えるのが「家の中」です。  いつも綺麗な人なのに家がすご...
朝寝坊にイチャイチャバレ…夫の実家に帰省した時の“珍”失敗談4つ
 結婚すると、長期休みや年末年始に夫の実家に帰省する人が多いですよね。そして、夫の実家への帰省中に、夫の家族から引かれる...
発達障害児の長男 児童精神科で勧められた「プレイセラピー」を受けたら
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
ちょいワルと見せかけて…実はおしゃべりな“たまたま”にキュン
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
鉄橋の間をゴーゴーと風が通ってゆく…ここは夢と現実の境目
 鉄橋の間をゴーゴーと風が通ってゆく。眼を閉じて、橋と共に吹き飛ばされる自分を想像してビクッとする。  と思ったら...
太陽のように明るく!「娼」の成り立ち、知っていますか
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
ソロウエディングってなに? 痛いとは限らない意外なメリットと注意点
 最近流行っている「ソロウェディング」をご存知ですか? ソロウェディングは、一人で結婚式を挙げたり、ドレスを着たウェディ...
中途入社ちゃん「ご迷惑では ご都合は ご連絡は」接客AIか?気遣いすぎ
 人への気遣いは大切。まったく気を遣わなければ、ギクシャクしたり口論になったりするため、最低限の気遣いは必要でしょう。 ...