肩がこる、頭が痛い、PMS…“ちょっと不調”の原因と対応策5つ

笹山真琴 ビューティ&ヘルスケアジャーナリスト
更新日:2022-03-09 06:00
投稿日:2022-03-09 06:00

“なんとなく不調”を乗り切る5つの対応策

“なんとなく不調”を乗り切るためには、どうしたらいいのでしょうか。芹澤先生は「生活リズムを一定に保ち、健康的な生活を送ること。それに勝るものはない」と言います。具体的に見ていきましょう。

1. 起床時刻を一定に

「人間の生体リズムは約25時間と、実は1日の24時間より1時間ほど長いと言われています。この差を修正するために朝の起床時刻を一定にし、朝、光を目の中に入れることが重要です」

2. 継続でき血流をアップする強度の運動

「たとえば、午前中に屋外で15分以上、早歩きのウォーキング程度の強度の運動をしてみてはどうでしょう。適度に日光を浴びることもできますし、血流がちょっと上がるような軽い運動になり、セロトニンの正常な分泌にも役立ちます」

3. 神経、ホルモンをきちんと作り、作用させるための食事は…

 セロトニンやドーパミンなどの生成に必要な栄養素は鉄、ビタミンB6、たんぱく質、トリプトファン。特に鉄は不足するとイライラしたり、怒りの感情が湧きやすくなることも。鉄は月経で鉄を失いやすい女性は特に意識して摂りたい栄養素だそう。

「牛レバーには鉄とビタミンB6両方が含まれているので、なんとなく不調を感じる人にはおすすめの食品。そのほか、鉄は小松菜、ホウレンソウ、ブロッコリーに、ビタミンB6はカツオやマグロ、サケなどの魚にも豊富です。

 たんぱく質はホルモン含め、生体の物質そのものをつくる基礎。大豆食品に豊富なトリプトファンも意識して摂りたい栄養素です。これら2つを含む牛肉、豚肉、大豆もおすすめの食材です」

 そのほか、興奮した神経を落ち着かせるGABAを含む発芽玄米、体の末端部分の血行量を増やすといわれるグリシンが含まれる海老やウニ、睡眠の質を上げるといわれるユーグレナもおすすめだといいます。

4. 血糖値の乱高下を招く“甘いものヤケ食い”をしない

月経前には空腹感が増し、糖質たっぷりの甘いものを衝動的に食べてしまう経験がある方も多いのでは? しかし、お菓子やスイーツを一度の大量に摂ることも、なんとなく不調を招くきっかけに。

「糖質を大量に摂ってしまうことは血糖値の乱降下につながり、低血糖状態を起こしやすくなります。この低血糖がイライラや倦怠感、憂うつ感をもたらす危険性があります。

 甘いものは食事後の血糖値があがっているときにちょっとだけ食べる、ないしは和菓子のおまんじゅうを1つだけ食べる、など工夫をしましょう」

5. 耳マッサージ

 耳のまわりを刺激することで、過度な緊張を緩め副交感神経が優位になることを助けてくれるのだそう。

「まず耳全体を上下から指で挟み、耳の真ん中の位置をつまんで外側へ引っ張ります。その後、耳の上側をつまんで上に引っ張り、同じように耳たぶを挟んで下に引っ張るようにストレッチしてみてください」

6. 自分ひとりで悩まない

 精神の安定を保つためには、信頼する人に話を聞いてもらうのがとても重要だといいます。

「コロナ禍は孤独感を感じやすく、孤独感は抑うつ症状を悪化させるともいわれています。直接接触できなくても、オンラインや電話で家族や親しい人と、悩みや今日の出来事などを話す時間を持つようにしましょう。

 また、不定愁訴(原因のわからない体調不良)を感じたら、そのまま見過ごしたり、勝手に判断せずにクリニックで医師に相談し、一緒に原因を探ってもらうようにしましょう。

 医師に相談するだけでも精神的な安心感につながりますし、“なんとなく不調”の原因を特定して対処し心身を元気にしておくことは、コロナ禍における免疫対策としても重要ですよ」

  ◇  ◇  ◇

 肩こりや頭痛、イライラ感などに悩まされていたら、自分のライフスタイルを振り返ってみてはいかがでしょうか。一人で抱え込まず、そして、放置しないこと。きちんと自分の心と体と向き合ってコロナ禍を乗り切りましょう。

【取材協力】
芦澤裕子先生(精神科医・市川メンタルクリニック院長)

 日本睡眠学会認定医、精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、指導医。心療内科、精神科のクリニックにて精神障害、睡眠障害などの治療にあたる。「心やすらぐ、ぐっすり眠れる夢の絶景カレンダー」「GOOD SLEEP BOOK 365日ぐっすり快適な眠りのむかえ方」(翔泳社)監修。
市川メンタルクリニック 千葉県市川市市川1-4-10 市川ビル11F
https://www.ichikawa-mental.jp/

笹山真琴
記事一覧
ビューティ&ヘルスケアジャーナリスト
コンテンツ企画会社経営。医師や美容家など、医療・美容に詳しいオピニオンリーダーを取材し、最新のナレッジや製品について多数のメディアで執筆。グローバルにキュレーターを配する女性に向けたオピニオンメディア『UNICORN』主催。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


夢物語の2000万円より老後に役立つヘルスリテラシーとは?
 NYのセレブたちがこぞって実践している「ヘルスリテラシー」という考え方があります。自らが現地でこの概念を学び、最強のパ...
大問題作? “にゃんたま”の奥に秘めた貴重な部位がチラリ!
 にゃんたマニアのみなさま、にゃんと! きょうは大・問題作です……!  普段は可愛いにゃんたまωの奥に秘められてい...
冬季うつに負けない! 寒い季節にメンタルを強くする習慣4つ
「寒いのが苦手ってわけじゃないけど、毎年冬が近づくと気持ちがふさぎこんでしまう」  それは、日照時間が落ちてセロトニン...
なぜ貯金がたまらないの? 超低金利時代のおトクを追求する
 まじめに働いているのに全然お金が貯まらない――。「〇歳代の平均貯蓄額」なんて記事を読むと、自分はお金にだらしがないから...
「もしかしたら卵巣は…」退院前に主治医が放った衝撃の一言
 私は42歳で子宮頸部腺がんステージ1Bを宣告された未婚女性、がんサバイバー2年生です(進級しました!)。がん告知はひと...
オトコが離さない!「恋愛市場価値の高い」モテ女子って?
 狙っている彼やパートナーといい感じの期間を過ごした後、ほかの女子に目がいってしまったり、浮気の予感……なんて経験、あり...
夢か現か…山奥の神社で精霊のような“にゃんたま様”に遭遇
 すっかり「にゃんたま教」な皆さま、こんにちは!  きょうは、夢か現か幻か……白い精霊のようなにゃんたま様にロック...
お腹に水が溜まってる? 卵子凍結後のホルモン剤の影響とは
 日本は不妊治療の件数は世界一なのに、体外受精で赤ちゃんが産まれる確率は最下位。そんな状況を変えるために、ミレニアル世代...
ポジティブなあなたに生まれ変わる「トルコキキョウ」の威力
 このような御商売をさせていただいておりますと、本当にいろいろな方にお会いする機会に恵まれております。いわばワタクシの趣...
電車で座る確率を上げる7つの方法!移動時間を有意義に♪
 電車が混み合う時間帯に通勤や通学をしていると、そこらじゅうで始まる椅子取り争奪戦! 乗車時間が長ければ長いほど「座りた...
かくれんぼのメリット!子どもの空間認識能力を高めてくれる
 子どもがよく遊ぶ「かくれんぼ」ですが、大人からすると“見つけて隠れての繰り返し”で何がそんなに楽しいんだろう、と思って...
明日に向かって撃て! “にゃんたま”パワーで年末を走り抜く
 重版出来! にゃんたま写真集(自由国民社)が、またまた増刷決定しました。  そして、2020年「開運!にゃんたま...
ピルの価格はどれくらい? ピルを安く購入する4つのポイント
 これまで、ただの「避妊薬」ではないピルのメリットや効果について連載の中でお話ししてきましたが、うっかりお伝えし忘れてい...
楽しく健康に! 老後に趣味を持つメリット4つ&おすすめ趣味
 もともと介護士をしていた筆者は、今でも高齢者とたくさんの交流があります。まだまだ老人ホームに入る必要がない“現役”の高...
SNSに疲れた女性が急増中! SNS疲れの原因と賢い対処法3つ
 女性のみなさん。流行りのSNSを楽しんでいるでしょうか? InstagramにTwitterなど趣味の合う人たちの交流...
仕事のやる気が出ない…目標設定で再び“やる気スイッチ”ON
 仕事をするためのモチベーションって大切ですよね。私は名指しで任されたものについては、はりきっちゃうタイプです。特に得意...