すいかばかと呼ばれる男<3>「水果」でささやかな夏の贅沢を

Koji Takano フォトグラファー
更新日:2022-07-23 06:00
投稿日:2022-07-23 06:00
 山梨県のすいかの生産量は全国で最下位の47位。その山梨県北杜市で、ひとりこだわりのすいかを作る男がいる。寿風土(ことぶきふうど)ファームの小林栄一さん(56)である。小林さんは「すいかばか」としてすいか好きには知られた存在だ。

本格的な夏、立派に育ったすいか

 梅雨が明け、山梨・白州にも本格的な夏が訪れた。7月半ばの畑は蔓(つる)が伸び、一面に生い茂る緑の中に立派に育ったすいかが見え隠れしている。

 午前5時。山の端から日が差してくると、冷たかった空気が一気に温まる。芳醇な朝露に濡れるすいかの水滴に、朝日があたりキラキラと輝いている。

 膝上まで草に埋もれ頭を低くし、食べ頃のすいかをもくもくと探す小林さんのあごから汗が滴り落ちる。すいかばかが待ち続けた初売りの日が来た。

職人技のすいかリレー

 すいか柄のパラソル。すいか柄の暖簾、すいかばかののぼりが風にはためく。コロナ対策の為、試食スペースと販売スペースは離して設置されている。

 販売スペースの大きな台はすいかが並ぶのを待っている。朝採りを売るのが信条で、まずはすいかの収穫から一日が始まる。

 伸び放題の蔓と実を踏まないように足をつく場所を探しながら、1玉ずつコツコツとたたいて音を聞きながら食べ頃の実を選び摘んでいく。

水拭き空拭きでツヤッツヤ

 無理な姿勢は腰に相当な負担がかかるだろう。草の中から抱え上げられたすいかは、振り向きざまに2畝程先の奥さんに向けて放り投げる。そうして集められたすいかが販売台の上に1玉ずつ宝物のように水拭き空拭きで艶々に磨き上げられ、開店準備完了である。

Koji Takano
記事一覧
フォトグラファー
1963年神奈川県横須賀市生まれ。日芸写真学科卒業後、外国航路の船乗りとして世界を股にかけ、出版社勤務を経て、現在はフリーのフォトグラファーとして活動。近著は写真集「東京の風に漂う」(銀河出版)。
http://www.kojitakano.com/

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


卵巣摘出、ホルモン欠乏…健常者こそヘルプマークの認知を
 私は42歳で子宮頸部腺がんステージ1Bを宣告された未婚女性、がんサバイバー2年生です(進級しました!)。がん告知はひと...
シャンパンを入れてもらったらホストはどんな気持ちになる?
 ホストクラブでは恒例の光景となっているシャンパンコール。高額のシャンパンを入れたお客様を店内のホストが取り囲んで威勢の...
気になる彼に攻め!「デートお誘いLINE」に絶対入れたい内容
「気になる人がいるんだけど、どう距離を詰めればいいかわからない」  そんな時は迷うことなく、自分から攻めるのが一番!…...
まさに鈴カステラ!愛と野望がつまった茶トラ“にゃんたま”
 きょうは茶トラ3兄弟の憩いの場所にお邪魔しました。  気持ちよさそうにくつろぐ姿にほっこり♪  注目すべき...
“卵巣年齢”が分かる「AMH検査」は独身こそ試す価値がある!
 日本は不妊治療の件数は世界一なのに、体外受精で赤ちゃんが産まれる確率は最下位。そんな状況を変えるために、ミレニアル世代...
いつ、何を、どうする?「寝・食・動」リカバリー方法を解説
 NYのセレブたちがこぞって実践している「ヘルスリテラシー」という考え方があります。自らが現地で本概念を学び、最強のパフ...
恋愛運アップに期待! お歳暮だけじゃないシクラメンの底力
 巷はそろそろ年末に向かって慌ただしくなって参りました。  年末はお花屋さんにとってはまさに早朝から深夜まで忙しく...
オトナ女子の休日アイデア4選! 楽しく遊んで気分転換を♪
 大人になるにつれて仕事が忙しくなりますよね。仕事が忙しいと休日に昼前まで寝てしまったり、倦怠感を理由に起きてからもダラ...
結婚しても“垢抜け主婦”でいられるアラフォー女性の特徴3つ
「結婚すると、地味になるよね」――。そんな風に言う人はたくさんいます。男性に限らず、結婚せずに働き続ける女性もそう言うか...
ヘルスリテラシーの“1日1万歩”は達成以上に「習慣」が大事
 NYのセレブたちがこぞって実践している「ヘルスリテラシー」という考え方があります。自らが現地で本概念を学び、最強のパフ...
微動だにしないけど大丈夫? 心臓に悪い…熟睡“にゃんたま”
 にゃんたマニアのみなさまこんにちは。  きょうは神社の境内で行き倒れのにゃんたまωにロックオン!  微動だ...
老後のための貯金にこだわらなくて良い理由!今を優先してOK
 老後のために、貯金をしようと思っている人は多いでしょう。しかし、老後の貯金にばかり拘って、今を見失うのは本末転倒ではな...
合併症の合併症!? 40℃の高熱で希少がん病棟へ“強制送還”
 私は42歳で子宮頸部腺がんステージ1Bを宣告された未婚女性、がんサバイバー2年生です(進級しました!)。がん告知はひと...
無理不要!「超ワンパターンな朝食」で仕事への活力と健康を
 NYのセレブたちがこぞって実践している「ヘルスリテラシー」という考え方があります。自らが現地で本概念を学び、最強のパフ...
セックスレスを解消したい…抱いてほしい女性がとるべき行動
 皆さんは「レス」の定義をご存知でしょうか?「(特別な事情がない時)カップルの合意した性交あるいはセクシュアル・コンタク...
雨上がりの南の島で…念入りパトロール中の“にゃんたま”君
 雨がやんで、パトロール中のにゃんたまω君に出逢いました。  濡れた毛並み、この時期ちょっと寒そうに見えますが、こ...