更新日:2019-09-10 09:53
投稿日:2019-05-28 06:00
涙腺も決壊…
肩を震わせながら泣き続ける私を見かねた看護師さんが、人のいない処置室へ案内してくれます。
「すみません……迷惑ですよね」と謝ると、ベテランとおぼしき看護師さんが横に座って背中をさすってくれます。
「大丈夫。先生が今病院を探してくれてる。それにね、がんには標準治療っていうものがあってね、もうやることは決まっているの。その通りに治療していくだけなのよ」
治るとは絶対に言わないけど、優しく語りかけてくれます。そう。不思議なもので、人は、優しくされると余計に泣けてきちゃうんですよね。
先生がやってきます。
「今日いまから行けるのであれば、C病院が受け入れ可能です。行けますか?」
「行きます! ありがとうございます!!」
ほっとしてまた涙がこぼれます。
先生が紹介状を書くのを待っている間も泣き続ける私の背中をさすりながら、看護師さんは言いました。
「よかったわね。でもね、この病気はひとりで乗り越えられるものじゃないの。あなたはしっかりしているから、きっと家族に心配かけるのはいやだと思うけど、お母さんかお父さんにそろそろ頼ってみない? 私だったら娘に言ってもらいたいわ。電話してみましょうよ。ここで通話していいから」
お母さん。お母さん……! 若くもない母に心配をかけてしまう…と涙があふれますが、その場で母に電話をすることにしました。
40歳を超えても、未婚の私の心の拠りどころは母だったのです。
次回に続きます。
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まだ少し冷たい空気と一緒に胸に入り込まれてしまう。
Koji Takano
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